まちちゃんの話
まっちゃんと出会ったのは高校1年の春だった。
あんまり覚えてないけど、ほぼ男しかいないクラスに属させられていた私はフランス語の合併クラスでまちちゃんを見た時、久しぶりの女の子だ〜とか思っていたはず。
ああ違うや、間違えた、そうじゃ無かったね。
確かまちちゃんその頃さ、まだ髪の毛が長かった。
そう、毛先がキンキンの綺麗なグラデーションカラーの印象強くってさ。
私初めて見た時ああギャルってやつなのかも、とか思ってたや。
知ってんかな。まちちゃんフランス語の授業初日に隣の席の子に可愛い言われてたんよ。
あの子狙うって、次の週から隣の席の子張り切って来てたん。
まちちゃんは我関せずって感じやったね。
ずっと離れた席の子もまちちゃんのことずっと気にしてたんよ。
まちちゃんのことよく知らなかった私は、まちちゃんを可愛くて良い子だと思ってた。
キラキラ笑ってキラキラ歩いて、女の子だなあって。
それがいつからかな、まちちゃんのまちちゃんらしさが透けてきて。
周りは勝手に幻滅して引いていくようになった。
私もさ驚いたよ、まちちゃんのこと怖くなった。
でもさ怖くなっても気になって、怖いから気になって。
私気づいたらズブズブやった。
隣の席の子ね、最初頑張ってまちちゃんに話しかけてたんよ。
なんのゲームやってるのっ、って。
まちちゃんは授業中誰と話すわけでもなく1人でずっとゲームやってた。
そんで答えたのがクラッカーラン。
楽しいよって笑ってたまちちゃんだけど、私は内心そんなのやってるんだってどこかで驚いたよ。
周りもクラッカーラン?ってなってたと思う。絶対そう。
そう言えば、いつからかまちちゃんは私のクラスの男の子と仲良くなってたね。
特にBくんと仲良くなってたね。
あの男の子彼女出来ないとか童貞だって、すごいいじられてた子なんだよ。
そんな子なのにさ、気づいたら授業終わりにまちちゃんのこと待っててさ。
2人でなにか話してたよね。
まちちゃんの笑い声だけが、降りかけた階段の上から響いてきたのを、よく覚えてるよ。
まちちゃんはその後も自由だったね、春学期が終わって夏休みに入って。
私がまちちゃんに会える機会は無くなった。
話したことも無いからインサタもフォローできなくって。
それでもたまに名前を検索して、ちらっと投稿を覗いて、まちちゃんだなあってぼんやりしてた。
今思うと、この時点で私はもうズブズブだったんだろうね。
夏休みが開けて秋学期もまちちゃんと同じ授業。
本当は春と秋で授業は変わるんだけど、私達が偶然一緒になった「フランス語」は固定の必須授業だったから、春も秋も強制で同じだった。
私はそれにちょっと感謝してた、秋もまたまちちゃんに会えるから。
そしてそれは突然にも起きた。
秋学期始まって1番最初の週、月曜日の三限。
その日偶然にも私はまちちゃんと鉢合わせることになった。