懸ける 駆ける 賭ける 欠ける かける
[やるわね…霧雨くん]
小波が笑い立ち上がった
[完全に柔術では私より上手くなったみたいね、驚いたわ
あなたここ最近きっと負けたことがないでしょう?
だって私の柔術は小学生の頃に熊も投げ殺せるレベルだったもの…その頃にはもう柔術という技術だけで私に勝てる生き物など存在しなかった
私は熊の力くらいなら簡単に力を受け流せる柔術を得てる
しかしその私の柔術よりも遥かに上をいく技術の柔術をあなたは得ているもの
私 あなたより強い生き物をみたことがないわ
…私を除いて…]
小波は笑った
[私は生まれて初めて本気をだすわ
それがこんな嬉しいことだなんて…
あなた…ゴジラの力を受け流せる?]
小波が腕をゆっくり振り上げた
そして霧雨に向かって降り下ろした瞬間
ズドォォォォン!!
物凄い地響きと破壊音がして
霧雨は地中に埋まった
[あなたならできるかもね
でも私ゴジラより強いかもしれないの
ねぇ 霧雨くん
私 私より強い生き物をみたことがないの]
小波は満足気に微笑んだ
僕が見てきた中でたぶん一番強い小波の前に
霧雨は倒れた
僕は幼馴染みの勝利よりも
初めて見た霧雨という男の敗北に
ひどく
ひどく落胆した
理由は解らないが
僕は幼馴染みよりもおそらくクズでもクズなりに懸命な
霧雨を応援していた
この落胆はどこにやればいい
どうすればスッキリするんだ
[凄まじい男だったな、
それだけに本当に残念だ
下らない恋愛事など拙者は大嫌いだし
そんなものに懸ける者も大嫌いだ
だかこの男は大嫌いだが…嫌いじゃない
そしてそんな嫌いじゃない見知らぬ男の意志をカリソメにでも受け継いで…拙者の拳で
この知っているが初めて顔を合わす女に伝えてやりたいといま何故か思っているよ]
僕の後ろで誰かが語った
後ろを振り返る
忍者だ!!!
羽衣夕吉さん!!!
[あらザラメくん
いたの?
後ろの方はだあれ?]
小波が僕と羽衣さんに気付いた
[お初にお目にかかる 小波殿
そしていきなりだが手合わせ願いたい
羽衣夕吉 参る!!!]
[今日は本当に楽しい日ね
初めまして羽衣さん
受けてたつわ!]
小波が笑った




