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自習室 席番号X   作者: ステルス
1/2

〜席番号旧5番〜

自転車で約10分、車の音が少しうるさい駅前付近のマンションからひたすら北へ進む。少しすると坂道が、姿をあらわす。それを下った先には静かな散歩コースをもつ大きな公園がある。散歩コースを2分ちょっと進んだ先に、公共施設「もみじ広場」は建っている。

広々とした野外駐輪場に自転車を止める。朝早いから所々にポツリポツリとしか自転車は止まっていない。

入り口は3つ、駐輪場から1番近い正面入り口、その裏手にある南入り口、そして野外階段を上った先にある2階入り口がある。

俺はいつもの2階入り口へと、センター試験の過去問やノートなどの勉強道具が入った重いリュックを背負い階段を上っていく。

もみじ広場は3つの階からなる。1階には受付があり、そこで許可を取れば視聴覚室、防音室、調理室などの部屋が利用できる。飲食コーナーと自動販売機は自由に利用できる。

3階は体育館になっていて、子供から年配までの様々な人がスポーツに日々励んでいる。

その間にある2階。そこに俺の目的地がある。1階の中央階段か南入り口付近の階段、あるいはエレベーターをつかって2階に上がることができる。野外階段から入ることももちろん可能だ。

中央階段を上って左手、そこに自習室がある。

朝の8時半から夜の9時まで利用可能。小学生は5時、中学生は7時までの利用となっている。

室内には長机が縦に5台、横に3台で15台。1つの机に2人座ることができるので合計30席が用意され、1番奥の左隅から後ろに1、2、3、、と席番号がふられている。

入り口にある利用表に名前と席番号を記入し、そこに置いている番号札を取って入室する。

何故俺がこの施設について詳しいのか?それは俺がこの自習室を使い続けて早4年に差しかかろうとしている常連であるからだ。

腕時計を見ると現在時刻8時32分。1番乗りで利用表に「サイジョウ」と記入し、入り口に1番近い5番の席を取り入室する。そして部屋の照明をつけ席に着く。それが休館日と祝日を除いた2年続く俺の日常、、、と、利用表を見るまで思っていた。

「、、、は?」

無意識に声が出ていた。まっさらなはずの今日の利用表には名前があった。可愛らしい字で「オカノ」と記入され、席番号を表す5の数字があった。

ガラスばりになっている入り口越しに、中を凝視した。すでに電気がついている部屋の中に1人、5番の席に座るポニーテールの後ろ姿があった。

俺の日常は、この瞬間崩れ去ったのである。




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