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第53話 クリスマス生放送! レースゲームで大激突!

 竹中のスランプも解決し、ゲームの収録は佳境へと入っていた。そして俺達学生も冬休みに入り、今日はすみれ達が予定していた、クリスマス生放送を始めようとしていた。


 久しぶりのコラボと言う事で、内容はオンライン対戦が出来る有名なレースゲーム、『ぶっ飛びバトルレーシング3』で対戦する事になったのだ。


 時間は夕方の17時55分。18時丁度に、3人での配信が始まる時間だ。今回はそれぞれ星野宮きらり、雷桜つばき、夢坂リリムで配信する事になっている。今回俺は参加しない。完全に視聴者さんと同じ立場で見るだけだ。そう! 当然全員の配信を見る為、三窓で!


 今頃配信前の会話でもしているだろう。思えばもうすぐ収録が終わりに近づいていて、来年の1月末には終わる予定となっていた。これも3人の努力や、他の実力あるVTuberが頑張っているからだと言える。


 さてそろそろ配信時間だ。何だかコラボをこうやって1人の視聴者として見るのは、とても新鮮だ。






 きらりが最初の配信コールを切り出し、生放送が始まる。


「みんなー! こんきらりー。今日は久しぶりだけど、3人でコラボ配信やっていくよー。内容は事前に伝えておいた通り『ぶっ飛びバトルレーシング3』の対戦をやっていくからね。それと重大なお知らせも最後にあるので、出来れば最後まで視聴してくれると嬉しいな!」


『うおおおおっ! 今日は楽しみにしてたよー!』、『めっちゃ楽しみだったー。きらりちゃん達のコラボ!』、『大切なお知らせって!?』。


「皆様こんつば~。雷桜つばきです! 今日は久しぶりのコラボなので、私のテクニックで、ぶっちぎりの差をつけてやるから、期待して見ておけよ。それと今回は視聴者さん参加型なので、見ている人は入ってくれて良いからなー!」


『つばきちゃんのテクニックに期待』、『参加しまーす!』、『俺がついに分からせる時が来たようだな』、『あー、やばい、受験近いのに、こんなん見たら勉強できないよー』、『勉強はもう諦めようぜ?』。


「皆様こんつば~。雷桜つばきです! 今日は久しぶりのコラボなので、私のテクニックで、ぶっちぎりの差をつけてやるから、期待して見ておけよ。それと今回は視聴者さん参加型なので、見ている人は入ってくれて良いからなー!」


『つばきちゃんのテクニックに期待』、『参加しまーす!』、『俺がついに分からせる時が来たようだな』、『あー、やばい、受験近いのに、こんなん見たら勉強できないよー』、『勉強はもう諦めよぜ?』。


「みんな、こんばんはーですのっ! 今日も元気いっぱい、夢坂リリムですの。わたくしがこのレースでもクイーンだという事を示してみせますの!」


『リリムお嬢様の案外最下位になりそうな予感……』、『いやいや、むしろトップ独走もあり得る』、『リリムちゃんを絶対分からせたる!』、『絶対分からせるマンおるやん』。


 そしてつばきが司会進行を始めていく。


「ほいほい。それでは第一回、ぶっ飛びバトルレーシング3の対戦を開始します! 私がオンラインの部屋を作っておいたので、そこへすみれとリリムちゃんが入った後は、視聴者さんも来てくださーい」

「了解ー」

「分かりましたのー」


 さっそく自分たちの運転する車を選ぶ時間へ。ここは下手に上級者が選ぶ車ではなく、扱いやすいカートタイプを選んだ方が良いんだけど。さて3人はどうするのか。しかし今日は視聴者さんが参加するから、全員ボコボコにされるんじゃないかなと思う気がする。


