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序章 世界史

 時空の狭間にあるもう一つの地球がこの物語の舞台。


 この地球は、いわゆるパラレルワールド。この世界では魔法学が盛んに発達していた。精霊と契約を交わして魔法を扱う者(精霊師)、自由自在に自然を操る者(理魔導師)、闇に心を売り、古代の魔法を操る者(闇導師)。様々な者がいた。


 しかし、魔法学が進むにつれて禁断魔法に手を伸ばす者が出てくるようになった。失われた魔法、「ロスト・マジック」、全てを無に変える「エルデ・マジック」、そして、世界を闇へといざない、死者を蘇らせる事もできる「ダーク・マジック」。


特に「ダーク・マジック」は、忘れられるほど昔に確かに存在した世界最古で、最強の闇導師、『シュードゥン』が作り出した魔法。彼自身が作った魔法にも関わらず、自分の魔力に体が耐えられずに、闇へと自身が飲まれてしまった。


 最強の魔術師が扱う事のできなかった魔法…。それを扱う事が出来れば、我こそが最強の魔術師になれる。そう考える者が後を経たなかった。


 しかし、『シュードゥン』は闇に姿を消したため、その魔術書がどこにあるかだれも知らなかった。探すにも探せず、彼の遺品の中を探り出しても、紙切れ一枚も入っていなかった。人々が闇魔法の存在を諦めようとした時、一人の男が「その」魔術書を見つけ出したのだ。


 誰もが手を伸ばそうとした魔術書。それが目の前の男の手の中にあるのだ。しかし、それに誰も触れようとはしなかった。その魔術書と男からは闇の力が溢れ出していたのだ。あまりにも強い魔力に誰もが圧倒された。あの魔術書は禁断とされただけあり、恐ろしい魔力を感じた。男は高笑いしながら叫び散らした。

「我は最高闇導師の称号を持つ、黒魔導師『ジュラ』。弱き魔法使いのカス達よ、我の前にひざまずけ。命乞いをするのだ」

誰もが『黒魔導師ジュラ』に跪いた。彼の前にも後ろにも、逆らえば『死』しかなかったからである。


 そして、闇に心を完全に売ったジュラは世界を統べるものへとなり、ジュレンカ帝国を創った。

彼に対抗しようと考える者はそういなかった。が、ある日の事。突然一人の少年が現れた。少年の手には、薄い魔術書が握られて、腰には剣と、いくつもの精霊鍵フェアリーキーをぶら下げていた。(精霊鍵=精霊と契約した時に渡される契約のあかし。)

 その少年は、ジュラの前に立ちふさがった。

「小僧、そんな薄っぺらい魔術書と弱い精霊鍵でこの帝王と張り合おうと言うのか?愚かな。そんな事は死が待っていると目に見えている。跪けば、命だけは助けてやる。さ…」

「黙れ。」

ジュラは息を飲む。

「聞こえないのか?俺は黙れといった。苦しむ人をみてそんなに楽しいのか?闇に心を売って人間か?」

少年は剣を抜き、その剣先をジュラに向けた。剣からは光の魔力が溢れ出している。

「…お前、それは…」

「聖剣ゼリュナーブ、神子みこの加護を受けた剣だ。俺はこの剣でお前を切る」

ジュラは笑った。

「はは…ははは…はははははは!!そんな剣で我を切ると?!ふざけた話ではないか。我は世界の運命に選ばれた闇の王。黒魔導師ジュラだ。お前のような小僧に我を倒せるはずがないだろう。さぁ、かかってこい、遊んでくれるわ!!」

少年はジュラに、目で追えないほどの速さで襲いかかった。そして…一瞬にしてジュラを切り裂いた。ジュラからは、黒い血が流れる。

「!!…何故?何故だ??お前のような小僧に我が…」

《開け、精霊界の門。いでよ、時の使者、フレヴィンガ》

精霊がジュラの周りを飛び交う。

「時空精霊フレヴィンガは、お前そのものを時間ごと移す。何もない、遙か彼方の宇宙へ行くがいい。そして、共に禁断魔法の数々も…」

「うわぁっ、やめ…やめ…ろ…ヤメロ…ヤメロ…ワレハサイキョウノクロマドウシ…ジュラ…ダレニモ…ヤブレ…ルコ…トハナ…ィ……」


 ジュラは消えた。その瞬間、いっせいに魔術師たちは叫びだした。ジュラがいなくなり、禁断魔法も、一生触れる事がなくなったのだから。


 しかし、それと同時に少年も姿を消した。あれは幻だったのだろうか…今は伝説として語られている。『大唱霊術師』と…



 そして、今日にいたる。ここからが、この物語の始まりだった。

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