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1章 契約

「…っと、ここまでが世界史です。いいですか?皆。明日までにこれについてのレポートを書いて提出。提出しなかったら社会科減点だから」

「え〜?!」

キーンコーンカーンコーン

授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。先生は教室から出て行き、生徒は一斉に話し始めた。その中で、一番はしゃいでいる青髪の男の子が主人公「セリス」。

「セリス!これからグランドでサッカーしようぜ」

セリスの親友、ライヒが言った。

「あ…ごめん、ライヒ。俺、今からセンセーのところにお説教されに行かなきゃいけないんだ。また今度やろうぜ〜」

「はぁ?!またかよ!!お前も懲りないよな。いい加減やめろよ、授業中寝るの。来年受験なんだし、内申響くぞ。お前、難しい精霊学を学ぶつもりなんだろ?」

周りがその言葉にどよめく。その中でクラスのガキ大将、ダーレンが言った。

「おぃ…マジかよセリス!!あっはは!!お前みたいな落ちこぼれ魔術師になれるわけがないだろ!大唱霊術師様が扱った魔法だぜ?そんなへっぴり腰な奴になれるわけないない。第一、お前精霊と契約してんのかよ?」

「一応」

「見せてみろ」

セリスが不安そうな顔で腰からぶら下げた鍵を幾つか取り出した。その鍵を見た瞬間、教室全体に笑いが起こった。

「なっ、何だよ!そんなに可笑しいか?!俺はただ鍵を見せただけだぞ?!」

「お前さ、こんなの契約精霊なんて言えねぇよ。3つ全部ペット扱いで契約するザコ精霊じゃねぇかよ!!あっはっは!!そんなの実戦で使えないじゃん!!あ〜お前ばっかじゃん!!」

ダーレンを中心に、再び笑いが起こった。「だから見せるの嫌だったんだよ…」と、セリスがそんな顔をしてライヒを見た。ライヒは、ダーレンを睨みながらセリスに言った。

「気にすんなよ、セリス。あんな馬鹿ほっときゃいいからさ。それより、そろそろ行かないとやべぇんじゃねぇか?職員室」

セリスがハッとする。

「ぬゎ?!そうだった!!じゃ、俺行ってくる。じゃぁな〜ライヒ」

セリスは、後ろを向きながらライヒに手を振った。



 「…失礼しま〜す。テルアセンセーいますか〜?」

「あ、ハウノ君。やっと来たわね。…たく、いつになったらおサボりを止めるのかしら?来年困るのはあなたなのよ。ほら、それまでに精霊と契約だってしなくては1次審査も通過でいないわよ?」

「…俺、高校なんて行かないし、精霊学も学ばない。」

テルアがびっくりして、息をのむ。中学に入ってから、ずっと「大唱霊術師様みたいな凄い精霊師になる」って言っていたから。テルアは少しガッカリして、肩を落とした。その時、テルアの手から金色の鍵が落ちて、甲高い音を鳴らして床に横たわった。

「センセー?何か手から…!これ…センセーこれ、何処で?!何処で手に入れたんだ?!」

セリスが興奮しながらテルアに聞く。テルアは少しほっとした顔つきになって、セリスを見た。

「あなたにあげるつもりでずっとその鍵を探していたの。ハウノ君、契約するなら風の精霊としたいって言っていたじゃない。」

「でも…この鍵って…。世界大精霊の鍵の一つだよな??金色してるし。世界大精霊って、世界で一番強い精霊だろ?何でこんな貴重な鍵を俺に??センセーは精霊学専門だろ?!だったらセンセーが契約した方が…」

セリスはおどおどしながら金色に輝く鍵をテルアに差し出す。しかし、テルアは差し向けられた鍵を再びセリスに向ける。

「言ったでしょう?私はあなたの為に探してきたの。それに、ハウノ君からは凄い魔力が伝わってくるの。すぐに契約だってできるわ。きっと今は、魔力の制御ができないから、契約に失敗してしまうんだと思う。だから、私の前で契約をしてみて?大丈夫、ハウノ君ならできるわ。それに、契約できればヴァンダーレンに見返しできるでしょ?」

