第8話 初めてのコラボで妹が緊張するなんて珍しい!(後編)
今回は少し長くなっているので、軽く流し読みで見てもらえると嬉しいです。
私はあまりにびっくりしてツッコミ口調で叫んでしまった。いや、叫んでる場合じゃないんだった。
「ちょっ、つばきちゃん招いてない客まで来てますからね!」
「困った事に二人から迫られちゃってさぁ。私がよっぽど可愛いからかしら?」
まるで他人事の様につばきちゃんは言っているが、もうちょっとピンチだと分かって欲しいよ。いや、むしろわざとやってると疑っちゃう私がいる。向こうはそれこそ私の反応を楽しんでる節さえあるわね。
きっとそんなところが人気を上げてるのね。私はピンチにも関わらず、つい分析してしまっている。駄目よ今はゲームに集中しなくちゃ。
「そんな冗談はともかく、どこかに隠れられる場所探そう、つばきちゃん」
私達2人は2体の悪霊から追い回され続け、どうにか逃げ隠れる場所を探した。しかし焦っていたため、すぐには見つからない。そもそもこのゲームは隠れる場所が少なく、逃げる事がメインみたい。
でもこのままでは同時に2人がダメージを負い、ゲームオーバーになっちゃう。とにかくそれだけは回避しないとダメよ! 私が少し焦っていると、相も変わらず冷静につばきちゃんが、何か漫画の主人公みたいな口調で言ってきた。
「このままだと私達2人共々やられてしまう。くっ、さてどうしたものか……」
「どうしよう、隠れそうな場所も見つからないよ。どうしよ、どうしよ」
私が馬鹿みたいにあたふたしていると、不意につばきちゃんが逃げるのを止めてその場で立ち止まった。どうしていきなり立ち止まったのか、私はわけが分からず硬まっていると、
「待て! ここはこの私が引き受けよう!」
と、ありふれた死亡フラグのようなセリフを発してきた。そして2体の悪霊を引き連れて私と違う方向へ走り出したのだけど、さすがに執拗に迫る悪霊に追い詰められ、ついにつばきちゃんは悪霊の餌食となってしまうのを目撃してしまう。いや、狙ってやってるのよね、つばきちゃん?
「む、無念……」
「ありがとう、つばきちゃん。君の事は忘れないよ!」
「いや~、一度この台詞を言いたかったんだよね~」
「満足した?」
「ちょっと、いやかなり気持ちよかったね!」
つばきちゃんの声がめちゃくちゃ嬉しそうにしている。あー、やっぱりそれしたかったんだね。
チャットのメッセージも、『名台詞キター』とか、『絶対狙ってて草』、『相変わらずのつばきちゃんの安定台詞w』と、盛り上がってる。つばきちゃんみたいな感じの人、私はよく知ってるんだよなぁ。まぁ今はいっか。
とりあえず1人の尊い犠牲によって私は二階へと駆け上がりピンチを脱する事が出来てよかった。
でもそもそもの原因はつばきちゃんにあるのも忘れないで欲しいと思ったよ、うんそりゃあね。だけど視聴者さんの人達は往々にして、つばきちゃんの犠牲に尊さを感じているようで、『かっこいい~』、『見習ってほしいこの勇気』、『これは草』、『男気を見た気がした!』等々と反応がまだまだ来ている。
「おっ、復帰した近くにお札発見したよん」
つばきちゃんが飄々とした様子で6枚目のお札をまた入手した。随分都合よく札が出て来ていると思う。ちょっと釈然としないんだけどなと私は思うけど、そういうゲームなんだと勝手に納得しよう、うん。
「でも不思議。思ったよりお札は簡単に見つかるよね」
「そう?」
「そう」
「言ってなかったけど、難易度イージーにしてるからね」
