キャプテンキッドの宝物 埋蔵金奇譚
キャプテンキッドの宝物 (埋蔵金奇譚)
奄美列島沖ににトカラ島がある。
これは本来宝島がなまったものだといわれている。
この宝島にちなんだ語り伝えがある。
7つの海を荒らしまわったキャプテンキッドは、南シナ海を荒らしまわったときその宝を、トカラ列島に隠したのだという。
時は昭和15年時代。鹿児島県で士族だったという、仮に山本家としておこう。その当主の山本氏は、
ある日、思いがけず10年前に新潟で教えていた教え子の岡上佐田子の夫というアメリカ人から手紙をもらったのである。
彼女が卒業後縁あってアメリカ人鉱山技師と結婚しアメリカにわたり、何でも一夜にして大金持ちになったことは風の便りに聞いていたが、
彼女とやまもとさんとは、実は人に言えない秘密があったのである。
その山本さんは、当時ゆえあって鹿児島を離れて、新潟の、さる学校で、教鞭をとっていた。
その山本家には、祖父が残したという外国の金貨10数枚と、謎の古文書が残されいた。
祖父はもと、西南の役にも参加し後、トカラ列島に渡り島の開発にも当たった人だった。
トカラから帰った後、祖父はすぐ急死している。その祖父の遺品の柳ごおりから出てきたのが先の、古地図と、古そうな外国金貨だったのだ。
その地図には、トカラ列島に隠された埋蔵金のありかが、記されていたが山本さんは、別に何の関心もなく、そのまま放置して居たのだった。
当時教員には宿直があり、宿直していたが、そのたびに、顔を出す岡上佐田子という15歳の、少女が居た。15歳にしてはおませでかわいい少女だった。
彼女は、山本に好意を寄せていたのだった。そしていつしか二人は禁断の関係になってしまっていたのだった。山本さんには妻が居たから時代とはいえ、それは、秘密にしなければならなかった。
彼は宿直の夜は、歴史研究をしていた。そんな折、岡上佐田子には、その手伝いをさせるという口実で、彼女に図面を書き写させていたりしたのだった。そうすれば二人の関係を怪しまれないとの配慮であった。
「先生これなに?」岡上佐田子が尋ねる。「それは山本家に伝わる宝島の地図だよ」「何でさがさないの?」
「別に興味ないし、どうせ、そんなの、偽物だろうよ」そんな会話を交わしたのを覚えている。
それから、山本は急に鹿児島へ帰ることになり岡上佐田子との関係もそれっきりとはなった。
そして10年ぶりに来たのは、アメリカ人の夫からの手紙だった。
「私は日本から妻と、キッドの宝物と、二つのプレゼントをもらいました。山本さん、お分かりですね。
キャプテンキッドは本当に隠していたのですよ。妻もよろしくといっています。」
そして封筒の中には、あの祖父が持っていたのと同じ外国の古金貨が一つだけ同封されていたのであった。
山本氏はハタと思い当たった。
一夜にして大金持ちになったことも、岡上佐田子が、山本家の古地図をしげしげとながめていたことも、
アメリカ人の夫が鉱山技師だったことも、ここに来て全てが結びついたのだった。
しかし、山本氏は、別に悔しいとも思わなかった。
若い日の、過ちを悔いていたし、岡上佐田子には幸せになってほしいといつもねがっていたからだ。
山本氏は、旧家で土地も見渡す限り有り、生活に困ることもない。
そして、ふと、遠い思い出の中の、15歳の岡上佐田子の、初々しい横顔とあの、つぶらな瞳、そして白い裸身を思い出すのだった。
(注)この物語はフィクションです
人名・地名は架空名です




