開幕
私プロット作れませんので加筆修正されて行きます
設定とか変わっちゃうかも
途中でえたるかも
完全に自己満足です。
お粗末ですがご覧ください。
私は夢を見ていた。
正確には、夢のように視界の覚束ない場所に存在して、それが疑う余地のない真実だと信じ込んでいた、のだが。
ぼんやりとした視界には、意味のあるものなどないように思えた。
あんまり見たくないような、赤黒くなった何かが足元らへんにあるようなないような。
声がかけられて、意識が大分はっきりする。
「これまたひどい死に様」
死に様。あ、そうか。死ねたんだ。
死んだという事実を思い出した。辛うじてそれが自ら選んだ事だったことも。
思い出して、赤黒いものを、視界に入れないよう努めた。
私が思い出したことを悟ったように、声は続けた。
「何故、自ら?」
感情の読み取り難い声だと思う。怒っているようでも、優しく問いかけているようでもある。穏やかなのか、激情が滲んでいるのか。よくわからない。
ただ、問いかけている人物を、私は何の理由を持ってか、神様だと思っていた。
「……神様に質問があります」
「カミサマ、ほう。問うてみ」
「生きる意味を」
神様は、息をついた。
悩める息のようにも、呆れたため息のようにも、はたまたせせら笑いのようにも聞こえた。
「なるほどな、わかった。求めているものかは存ぜぬが、応えようとも。
お前の生きた意味は無い。生きる意味も無い。まして、死んだところで、それに意味もなかろうが。全くもってな、価値のない」
ちょっと衝撃的。受け入れ難いことだった。なんとなく考えてた。けれどそれを他人に言われると、現実味を帯びて、のしかかり、突き刺さる。ましてや、相手は神だった。
「お前、何を望んで死した?」
私が望んだもの。
別に神との問答ではない。聞きたいことなんて、自分に散々聞いた。答えは全部、わからなかった。ただ辛く苦しくって。
それから逃げてしまいたかった。
誰だったかな、忘れてしまったけど「なんのために生きているの?」「なんのために頑張っているの?」と冷ややかに否定をされて、それがもともとのきっかけのだったかもしれない。
この選択に至った原因なんて、どこを取ってもあるような気がする。そうして、たどり着くのは生まれたことが失敗だったという、ただ一つの答え。
そうだ、私が求めていたのは安寧。人間なんて早すぎた。せめて獣として、生きるために生きて行きたかった。人間は、それで生きることができないんだもの。
「ケモノになるのを望むか」
それが理由と尋ねられれば、途端にわからなかった。はたして私は死にたかったのか。
わからない。わからない。……わからない。
それが理由だったな、わからないこと。
知らない出来ないわからない。
それに気づいても、どうすればいいかわからない。
周りはできているのだろう思った。何か、わかる術が。
そして思い返せば何もしてこなかったし、何も人に誇ることがなかった。わかっている気がしていて、なにかをしている気がしていて、何もしていなかったし、わからなかった。
そうして無駄にした年月の長さに驚いた、17になりたての私。
気づいたのが、遅すぎた。次の年の18は、区切りだった。大人への。アダルトなものだって胸を張って見れる、大人な区切りだ。一人前の意味を持っていたはずだ。そしてその通りに、自立が突きつけられる。
自分に出来る気が微塵もしなかった。
自分の無知無力に絶望したのだ。
過去を悔やんでも遅かった。
たった17なんて思うかもしれない。それで絶望かと。いじめられてたわけじゃないし。
相談できる相手もいなかった。相談といっても、何を相談したらいいのかさえ、わからないほどに、無能だった。
だから、だから。だから?
そう、だった。
この選択も無能ゆえの選択にすぎないのだろう。でも私にとって、それが最もすべきことだったからこうなっている。
「お前はわかった気になっているな」
「違います……!! だって本当にわからなかった」
否定されて、思わず声を荒げる。
「違わない。お前は、わからないということをわかった気になっている」
意味が、わからなかった。
「近頃、お前のような奴が多いな。与えたものをさも使ったかのように捨てる」
多く話すようになった声は、相変わらず感情の色を見せない。
「しかし、取り分けお前は。……お前の生を認めるわけにはいかぬ。生を認めず死を認めることかなわぬ」
「……え?」
よくわからなかった。
「お前のすべての問いに答える。ーー生きろ」
意味を噛み砕く間も無く、意識は解けた。