しれっと難易度一番簡単なのになっていたのね。ノーマルだとてっきり思ってたわ。
「え、そうだったの」
「ノーマルだとかなり難しくて、クリア出来ないらしいよ。ノーマルが良かった? でもハードまであるし、いっそハードとかでも」
「ま、まさか! イージーで良いよ。再チャレンジはさすがにね……」
ノーマルってどれだけ難しいかは想像したくない。尚更ハードなんて到底クリア出来ないだろうし。今はイージーでもクリア出来れば良いと、ホラゲーが苦手な私は思う。
そして私達はまた別々で探索し、どうにかこうにか悪霊から逃げながら残り2枚まで漕ぎ着けた。
ようやくこのホラゲーの終わりが近づいていると思うと素直に嬉しいものね。私の手はじんわりと手汗をかいているもの。ふと時間を確認するとかれこれ配信を開始して約2時間は経とうとしていた。
一階の探索を続けながらまだ調べた事のない和室に入る。中央に不自然な程の大きな、古めかしい木製のドレッサーと言うか、三面鏡がぽつりと置かれていた。
明らかに不自然な配置ではあったが、もしかしたら9枚目のお札が見つかるかも知れないと思い、私は1人でその鏡へ近づき調べてみる。しかし特にこれと言った変化はなく、ただのオブジェクトなのかもしれないと、その場を立ち去ろうとしたその時、鏡からにゅ~っと大柄なデュラハンが出現し、手に持っている剣で攻撃された。
「えっ、ちょっとっ……!?」
私の操作するキャラは呆然と情けない声と共にダウンして、死亡してしまった。倒れたせいでカメラの視界がぐらりと揺れて、そのままデュラハンを見上げる事しか出来ない。そしてあっという間にュラハンはその場から消えてしまった。
どうやら待ち伏せするタイプの敵。だが、消えたデュラハンと引き換えに、鏡の前からお札が出現していた。しかし、どうして西洋系の敵が出て来ているのか謎すぎるわね。全部和風の癖にこいつだけ甲冑とか、製作者は何を考えてこいつを作ったのかしら。
「ごめん。やられました~。不意打ち過ぎて逃げれなかったし。あーっ、もうっ! 卑怯でしょ今のは!」
私は溜息と共に一旦マウスを手から離し、チャット欄をチェック。
『こいつは悪質でしょ』『このデュラハンがやっかいなんだよなぁ』『俺も引っかかったよ、こいつ』、『大草原』と、慰めの言葉が流れていく。一部は別として。視聴者さんもこのゲームをやって私と同じ目に遭遇してるのね。そりゃあんなの回避不可避でしょ、どう考えても。
「それどんな奴?」
「頭のない甲冑。多分デュラハンって感じの敵だったよ。突然鏡から出て来て剣で切られちゃった」
「はははっ。まるで芋スナみたい。それだけのためにいるとか笑える。とりあえず、助けに行くから、待ってて」
つばきちゃんが急いで一回だけ出来る蘇生をしに向かってきてくれ来ている。ちょっと申し訳なく、そして恥ずかしい。
「りょーかーい。ちょっとクリア出来るか不安になってきた。イージーなのにぃ~」
「まぁまぁ。んー、でもあと二枚だし、余裕余裕。もーまんたい」
「どっからそんな自信が出て来てるか謎過ぎて、逆に頼りになります、つばき先輩」
「あれ、私褒められてるの? 貶されてるの?」
「褒めてますって」
そうこうしている内に、つばきちゃんが三面鏡の前でダウンして倒れている私を助け起こしてくれた。ついでに鏡の前にある9枚目にお札をゲットする。
紆余曲折あったものの、とりあえず2人ともまだ生きているので、クリアは目前。私が足を引っ張っているものの、クリアはきっと出来る。と、思う。いや、信じよう! 私達はクリア出来る!
