会合
どこかのモーテル。
モーテル内の食堂に4人の人影が円形のテーブルを囲み、座っている。
「セガールの報告だと、連中は旅行用バス車内に閉じこもってるそうだ」
男が言った。この男はゴーグルにマスクを着用し、自分の顔を隠している。
この男こそ、セガールの通信相手のスティーブンだ。
「ジュドもナツコも本当に無能な連中だ」
保安官の格好をした男が言った。
スティーブンとは違い、自身の顔を露出している。
この男も醜かった。
唇がなくなって、歯と歯茎を露出している。肌も荒れていた。
「ホワイト、2人が可哀相だ」
スティーブンは哀れそうに言った。
「ホワイトじゃない!ホワイト保安官!」
「同じだろ?どちらにしろホワイトは偽名だろ」
「昔の名前は捨てた。今はホワイト保安官だ」
「よほほほ~♪よっほほ♪」
3人目の男が機嫌良さそうに歌った。
この男の顔はゆがんでいた。名札にはキルユーと書かれている。
「お前らは何も分かってないな」
4人目の男が言った。
男は黒色のスーツにタキシードを着ていた。
肌は真っ白で、強膜が黒くなり、瞳孔が爬虫類のように細くなっていた。そして虹彩は赤く光っていた。口は裂け、常に笑みを見せている。今までの異形者の中ではもっとも人間らしい。
スティーブンは首を傾げた。
「何が分かってないんですか?ビッグパパ」
「全てがだよ間抜け。それに、俺のことは<ベルゼブブ>と呼べ」
ベルゼブブは不気味な笑いをあげた。
食堂の扉が開く。
大柄の、血塗れのエプロンを着た、巨大な肉切り包丁を持った、鉄製の兜をつけた巨漢が入ってきた。
「肉屋、食事の準備が出来たのか?」
スティーブンは聞いた。
ブッチャーはうなずいた。
「よし、もってこい」
皿を乗せた車椅子を押しながら、将校用軍服を着た、肌がひび割れ、岩石色のした男が来た。
「シビル少佐、今日のメニューは?」
シビルは口を開いた。
「人肉のステーキです。悪霊帝王様」
焼きたてのステーキをテーブルに載せる。
「性別は?」
「女子です」
「焼き具合は?」
「ミディアムです」
ベルゼブブは満足した。
フォークとナイフを手に取り、一口サイズにステーキを切ると、味見した。
「うん、中々だ。うまい」
ブッチャーはうなずいた。
「さあ、食え、息子達よ」
3人はステーキを食べ始めた。
「シビル少佐。2組はどうする?」
ベルゼブブはステーキを食べながら、聞いた。
「既にドラコとチャップが偵察に向かってます」
「後始末は?」
「ジュピターがやります」
ベルゼブブはますます満足した。
「奴は凶暴だが、実力はナンバー2だな」
「そうですね」
ベルゼブブは立ち上がった。
「シャワーを浴びる。残りは食っていいぞ」
ブッチャーは残ったステーキを掴み上げ、兜を脱ぎ、異様に発達した犬歯だらけの口で食べた。
「1組の残りは?」
「男子3人女子3人は残しましたが、それ以外はトーマスが解体しました」
「解体した奴は?」
「保存室で保存してます」
「ハデスは?」
「寝てます」
ベルゼブブは目を光らした。
「家族に<あれ>は、ばれてないな?」
「はい」
「最重要危険人物は?」
「独房に閉じ込めてます」
「あいつは暴れだしたら、誰も止められないからな」
ベルゼブブは部屋を出ようとした。
「そういえば、ボスの好みそうな女の子が居たとか?」
ベルゼブブは振り向いた。
「どんな奴だ?」
「セガールの報告では、金髪のヨーロッパ人だそうで。恐らくイタリアかフランス人かと」
ベルゼブブが振り向いた。
「フランスはボスの好きな国ですからね」
「その通り(プレシゼマン)」
満足げにうなずいた。
「プレシゼマン」