 画面を見ると、それぞれと違うタイプの乗り物を選んでいた。


「私はこのバイクで攻めるとしようかな!」

「わたくしもバイクタイプですの! ここは攻めてこそですの!」

「えっ、私だけATV車じゃん。リリムちゃんもつばきも、この万能性を分からないとは。知らないわよ、負けても?」


 きらりがやけに今日は強気だが、その車はあまり人気がない。なぜなら勝率が悪いからだ。その事を視聴者さん達は言う気がなく、コメントは来ていない。


「みんな決まったね。じゃあ早速一試合目と行きましょう」

「ふふふ。きらりったら、そんな車選んじゃって。自らフラグを……」


 小声でつばきがぼそりと呟く。


「え、今何かつばき言った?」

「ううん。何でもないよ。さぁ、行くよ!」


 レースが始まろうとしている。12台の車のエンジンがかかる。カウントダウンがゼロになり、グリーンライトが点灯、一斉にスタートダッシュする。


 最初にトップに乗り出したのはリリムお嬢だった。アクセルを全開にし、コーナーを華麗に曲がる様は、とてもやり慣れた様子だ。そのままアイテムボックスを取っていく。


「わたくしがこのままぶっちぎりですの!」


 意気揚々とアイテムを2つ取る。何のアイテムかは分からないが、1位は大したアイテムじゃないようで、そのまま走る。そしてつばきが後ろを走り6位、きらりが10位だ。さすがに視聴者さんもいるので、CPUとは違い上位には行けなくて当然だ。


 後方にいるきらりはアイテムを1つ取る。ルーレットが回り出現したアイテムは、3連式追尾ロケット弾だ。これは撃てば前に走っている相手をスリップさせ、妨害出来るアイテムだ。


「よし! これで前の人をぶっ飛ばしてやるわ!」


 きらりの車から豪快にロケットをぶっ放す。しかし前に走っていた視聴者さんは後方を見て気付いたのか、アイテムのシールドを使い見事に防いだのだ。


「ええっ! そんな~」

「おやおや、きらりさん、調子悪そうですな~」

「そう言うつばきも7位じゃん」

「これならわたくしが1位ですのー!」


 順調にリリムお嬢がトップを独走している。しかし、隙を突かれて視聴者さんにブーストロケットを使われ、あっという間に抜かれて2位に転落した。


「むぅー! わたくしを抜くとは何者ですの!」


 その視聴さんのID名を見ると『絶対分からせるマン』だった。どうやらさっきコメントした人らしい。


『絶対分からせるマンキター!』、『絶対分からせるマンが分からせに来たぞ!』、『まさか本当に来るとは草』。


 レースは三周まであり、今ようやく一周目が全ての車が通過していく。変わらず絶対分からせるマンが1位で、次にリリムお嬢が2位に続く。つばきは5位と健闘していて、きらりは11位と抜かれて落ちている。


「全然抜けないよー!」

「きらりさん、アイテムを出来るだけ2つ取って下さいの」

「わ、分かってる。それは分かってるの。けど視聴者さんが全部取っちゃって無いのよ~」


 きらりの言うとおり、視聴者さんが絶妙にアイテムを取り、きらりが通る時には無い状態となっているのだ。これは完全に狙ってやっているのが分かる。


『お前ら絶対わざとやってるだろ』、『これやってるのきらりんのリスナーだろ』、『これはひどい』。


「きらりも視聴者に愛されてる証拠ねー」

「やめて~。私最下位になる~」


 つばきが順調にアイテムを取り、ルーレットで『ダークネス』を取得する。これを使用すると、使用者以外全員、視界が暗くなる妨害アイテムだ。


「おっ。これはラッキー」


 ダークネスを当然使用する。


「ぎゃああああああ。ここでそれ使わないでほしいですのぉ!」


 リリムお嬢が悲鳴を上げている。画面を切り替えて見てみると、丁度ジャンプするところで使われて、コース外に落ちてしまったのだ。これは運がない。一気に2位から5位に落ちて、つばきが3位に上り詰めてきた。そしてこの効果は、他にも効いている人物がいたのだ。