配信内のチャットも『あと一枚!』、『もうクリアしたも当然』、『いや、この最後の一枚が曲者なんだよなぁ』、『ラストで全滅希望』と盛り上がって来ていた。そして私はチャットや、ゲームに夢中で今更ながら2200人以上が視聴している事に驚いた。
いつも私一人で配信している状態だと、多くても1000人くらいの視聴者数だから。ついこの事をつばきちゃんに話したくなったが、今はそれを話す場所ではないくらい私にも分かる。後で配信が終わったら話そうっと。おかげでちょっとテンションが上がってきちゃう。
「よぉーーーし! あと一枚パパッと取っちゃおう!」
つい夜のテンションで声を荒げてしまったけど、ふと我に返り恥ずかしくなっちゃう。
「急に気合い入ったの、どうしたん。ならここはきらりちゃんに頑張ってもらおうかな?」
「あー、えー、まぁそれは一旦置いといて、お札探しましょう」
私達2人はまだ探索していない、屋敷の隅にある小屋に行くことにした。恐らくそこに最後のお札があるのではないかと思う。もうそれ以外探しても見つからなかったから。
私達は小屋の前に着いた。その外観は古めかしく、周囲に蔦が巻き付いていた。風情があると言えばそうだが、むしろ邪悪な気配を感じた。私は中に入ろうと扉に手をかけようとしたら鍵が掛っていて、このままだと開きそうもない。するとつばきちゃんが扉の前に立つと、
「鍵だよね。私途中で拾ったけど、これで開くかな」
言いつつ、アイテムを使用する効果音がして、そのままグギィィィと錆びた音とともに扉が開く。
中から鋭い冷気が静かに漏れてくる。ゲームの中ではあるが少しひんやりした気がする。そうして完全に扉が開いた途端に、巨大で丸太の如く太い足が出てきた。私は嫌な予感がした。これは何か危ない気配がぷんぷんするわ!
「こいつはきらりちゃんが活躍する、待ちに待った名シーンがついに来たね」
「そうね。この私が軽く捻って差し上げますわ! ってやれるわけがあるかーーー!」
扉から出た敵の風貌は角を生やした巨大な鬼であり、その名前に風神と書かれていた。
しかしチャットには『きらりちゃんの活躍にこうご期待!』、『風神来たー!』、『ここは尊い犠牲に期待だ』と、知って勝手なチャットばかりで煽ってくる。
「皆言ってるけど、私に相手が務まるわけないでしょ!」
「全くその通りだね。私が奴の注意を引くから、きらりちゃん中に入って最後のお札をお願い!」
「そうはっきり言われると傷つくけど、とにかく私にお札は任せて」
つばきちゃんが敵の注意を引いてくれている間に、私が中に入り札を取る。何も問題ないはずよ。
「さぁこっちに来なさい。私が相手をしてやるからよ。ほれほれ」
風神の前でチョロチョロとつばきちゃんが動いてくれている。重々しい咆哮を放ちながら、鬼はつばきちゃんの方へと走り出した。
いい具合に注意を引いてくれている。これなら今のうちに私が小屋の中に入る事が可能だ。気付かれないように慎重に私に静かに入る。中は暗闇に染められており、様子がうかがえない。懐中電灯で辺りを見渡す。
「最後のお札はどこなのよ。早く見つけてクリアなんだから」
そう広くない空間には物置小屋のように雑多な物が置かれており、私は中々最後のお札を見つける事ができない。マウスやキーボードに触れている手に汗が滲む。
早く見つけてクリアしたい。その思いで探索を進める。そして一番奥にキラリと光るスイッチが壁にあるのを私は発見した。もしかしたらこれが隠し扉を開けるスイッチかも知れない。期待を胸に膨らませ、そのスイッチを押した。
カチッ!
固い音とともに大きな壁の一部がスライドしていく。地面を伝わって響いてくるほどに大きな音も一緒に。それでも私は意気揚々と開いていく壁の先へと進もうとした。が、しかしー、目の前には黄色く鈍く光る眼、角と、先ほどと同じような巨大な鬼の姿が立ちはだかってきた。
鬼の名前に雷神と書かれている。いやいや、確かに風神と来たら雷神だけど、そりゃないわよ!
