4 くせ者2人
はやめとかいってメッチャ遅くてすみません!!!!
ちょっと長めなので許してください。
真っ赤なその車は、すごいスピードで宇宙たちの車の横に止まった。
三人が呆然と見ている中、運転席から女の人が現れる。
真っ黒なスキニージーンズがスタイルの良さを引き立てているその人は、つり目の美人だった。
「あっ、キュウポンか。」
一番最初に気がついた宇宙がぼそりと呟く。深雪もすぐに気がついた。
「キュウちゃん、おはよう!相変わらずすごい運転だね〜!」
深雪とキュウポンは、ネット上で知り合い、よく一緒に歌った動画を投稿したり、生放送をしたりしている親友である。
「キュウさんか。すごい運転だなぁ。」
宇海もつぶやく。
KINGの三人は、一度キュウポンと生放送をしたことがある。
キュウポンは、車から降りて、その場の三人を見ると、一直線に深雪の元へと走ってきた。
その勢いのまま、深雪に抱きつく。
「おはよう、深雪!今日は一段と可愛いね!その服もよく似合ってるよ!」
「おはよう、キュウちゃん。キュウちゃんは今日もかっこいいね!」
「………………えーと、宇宙さん?」
「おい、キュウ。ちゃんと挨拶しろよな。宇海、こいつは深雪といるとずっとこんな感じだからほっとけ。」
「あっ、はい。」
これまでのイメージを完全に覆すような態度のキュウポンと、キュウポンに抱きつかれて少し顔を赤くして嬉しそうな深雪の笑顔に、いろんな意味で黙り込む宇海であった。
「…………………もう充分だろ。夏樹はまだなのか。誰か知らないか?」
痺れを切らした宇宙が、その場の三人に聞く。
すると、きょとんとした顔をしたキュウポンが口を開く。
「え、夏樹なら車で拾って連れてきたよ?まだ中なのかな?」
「「「え⁉︎」」」
四人がいっせいに車を見ると、助手席のドアがわずかに空き、男の人がずり落ちてきた。
「だ、大丈夫ですか!?大変!」
小さく悲鳴をあげた深雪は、その人の元へ駆け寄り、体を支える。
赤い派手なTシャツを着た明るい茶髪の男は、深雪が支えると、苦しそうに閉じていた瞳をうっすら開いて深雪を見た。
何秒か見つめ合うと、その男がつぶやく。
「…………………天使だ。俺は死んだのか。まだ若いし、もう少し生きたかったなぁ。」
「え、あっ、ち、ちがいますよ!?」
顔を真っ赤にして慌てている深雪を見て、遠くで見ていた宇海が走ってきて、深雪から男を奪い取る。
「おい、夏樹!まだおまえは死んでないぞ!おまえがRINRINさんのことを天使なんていうから困ってるだろ!」
「………………、あっ宇海!俺死んでないのか?意識がなくなって、目がさめると天使がいたんだ。ていうか、天使はRINRINさんだったの⁉︎すごい可愛いね!俺は夏樹だよ!覚えてね。」
「あっありがとうございます?RINRINです。よろしくお願いします。」
予想よりはるかにチャラい夏樹にどう接したものかと戸惑う深雪だった。