テルアは、くすくすっと笑いながらセリスに言った。セリスは、苦笑いをして、鍵を受け取った。

「じゃぁ、センセー。今からするよ。見ててくれよ」

「あっ、待って、ハウノ君。世界大精霊だから、ハウノ君の力を試すかもしれないわ。屋上へ行きましょう。あと、念のためにサンダーの魔術書を持っていきましょう。」



 セリスとテルアは、屋上へきた。屋上への扉を開けると、少しの風を感じた。まるで、最初から精霊が、セリスを待っていたかのように。

 セリスは、一回深呼吸をして、鍵を目の前に差し出した。

《我、契約をもとむる者   我、理の力をもとむる者

 精霊よ 我、呼びかけに答えよ でよ!! 風の世界大精霊シュー!!》

セリスの目の前に、幾つかの竜巻が発生した。目を開けていることができなくて、目を瞑った。


 少しおさまって、目を開けてみる。すると、白い光のシルエットが見えた。シルエットは蝶の様な羽が特徴的で、体は兎位の小柄。光のシルエットが段々見えてきて、精霊の姿が見えた。まるで、小さな女の子だ。

《私を呼んだのはあなた? あなたの言った通り、私は世界大精霊シュー

私の力が必要なの? 何故?》

セリスは何が何だか分からなくって、テルアを見た。テルアは、落ち着くようにと、セリスに言った。セリスは再び深呼吸をして、大精霊シューと向き合った。

「世界大精霊シュー。俺の名は『セリス=ハウノ』。あなたとの契約を求めるのは…。大唱霊術師様の様な精霊師になりたいから」

シューは、ポカーンと開いた口が塞がらない。

《…そんな理由で私と? …まぁ、良いでしょう では、あなたがそれに相応する魔力を持っているか試させてもらいます。 いきます》

「え?!ちょっ…えぇ?!」

シューは、魔法で風の剣を作り出して、セリスに切りかかった。セリスは何が何だか分からないまま、ただシューの攻撃を避けることしかできない。テルアが叫ぶ。

「ハウノ君!!魔法よ!!サンダーの魔法!!」

セリスははっとして、魔術書を開いた。しかし、シューの風魔法によって、魔術書はビリビリニ割かれてしまった。

「?!何しやがる!!」

《私はあなたの力を知りたいの 魔術書に頼らないで あなた自身で魔法を創って》

(創るって言ったって、学校でそんなこと教えてもらってないぞ?!)

セリスはどうしたらいいか迷いながら、我武者羅に屋上を走り回る。魔法を創る…自分の魔力を制御できなきゃ、絶対できないだろ?!どうしたらいいんだ…。その時、シューがセリスの前に来て、剣を振り下ろした。

(しまった!!)

セリスは目を強く瞑って、立ち止まった。その時、

《…?!っきゃぁ!!!!》

シューの叫び声が聞こえてきた。ゆっくり目を開けるセリス。すると、自分の前に光り輝く盾が出ていた。セリスは口をパクパクしながらいった。

「…これ…守備魔法…カノン・ド・シールド。学校ですら教えてもらってない高位魔法なのに…」

シューが起き上がって、剣をしまった。

《あなたの歳でこの魔法を使えるなんて… 魔術書無しで 凄い魔法使えるのね わかりました あなたと契約をしましょう さぁ、続きを…》

「あ…あぁ。《我、 契約を結ぶ 風と共に結ぶ》…」

シューはにこっと笑いながら鍵の中に戻って行った。

《私は 今この時から あなたと契約がされました 必要な時は よんでください》

山彦の様に、シューの言葉が聞こえた。

「嘘…やった…センセ!!やったよ、俺。精霊と契約できた!!」

セリスは、テルアの方に向って走り出した。

「凄いわ…ハウノ君。シューと契約しただなんて…」

「へへっ…。ありがとな、センセー」

セリスは走って教室に戻って行った。

「…凄い魔力だったわ。セリス=ハウノ。彼は、本当に大唱霊術師様みたいになるかもしれないわね…。それに……もうすぐ『闇』が戻ってくる」


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