「にゃぁあぁぁぁ!」
「また猫声だして、何どうしたの。あいてっ!」
私の悲鳴でつばきちゃんもびっくりして、向こうの机からゴツッと鈍い音が聞こえてきた。
「あはは。驚かせてゴメン。大丈夫?」
「あ、大丈夫、大丈夫。ちょい肘をぶつけたけど。それでどしたん?」
「扉を見つけたけど、もう一体鬼が出て、今外に出て逃げてるとこ。そっちの方は?」
「鬼はしつこく追いかけてくるけど、今のところは逃げれてる」
私を追いかけてくる雷神もでかい図体で追いかけてくる。しかし問題は他の悪霊ね。まとめて来ると相当厄介になる。困っている私が逃げながら考えていると、一つのスパチャが目に留まった。
『三面鏡を200回クリック連打したら敵を怯ませる最強の札が手に入るから取って!』と、スパチャでチャットが来た。いわゆる指示厨と言われてる人達だ。今はその教えに沿ってアイテムを取得しなければクリアは困難だろう。しかし200回クリックとか胡散臭そうだなぁ。
ちょとつばきちゃんにも聞いてみるか。
「今チャットで、さっきの鏡の前でクリック200回したら、敵を怯ませられる札が手に入るって。どうする?」
「なら、きらりちゃん取ってきて。2体の鬼も私が引き付けるから。まだ一回ダウンしても復活は出来るし」
と、男気あるセリフを言い私の鬼も引き受けて、気付けば鬼二体と、悪霊二体も引き連れて行ってしまった。多分あれやられちゃうと思うけど、今はアイテムを取って鬼や悪霊を一時的にでも引きはがさなければ、私1人だとクリア出来ないからね。
つばきちゃんが悪霊や鬼たちの気を引いている間に私は目的の部屋に無事たどり着いた。少し疑心暗鬼になりつつも、鏡に近づき高速で200回ボタン連打する。
「うぉぉぉぉぉぉぉ! 私の1秒8回の連打パワーを見せつけてくれる!」
カチカチカチカチッ!
チャット欄も応援の声で次々埋まっていく。『ファイトー!』、『気合いでいけ!』、『おい、誰だこのアイテム教えた奴。なくてもクリアできるやん』みたいに私を応援してくれいている。ん? なくてもクリア出来るって何よ。でも今は気にしてても仕方ない。とにかくクリック連打を続ける。
私の連打音がマイクで拾い、ちょっとシュールなBGMとなる。そしてようやく200回クリック連打したと思ったその時、鏡が神々しく光だし、鏡面から一枚の光を放つ札が出現した。どうやらデマではなく、公式の隠しアイテムみたい。私は神々しいお札を手にして、つばきちゃんのいる場所に向かう。
「最強のお札手に入れたああああああ!」
「待ってたよー。もうこっちは持ちそうにないから早くそれを頼むぅ~」
「私に任せんしゃーい!」
つばきちゃんのいる所に戻ると既に彼女は鬼たちに囲まれ、ダウン状態になっている。このままではマズイと思い、私は先程手に入れた最強のお札をかざし使用した。
神々しい光が周囲を埋め尽くし、全ての鬼と悪霊が集っていたにも関わらず、一気に消滅した。私は安堵の溜息を吐き、喉が渇いたのを思い出し、お茶を飲む。だいぶ落ち着いたかな。しかしチャットにはそれは一時的なものですぐに復活するらしいと、教えてくれた。
「はぁ~。助かったよ~。もう少し遅かったら危うく復帰すらできなかったかも」
ダウンしたつばきちゃんを助け、お互い後がない状態だが、とにもかくにもまだ生存していることに私は素直に嬉しかった。
「ぜぇ……ぜぇ……ぜぇ……。そう、ですね、ははは」
「きらりちゃんの方からすげークリック音してたもんね。お疲れさん」
つばきちゃんが少しクスクスと笑って労ってくれる。もう、本当に疲れたんだからね。
「手がつりそうでしたね。こんな謎仕様にした作者の意図が分かりません」
「ちょっと面白いけどね。じゃあ今のうちにラストの一枚取ってクリアしますかね」
「他人事だと思って~。もう連打はコリゴリなんだから」
私達は小屋の奥にに開かれた壁へ向かい、階段を下って行く。降りた先は真っ暗な空間だったが、中央にぼんやり光るお札が浮いていた。慎重に歩を進めて、札を手にすると、奥に扉が浮かび上がってきた。どうやら出口が出現したみたい。
「隠し扉が……。これでクリアだああああ」
私は嬉しくてつい叫んでしまった。でもそれほど嬉しかったから、仕方ないよね。
「おー、ようやくここまで来れた。結構難しかったね」
「これでイージーとか笑えないよ、全く」
2人で出現した扉を開けて先へ進む。突然眩しい光が画面を覆った。私たちのキャラクターは無事脱出する事に成功したのだ! ゲーム画面が切り替わり、少し不穏なBGMが流れながら、エンドロールが緩やかに流れ出した。
完全にクリアしたのだ、私たちは!
