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第15話 きらりとつばきの、突然やってくる夜のゲリラ生放送!

 相方のつばきが上機嫌で放送開始から元気の良い挨拶を始め出す。


「はーい! 皆様こんつば~。雷桜つばきだよー。今日は突然ですが私の方でゲリラ放送をしてますよー。SNSにこれを今書いていくからね」

「本当に突然じゃないのー、いきなり過ぎだってのっ、つばきったら」

「お察しの通り今日はゲストが来てます」

「こんきらり~。星野宮きらりですー。今日は23時からだけど2人でまったり1から2時間くらい雑談するよ」


『起きててラッキーだったよ』、『こんつばー。それにきらりちゃんもいるー!』、『つばきちゃん、いつも突然やるんだからー』。


 今日は予定になかったつばきと、急遽ゲリラ放送を私達はする事にしたの。特にゲームやこれと言った目的はないけど、ちょっと雑談したいとつばきに言われて、私は急いで準備したのよね。


 でも――話すネタはあるから、だから2人で話す事にしたの。


「それで今日は私達住んでる地域が近くてさ、先日オフ会をしてきたんだよね」

「行って来たよねー。色々あったけど、楽しかったね」


 視聴者さんのメッセージも『どこ行ったの?』、『いいなぁ~』、『てぇてぇー』、『デートじゃん~』。


「私達水族館に行って来たんだよね~」

「ね~。人いっぱい居たけど、楽しかったよね」


 本来は元々兄貴の件で水族館に行ったのだけど、当然放送でそんな事はさすがに言えるわけがない。それでも私は色々な意味で最後は楽しめた気がした。何せあの彩夏ちゃんの事は特にね。でもまさかあの子が、私達より有名な夢坂リリムちゃんだったとはびっくりしたわ。


『水族館とかもう仲良しじゃん~』、『お洒落だね~!』、『いいなぁ』と、少しずつ視聴者が増えてるわね。皆意外に気付くの早くてびっくりしちゃう。


「いやー良かったよね。私久しぶりに行ったもん水族館とかさ。きらりは?」

「私もよ。中々1人だと行かないもんねぇ」

「そうそう、私達さ、実はただ水族館に行った訳じゃなくて、まぁちょっとした企画も考えてて、それでその人達にも会いに行ったんだけどね」

「企画……? 私聞いてないんですけど、つばきさん?」


 視聴者さんもつばきの突然の企画に興味津々だ。でも私も何の事を言っているのかさっぱり分かってない。すると、朱里自身の方からメッセージが来た。『雷桜つばき、星野宮きらり、セバスチャン渉、夢坂リリムの4人でコラボを私は考えてまーす』、何て軽い感じでメッセージを飛ばしてくる。


 はは~ん。朱里は私達4人で大型コラボ配信をいつか予定している、いや絶対にもう実現させようとしているって事のようだ。裏で着実に根回しでもしているのかも知れないのね。


 確かに一気に登録者数を上げるのには、悪くない企画。これは無視できないわ。


「そこはそうご期待って事でね。まだ少し先になると思うけど、また面白いコラボ配信を私は考えているから皆期待しとけよっ!」


 力強いつばきの声に、視聴者さんも嬉しそうにチャットのメッセージが飛び交う。企画次第では大盛況間違いなしだと思うけど、彩夏ちゃんは良いとして、兄貴が参加するかは微妙ね。


 まっ、大した登録者もいない兄貴なんていなくても良いんだけど、きっと彩夏ちゃんは「渉さん一緒にやりますの!」みたいな感じで、強引に参加させそうな姿が私には手に取るように浮かぶ。


「つばきがやりたいって言うなら私も参加するし、良いけどね」

「ならその件は私に任せてね、きらり」

「おっけー。でさ、水族館の話だけど、イルカ可愛かったよね~」

「3頭のイルカがバブルリングを出した時は神秘的だったね。あれはもう夢中だった」

「そうそう。バブルリングが本当に綺麗で私魅入っちゃってたもん」


 私はイルカ達の可愛らしいパフォーマンスを思い出すと、心がほっこりしてくる。ほんとに可愛すぎて、ずっと見ていたいくらいだったのよ。ああ、イルカってどうしてあんなに可愛いのかしら。


「きらりったら、帰りにイルカのストラップ買ってたくらいだもんね」

「そうそう。バッグに付けるストラップ用と、鑑賞保存用と、友達にプレゼント用に、計10個買っちゃったの」

「私にもくれたのよ。大切に使ってるからありがとうね」


 『きらりちゃん優しい』、『10個とかめっちゃ買ってて草』、『買い過ぎ!』とメッセージも反応が返ってくる。確かに自分でも買い過ぎちゃったと、今更ながら思うけど、ま、いっか。後で兄貴にもあげてしまえばいいや。


「そう言えば今度コラボする時は何のゲームしよっか?」


 つばきがコラボの話をしてきたので、ちょっと考えるが、やっぱり私としてはホラーは前回やってもうしばらくは勘弁してほしいところだわ。さすがにまたあんな怖い思いはしたくないけど、でも需要があるからやらないといけないんだろうなぁ……。


「ホラゲーじゃなければ良いけど。そうね~、『超スマッシュシティ3』でもどうかな?」

「おー、あの4人で同じフィールドで殴りあうゲーム。あれなら視聴者さん参加型で巻き込んでやれるじゃん。これは良いかも」


 私の言葉に視聴者さんも『それ俺も参加したい!』、『2人をボコボコにしたいなー』、『忖度(そんたく)なしでガチプレイでね』と賑わいだす。どうやら結構需要があるみたいね。ならもうやるしかないわね、これは。


「それなら今度のコラボ企画は『超スマッシュシティ』で視聴者さんに10連勝するまで終われませんに決まりね」


「お、いいね。でもきらりはアクション苦手そうじゃん」


 つばきが言うのは事実だ。実はリアルで朱里と兄貴と3人でやった時も、よくボコられた記憶を思い出す。悔しいけど、いつもコントローラーを投げ出しているのを否定できない私がいるわ。


「失礼ね。10連勝なんて余裕よっ!」

「10連敗にならないと良いけどね~」


 つばきが、からかい気味に言ってくる。これはちょっと練習しておかないとやばいかも……。


 私達はそれから色々他にも雑談をして満足すると時間は2時間は経っていた。そして最後の挨拶をして放送を締めくくる。


「今日は見に来てくれた方達、ありがとうね。そんじゃ、おつつばー」

「最後までご視聴ありがとうございました。おつきらりん~」


 私としては久しぶりのゲリラ配信は、無事成功と終わったと思う。


 で、また後日私達2人で視聴者さん参加型の『超スマッシュシティ』を生放送でやったけど、もちろん私が連勝しまくり……する事などなく。つばきや、視聴者さんにボッコボコに負かされたのでした。ぐすん。

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