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第1夜 不妊治療が仇となった女性s

本編開始です。

基本的に1話完結ですが。

『アスクレピオス様、今日も治癒を求むる者達が参っております。どうか彼らにお恵みを。』


神の診療所、今日も開院。


今日の患者は四人。

うち三人が女性。

ふむ。まずはこの女性から行こうかの。


『私はアスクレピオス、医術の…』

『約束が違います!』


おわっ。

こやつ、いきなり殴りかかってきたぞ。

危ないでは無いか。いくら夢とはいえ、ここは医療空間。

暴力は許されんの。

しかし女性は泣き出してしもうた。

ううん、叱りにくいのう。


『ぐすっ…三年前に聖域に来たイスモニカと言います…ぐすっ。子供が全く生まれないので、ここに来ました…。』


ふむ、それから?妊娠しなかったのかの?


『子供は無事妊娠したんです。けどずっと、…ぐすっ、陣痛が来ないんです。子供が産まれなくて…だから、妊娠中の身体ですが、ここに来たんです…。』


成る程。


『つまりは、子供を産みたいという事で良いのだな?』

『はい。そうです。』


ふむ。しかし何故子供を産めなかったのだろうな?

どれ。調べてみるか。診療帳に記されているはずだ。三年前…っと。

そこにはこんな文言が書かれていた。


【アンスタリオン月の七日、ペレネのイスモニカ。女の子の妊娠。他に希望はなし。腹に子種を留める方法で治療。】


成る程、私の選んだこの方法では子供を産むことは出来ないな。産みたいんならそう言えば良いのに。


『君は三年前、妊娠したいとしか言ってなかった。それが原因だろうな。』

『文脈読めや…普通産みたいんだってわかるだろうが…』


なんだろう、今、押し殺した本音が垣間見えた気がするのだが。

まあよい。子供を産めるようにすればいいだけの事。


『承ろう。』


子種を成長させて産めるように治療する。これで子供も生まれるだろう。


『ありがとうございます…実は、この子が生まれないせいで、呪われたと言われていたんです…。でも産まれるならもう大丈夫です!私の立場も安定しますし…。この子が産まれたらアスクレピオス様のお陰だよって言ってあげますね。』

『ああ、私の加護を受けて立派に育つだろう。この子に恵みのあらん事を。』

『ありがどうございます。貴方にも幸のあらん事を。アスクレピオス様。』


やはり子供には無事に産まれて欲しいものだ。

夢から出て行った後私はそんな事を考えていた。

あの女性の娘ならさぞかし美人であろうな。…我が妻には悪いが、恋人にするのも悪く無いかもしれないな。

いや。

でもやはり、恩人という立場、そして神という立場にかこつけるのは良く無いだろうな。

ポセイドン様などには笑われるが、やはり恋というのはするものではなく落ちるものだ。簡単に恋人にしようというのはやはり良く無いと思う。

両者が惹かれあってこそ恋なのだ。


さて、本日の患者のうち二人目は、どんな悩みを抱えているのだろうな。

『私は医神アスクレピオス。そなたがこの聖域を訪れたのは何故か?』

『神よ、お聞きください。私は五年前にこの聖域を訪れました。私の恋人であるポセイドン様との子供を無事孕む為でございます。』


少し顔を赤らめながら女性は言った。ふむ、ポセイドン様の恋人か。そう言えば恋人に今はぞっこんだと言っていたな。

それから?


『しかし孕む事は出来ましたものの産むことが出来ませぬ…その為再びここに参った次第です。』

『ポセイドン様は?』

『あの方に迷惑をかけたく無い一心で秘密にしておりました…。』


ポセイドン様に相談していればすぐどうにかなったのにな。ああ、しかしポセイドン様は自分は浮気を繰り返しているくせに浮気に厳しいからな。嫉妬深いというのか。まぁわからなくも無い。

しかし、またか。

これからは気をつけよう。


『承ろう…そしてポセイドン様の子供だと分かるように再び孕み、そして産めるようにしておこう。あの方は少々面倒くさいところがあるらしいからな。これは秘密で頼むが。』

『ありがとうございます。』


これでいいだろう。ポセイドン様の恋人、幸せかどうかは私には分からないが。


さて、次は誰であろうか?

楽しんでいただけたでしょうか?

次回は『指が動かない男』です。

ありがとうございました!

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