生還
「さくら!気がついたのね…良かった。」
少しして、私のお母さんが病室に入ってきた。疲れた顔をしていた。
「このまま目を覚まさないかと思って心配したわ。」
私にはそんなに時間が経った感じはなかったんだけど、実際には私は極度に衰弱していたらしく、私自身も3日間くらい生死の境を彷徨っていたらしかった。もう5日間も眠り続けていたとお母さんから聞かされた。
あいつ、私をお葬式に出さないようにしたのかも…私はそう思った。
それから、お母さんは言いにくそうに私に言った。
「さくら、坪内君はもう…」
「分かってるよ、最後一緒にいたから…」
お母さんは一瞬で青ざめた。
「さくらあなた…バカな事は考えないないでよ…」
お母さんは、私が彼を追いかけるのではないかと、本気で心配している様子だった。
「大丈夫よ。心配しないでそんなの高広が許してくれる訳ないから。」
「坪内さんも、そのことをひどく心配されていたわ。」
うん、そのことも見てわかってるから。私はそうお母さんに言おうとして止めた。それを言ったら、おかあさんはたぶん、もっと心配するだけだ。
「本当に大丈夫だから…安心して。」
「そう、じゃあ意識が戻ったって坪内さんに知らせてくるわ。」
「ありがと…元気になったら真っ先に必ず伺いますって言っといて。」
「ええ、分かったわ。」
お母さんは高広の家に電話するために、病室を出て行った。
お母さんが病室のドアを閉めた途端、私の目から涙が堰を切ったように流れ出した。
「やっぱり誰に何と言われたって一緒にいってしまいたかった。どうして、連れてってくれなかったのよ。」
私はベッドに寝たまま天井のはるか上に向かってそうつぶやいた。
高広のバカ…やっぱり1人はヤダよ…