高広の家へ
それから1週間、退院した私は、その足で高広の家に向かった。
「ごめんなさいね…さくらさん。落ち着いたら真っ先にあなたのところに行かなきゃならないと思いながら行けなくて…」
高広のおかあさんは、声を震わせながらそう言ってくれた。
「いいえ、何もお手伝いできなくてすいません。」
私がそう言って頭を下げると、あいつのお母さんはあわてて首を振りながらこう言った。
「そんなこと、!私はただ、高広があのままあなたを連れて行ってしまったら、あなたのご両親になんて謝ったらいいのかと思って…」
「高広も、みんなに恨まれるから帰れって、言ってました。」
それで、私は高広のところへ飛んだ時の話をした。
「そう…あの子そんなこと…」
それを聞いたお母さんはため息を吐きながらそう言った。
「信じてもらえるんですか?」
「信じられないんだけど…あなたの話を聞いてると、まるであの場所に居たとしか思えないから…」
「それで…これは、渡そうかどうか迷ったんだけど…」
「何ですか?」
お母さんはそういうと私に1冊のノートを手渡した。
「高広が自分の病気を知ってから書いたものなの。これを見たらあなたはまた辛くなるだけかもしれないけれど…あなたにはあの子がどんなことを考えていたのか知る権利があると思うの。」
「見せて頂けるんですか?」
「もらってやって…あなたに宛てて書いたものだろうから。処分はあなたにお任せするわ。」
「ありがとうございます。」
私はお母さんからノートを受け取って胸に押し抱いた。
そして…私は高広のノートを読み始めた。