「駄目駄目! あああああああぁ、最下位になってしまった……」


 きらりが情けない声を出しながら走っていて、幾度も壁にぶつかりボロボロだ。


 そしてレースは二週目を過ぎ、最終ラップへと突入。


 今なお絶対分からせるマンが1位を独走し、3位につばきが、4位にリリムお嬢。そして最下位は当然きらりになっている。もはやここから上位陣に上がるのは厳しいと思われた。


「わたくしが抜けないなんて、悔しいですの~!」

「1位の視聴者さん速いねー。私も全然追いつけないや。アイテムも良いの出ないし」

「私に救済アイテムを寄越しなさい~!」


 きらりがボロボロになりながらも、どうにかアイテムを1個取得に成功。ルーレットで出たアイテムは、とても素晴らしいアイテム、『ジェット』だった。このアイテムは地形無視、妨害無視、一定時間速度が3倍、落下もせず、操作もオートになる、神アイテムだ。


 このアイテムを使えば最下位を抜け出せて、上手くいけば7位まで食い込める可能性がある。


「やった! これを私は待っていたの。これで一気に上位まで行くわ!」

「お、きらりが急に強気って事は、ジェットでも手に入ったのかな」

「そうよ。さあ、私のレースはこれからよ!」


 きらりがアイテムのジェットを使おうと思った瞬間、アイテム欄からジェットが消えたのだった。


「なっ!? と、取られた……?」


『これは悲惨!』、『えっ、あ、これリリムお嬢が取ったっぽい?』、『まさかのスティールされるとか!』。


 そう、きらりのジェットは他の誰かに奪われたのだ。やっぱり誰か狙っている人がいると思ったが、笑えるくらい良いタイミングで奪われてるぞ。笑いが止まらないな。


「あら、わたくしがきらりさんのジェット取っちゃいましたの。ごめんあそばせですの」

「リリムちゃんの鬼ー!」

「最下位からジェットを奪うとか、うけるわ―!」


 画面を切り替えてみると、確かにリリムお嬢にジェットがある。これは誰かのアイテムを奪う『スティール』を使ったのだろう。酷いタイミングで使ったもんだ。


「早速ジェットですのー!」


 ジェットを使い、3位のつばきを抜き、今は2位に舞い戻る。それからの試合に大きな変化はなく、最終ラップは終わったのだった。


 1位は視聴者さんの絶対分からせるマン、3位にリリムお嬢、4位につばき、12位がきらりとなる結果に終わり、1戦目は幕を閉じた。


「はぁ……。さんざんな目に遭ったわ。つらっ」

「まぁまぁ次がありますの、きらりさん」

「リリムちゃんには言われたくないなぁ~」

「だってさっきのは偶然でしたの。仕方ないですの。まだ試合はあるから頑張りますの」


 それから視聴者さんを混ぜた試合は10試合程した後、配信は終わりへと向かった。結局きらりが上位に行く事ははく、ほとんどの試合が下位争いをするだけだったが。


 みんながそれぞれ締めの挨拶へと移る。


「今日はみんな参加してくれてありがとうね。おつきらり~」

「みんな視聴して下さってありがとうねー。参加もありがとう。それではおつつばー」

「それでは皆さま、ごきげんようですの~」


 これで終わると思っていたが、


「と、終わるところですが! 最初に言っていた重大なお知らせがあります!」


 つばきが声を大きくして言う。そう、重大発表とは、ゲームの出演の事だ。続けてきらりが続く。


「来年の春を予定ですが、私達がヒロインの『VTuberは僕のヒロイン。~8人の軌跡~』と言う名前の、ADVゲームが発売します。もう知っている人もいるかも知れませんが、みんな良かったら買って下さいねー!」

「わたくし達以外にも出演しますから、その方達の応援もお願いしますの」


『まじかー!』、『知ってるよ~』、『もちろん買うからね~』、『予約済みさっ』、『超楽しみだよ』、『3つは買うからね』。


 こうしてクリスマス生放送兼ゲーム告知が終わったのだった。

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