クソカス女に振り回されるハートフルボッコストーリー
田辺 真知子 たなべ まちこ
嘘つきの最低な女。そこそこ可愛い顔をしている。
外面はいいので初対面の印象だけは良い。
人文クラスに進学している、地元から学校へと片道1時間半かけて通っている。
花川 梨沙 はなかわ りさ
普通の女の子。普通の女の子。普通の女の子。
工学クラスに進学している、一人暮らし。
目前が白に染まる。
白い煙がもやもやとガラス張りの部屋に満ちていく。
白が広がる、煙草の煙は意外にも白い。
まちと知り合って知った仕様も無い事の一つだ。
白煙の真ん中、くりくりの丸目を細めたまちはこちらを見て情緒たっぷりな笑みを浮かべた。
喫煙所のガラス越しに、私を見つめてくる。
まちは勿体ぶる素振りを見せない、いつだってまっすぐこちらを見て笑ってくる。
今だってそうだ、しかもその笑みを浮かべたまま会話までしようとしてくる。
「まあな、アンタも色々思うところはあると思うけどさ。とりま言っとくわ、私平気で嘘ついちゃうんだよね。ごめーんな。」
悪びれる素振りも無い、楽しんでいるのだ。
目から、声から、彼女の愉悦が溢れている。
「大嫌い」
「言うてみーんな私のこと大すしだからさ。
嘘、つかなくてもいいんよ。」
はーっはと高笑いした女は楽しげに右手で膝を叩いていた。
そうしてその流れのまま、思い出しかのように唇に浮かせていた灰の塊を左手で摘み、小さな鉄格子へと押し付けていた。
喫煙コーナーのガラス張りの中、誰よりも下品でガサツで最低な女がそこに居た。