「やったー! 無事クリアしたー。ふっふっ~!」
私はクリアした事への達成感に胸一杯になる。視聴者さん達のチャットも『おめでとう』、『頑張ったじゃん!』、『つばきちゃんもきらりちゃんもGJ』と褒めてくれている。やっぱりたくさんのチャットは素直に嬉しいものね。クリアした途端、スーパーチャットもちょこちょこ投げられてきて、労ってくれる。
「へんてこなゲームだったけど、でもいい作品だったよね」
「え? いや、微妙かな……。それに私1人じゃクリア出来なかったよ……これ」
ちょっとつばきちゃんがこのゲームが良ゲー判定していて、ちょっとびっくりしたわ。
「じゃあ今度一人でやってみない? 見てるだけなら付き合うよん?」
「そんなつまらない冗談は置いといて、今日はほんとみんなありがとう」
「いや、割とマジで言っているんですけど」
配信を始めて約3時間半は経っていた。さすがに疲労が溜まってきているし、眠気も半端ない。
「みんな長時間付き合ってくれてありがとー。クリア出来てほんと良かった」
「今日は私もすっごい楽しかったよ。みんなのチャットもサンキューな!」
「それじゃ今日はみんなバイバイ。おつきらりんりん。まったねー!」
「おつつばー。それじゃまたなー」
こうして配信を切り、私の初コラボ配信は無事終えることが事ができたわ。
「う~~~ん。今日は大成功だったね、きらりちゃん」
つばきちゃんは大きな伸びをしていたり、向こうからペットボトルの飲み物を飲む音が聞こえてきた。
「そうだね。でもつばきちゃん私に隠してる事あるよね~?」
「か、隠し事とは……。はてさて、なにかな~。ん~なんだろう~?」
つばきちゃんがあまり上手じゃない口笛を吹いてとぼけて、誤魔化そうとしていたが、私はさっさと言う事にした。
「あのさぁ、朱里もVTuberやってるなら言ってよ。普通にコラボすればいいじゃんもうっ!」
そう、私はとっくに朱里が雷桜つばきだと気付いていた。てか中学からどれだけ一緒に過ごしたと思っているのやら。私が気付かないわけがないのよね。全く。明らかにいつも朱里と一緒にゲームしてるテンションと私達同じだったんだし。
「やっぱバレていたかー。びっくりさせようと思ったけど、さすがすみれ。全部お見通しね」
「そもそもいきなり人気VTuberを紹介とか不自然だし。一緒にプレイしてまんま朱里なんだよね。笑えるくらいにね」
「そう言うもんかな~」
「そう言うものなのですよ。まぁ結局お互いさまって事よね。私の活動も筒抜けだったし」
「あはは、確かに。笑っちゃう!」
やっぱり2人揃ってVTuber活動とか、似たもの同士の友達なのね。それから私たちは配信を終えてからも別のゲームを朝までずっとプレイしてしまい、気付けば2人で寝落ちしてしまっていた。
でも実は気になった事が私にはある。
後から思えば別に隠しアイテムが無くても、私が囮になれば朱里がクリア出来たと思う。だからあの隠しアイテムを指示してきたスパチャ主は一体誰か気になって確認したら、腹立たしい事に正体は兄貴だった。
だから今度私に200回連打させた詫びをさせないといけない。そうだ、何か朱里と2人で考えるとしよう。絶対に面白い事をさせてやるんだから。