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遠い旋律  作者: 神山 備
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それから……

高広が何かを感じていたのかどうかはわからない。

でも、指輪はちゃんとしたもので、サイズ直しもできた。

私はそれを左手の薬指に納めた。

それを見つけたノエは、

「止めてよ、何だか切なくなっちゃうじゃない。」

と、涙目で言ったけど、こうしてるとずっと一緒に居られるような感じがするから…


職場は…整形外科の外来への異動を命じられた。体の負担はもちろん、命の瀬戸際にいる人たちから遠ざけるための配慮だったと、今は感謝している。


また、あれから私は高広がいなくなった彼の家に時々遊びに行くようになっていた。

私をお父さんもお母さんも娘のようにかわいがってくれる。

「何だか、高広が女の子になって帰ってきたみたいよ。本当にあなたたち似てるわ。」

と高広のお母さんが言った。

「それじゃ、私ってニューハーフみたい…っていうか高広がなよったくなって帰って来るなんて想像できないです。あいつはすごく男らしかったから…」

って返した。そしたら、

「あら、そうだったかしら。どちらかというと童顔でかわいい感じじゃなかった?」

って言ったので、私はちょっと睨んで、

「とにかく、あいつは世界一男らしくて、カッコよくて、ステキなんです。それに、あいつの気にしてた事言っちゃダメです。」

と言い返した。

「ますますあなたたち似てるわよ。今の睨み方なんてもう、そっくり。それと…なんだか、そんなに褒められると親としては複雑だわ。」


私がそんな風に臆面もなく高広のことを褒めてしまうのは、やっぱり後悔しているからかもしれない。もっと早くにお互いの気持ちを確かめ合っていれば、私たちはそれこそ高広が病気になるもっと以前に1つになれてたかもしれないのにと、ふと思ってしまうからかもしれない。


そうして時は過ぎていく…


そして高広が亡くなって6年の月日が経った。


神山でございます。


実は、これさくらの6年前の出来事だったんです。


そして、高広の七回忌、さくらはある思いを持ってあの桜の前に立ちます。


では、次回最終話です。

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