小波美魅見という女
「なあ なんで山なんだ?」
僕達は登山をしていた
「あら 久しぶりにこの街に戻ってきたんだもの
この街を山頂から眺めてみたいじゃない?熊くらいなら素手で倒せるから安心だし」
小波は微笑んだ
わけの分からないことを・・・・
ただホントに熊が出ても小波なら倒せるだろう
いや 小学生の時 小波は山篭りをして「熊は近くの山にいるのか」という自由研究で倒した熊を学校に持ってきたのだ
学校は騒然となったが・・・
人並み外れた身体能力と人並み外れた奇行で
小波は人から距離を置かれていた
「でもザラメくんと会えて本当に嬉しいわ
みんな 私を怖がって避けていたでしょ?
子供の時 そんな私と毎日遊んでくれたのは幼馴染のザラメくんだけだったもの
私がどんなことをしても 怖がってはいても私を避けずに遊んでくれてたでしょ?
それは幼い私には嬉しかったし ザラメくんは私を嫌わないでいてくれてたのもあって
私は自分に正直に生きていたし 今も生きてこれているの」
小波は微笑んだ
そう僕は小波と毎日遊んでいた 幼馴染だからなのか家が当時近かったからなのか いつの間にか隣には小波はいた
ただ物心が少しずつついていくと小波が変人なのは分かってきたし
得体の知れなさに恐れもした
しかし僕は小波から離れはしなかった
僕は小学校時代 内気なのともしかしたらいつも一緒にいる変人小波の影響もあるのか小波しか友達がいなかった
でも小波だけは僕のそばにいてくれたのだ
たとえ小波の存在が僕から人を遠ざけていたとしても
毎日 ドン引きする出来事を小波が引き起こしても
僕には小波のいる毎日は救いだったのだ
それに 内気で自己表現が苦手だった僕には
自分のやりたいことをやりたいようにやる小波にはドン引きしながらも少し憧れていた
僕は小波が嫌いじゃあないんだ
!?
前方に猪がいる!何で気がつかなかったんだ!どこから沸いて出た!もう走って逃げられる間合いじゃない!
・・・・熊をも倒した小波ならなんとかしてくれるはず!
斜め後ろを振り返ると小波が転んでいた
「ごめんなさい、足挫いちゃったみたい」
小波は微笑んだ
何笑ってるんだ!
僕は小波が嫌いじゃない・・・・
けど決して・・・
好きでもない!!!!




