07 たけるに何が……?
~きよみ視点~
──前回の翌日……
ゴンゴンゴン!!
自室で寝ていたきよみは驚いて飛び起きた。
そして周りを見渡し、「あ、たけるさんなのかな?」と思いながら玄関に向かった。
ガチャ……
「おはようございます、埼玉県警察の七緒と申します」
「え、え、何ですか……?」
扉を開いたらそこにはスーツを着た女性と男性の二人がいた。
そして、女性が警察手帳らしきものを開いて警察だということを言った。
きよみはびっくりいて思考が停止してしまっていた。
警察にお世話になるなんてことは何もしていないのだから。
「あなたはきよみさんであってますよね?」
「はい、そうですけど……?」
「少しお話を聞かせてもらってもいいですか?」
「……分かりました」
──それから、きよみは警察に連れられて近所の交番に行った。
そして、聴取室に連れられた。
「それでは、話を聞きましょうか……」
「はい」
「まず、あなたはたけるさんのことをご存知ですよね?」
「はい、私の彼氏ですが……」
たけるの事を聞かれたきよみは彼に何かあったのかと不安になってしまっていた。
「か、彼に……何かあったんですか?」
「昨日、たけるさんの自宅に泥棒が入りまして、盗まれたんですよ……『銀行口座の通帳』が、ね」
「えぇ! そうなんですか!?」
「そうなんですよ。なのできよみさん、あなたが何か知っているのではないかと思いまして」
「いいえ、何も知らないです……ごめんなさい」
きよみは何も答えられずに頭を下げた。
「いえ、大丈夫ですよ。続いて……」
バタン!
そんな音と共にスーツを着た男性がまた一人駆け込んできた。
「警部! 犯人が見付かりました!」
「なんですって!? 誰だったの?」
「#ガイシャ__たける__#の叔父でした!」
「そうなのか……すまなかったな、もう大丈夫だ。貴重な時間をくれてありがとう」
「いえいえ、こちらこそ……なんの力にもなれずごめんなさい」
「いいんだよ、もう、捕まったからね……」
犯人が捕まったという報を聞いてきよみは安心した。
そして、きよみは自宅に帰ることになった。
──きよみは自宅に帰り、それから学校へ向かった。たけるは居なかった為、一人で登校した。
そして、きよみは学校で授業を受けてはいたが、たけるが居ないため、授業に集中は出来なかった。
ゆなの話もあまり耳に入ってこなかった。その日の授業を全て終わらせ、家に帰った。
そして、たけるのことが気になったが、自分にはどうにも出来ないと思い、その日は何もせずに終わった。
──たけるさんは……? たけるさんは大丈夫なのだろうか?
きよみはふとそんな疑問を抱いた。彼氏が心配なのだ。
ただそれだけな純情である。
彼女の姿は可愛いものであった。
しかし、その彼女の笑顔が消え去る出来事が近い未来に起きるとはつい知らず、彼女はたけるが帰ってくる事を心から信じ、その目を閉じた。