つながり
-高広のノートから-
ついに、バレた…
「そばにいさせて」
って言ったときのあいつの顔…あいつのあんな顔、見たくなかったな。これでよかったんだって自分に言い聞かせているのに、結局オレはあいつを泣かせてばかりいる…そう思うと、ちょっとぐらっときたから。
もう一度別れを告げた。ホントのことを知ったあいつは、もっと納得しなかったけど、「もう2度と会わない」と言った。
だけど、これでいいんだ、たぶん…そう思った。
そしたら、あいつ
「私たちはつながってるんでしょ、どうしても辛くなったら呼んで、どんな場所にいても私は行くから」
って言った。
-オレたちはつながっている-
それは、オレがあいつが眠っているときに久美子に言った言葉。あいつウソ寝して聞いてたのかと思ったら、オレたちが会話してる夢を見たって言う。どっちにせよ、不用意にあいつが居る所でこんな話をしたオレが悪いんだけど。
オレは断れなかった。それまで断ったら、別れないとあいつは言い出すだろうし、本当は最後の最後まで一緒に居たかったから。直接オレの最期に立ち会わせるより良いかも知れないとも思った。
しかし、本当にそんなことが可能なんだろうか…わからないまま約束したけど…
もしダメなら、恨まれるな…その方があいつはオレのことを早く忘れられるかもしれないけど、何かそれはイヤだ。
バカなオレ…こんな訳のわからない約束を楽しみにしているのか。
さくら…絶対に来てくれよな、待ってるぞ。
そうよね、わたしだってホントに呼んでもらえるとは思わなかった。でも、そんなことにでも望みをかけないとあんたのワガママは聞けそうになかったの。
私は、あんたがあの時呼んでくれたから、今1人でも立っていられるんだよ。
どっかで今も、あんたが見ててくれると思えるからさ。
高広のノートはこれで終わっていた。後はもう書けないほど苦しんでいたんだろうか。病院まで搬送されてきた高広の姿をまた思い出して、私は震えながらノートを押し抱いた、
それにしても、なんでこんなに突然に逝ってしまわなきゃならなかったんだろ…
あいつ…ホントに悔しかっただろうな。