Episode‐6~縁と平和のページ~
ライブが全て終了したので、楽屋やライブハウスの片付けが大変なのを知っているから手伝いをした。フロアの掃除もしたし、ドリンクのとこの掃除もやったし。
「こんなもんかな。」
「きぃちゃん!」
「優、慧。秦さんのとこ終わったの?」
奏響、慧、優が手伝ってくれるとのことで、慧と優は秦さんの手伝い。奏響はスタッフのとこに行ってくれている。
「あぁ、もう良いって。」
「ライブハウスって結構仕事あるんだね〜!」
「まーね。」
でもライブハウスは大変以上に得るものもあるけどね。
「あ、そーくんも帰ってきた!」
「よ!お疲れ!」
ーーーコンコン!
楽屋のドアがノックされた。
「僕が開けるね!はいは〜い!あ、花沢さんと樋野さんじゃん!いらっしゃい!」
優よっぽどライブが楽しかったのか、テンション高いな。
「やっほ〜!お疲れー!」
「こんばんは、秦さん?に話したら、楽屋通してくれなの!!」
「あ、これ!みんなに花束ね!」
芽衣と美紅が態々4人分の花束を届けに来てくれたのか。
「ありがとう、美紅、芽衣。」
「ううん、それよりライブめっちゃ良かった!!」
「ほんとほんとライブハウスって初めてだったけど、特に煌夏ちゃんと春田くん、柳くん、井間くんがそれぞれかっこよかった!」
「次のライブもちゃんと誘ってよね!?」
こんなに2人に喜んで貰えるなら、誘って良かった。
ーーーコンコン!
またノックされたのでドアを開けると秦さんだった。
「穂川さん、BlueStaR L!neЯのみんな、今日は本当にお疲れ様!」
「お疲れ様です、秦さん。今日は無理なお願いまでしたのに、ご対応ありがとうございました。」
「「「ありがとうございました。」」」
「はは、あのくらい全然無理なお願いじゃないよ!むしろバンドなら、あれくらい図々しい方が好きだ!」
本当に秦さんは人情が深い人だ。秦さんには感謝しきれないのに……秦さんの提案で、ライブハウスの近所にある料理が美味い喫茶店があると言うので着いてきたけど。
「秦さん、ここ私の両親のお店です。」
「え!?そうなの!!」
秦さんは驚いているけど、私も驚いている。
「え、まさかの!」
「すごい偶然だね〜!」
私もそう思うと言って、ドアを開けて入ると
「いらっしゃい!って煌夏と秦じゃないか!」
「あら、ほんとお久しぶりね!秦さん」
なるほど、お父さんとお母さんと秦さんは知り合いなのか。お父さんがまだやっていたバンド時代に会ってても不思議では無いか。
「ここが、きぃちゃんのご両親がやっているお店なの?」
「うん。」
「なんかレトロの雰囲気で落ち着くな。」
慧の言ってることなんとなくわかる。お母さんがお冷を置いてくれる。
「ありがとう、お母さん」
「それにしても、煌夏と秦さんが一緒なんて思わなかったわ!」
「奏響と優と慧で、バンドを始めたんだけど。秦さんは私のバイト先で、さっきSiNSilentでライブしてきたところ。」
「とても素晴らしい迫力満点の演奏でしたよ!」
「お!秦にそこまで言わせるなんて凄いじゃないか、煌夏!」
みんなの前で頭を撫でられるのは少し恥ずかしい。
「秦さん、私と芽衣まで誘っていただいてすみません。」
「ありがとうごさいます!」
BlueStaR L!neЯだけじゃなく、美紅と芽衣が楽屋まで来てくれた時に誘ってくれた。
「高校生が大人に遠慮しなくていい。君たちもライブを盛り上げてくれた、お礼だ!好きなものを食べてくれ!」
「「秦さんかっこいい〜!」」
秦さん、なんかお父さんみたいな人なんだよね。私は友達のスタッフに録画してもらったライブ映像を見ていた。
「何真剣に見てるの?せっかくの打ち上げなのに」
「奏響。さっきのライブの録画を友達のスタッフに頼んでおいたの。」
録画画面を奏響たちに見せる。
「へぇ、よく撮れてるね〜」
まだまだ輝ける気がしてならなくて。Ronder HereとMARIN RUNLYのようになるには、何かがBlueStaR L!neЯに欠けている。
「穂川さん」
「秦さん?」
「穂川さんの向上心は素晴らしい。でも今日のトリだったRonder Hereからアンコールを勝ち取った。今はそれで十分凄いことだよ!
しかもBlueStaR L!neЯは、駆け出したばかりで、物足りないのは当たり前だよ。」
……そっか。
「とりあえず、食べよう!僕お腹減っちゃった〜」
「はは!井間くんは元気だね!みんなもエネルギー存分に補給してくれ。」
秦さんの言葉に救われた、このライブハウスをバイト先に選んで良かったな。
冷めない熱に私は抑えられなくて、今日ライブで披露した既存曲の改良を始めた。もっと何か出来たのではないかと、Ronder HereとMARIN RUNLYを見て思ってしまった。
「穂川。また寝てないのか?」
その結果、一睡も出来ず学校に登校した。
「何が?」
「目元の影が隠れてない。」
おかしいな、目元にコンシーラー塗ったのに。
「でーも、きぃちゃんが寝不足の日、ちゃんと授業で居眠りしてなかったよね!けーくんと違って!」
「うるせーよ、井間。」
そんなのをぼんやり聞いて、休み時間はテスト勉強の為に問題集を解き始める。
「煌夏、何してるのー?」
「これは数学の問題集だね。あ、テスト勉強か!再来週だもんね!」
「うん。夏休みは音楽漬けにしたいから」
「ふふ、煌夏ちゃんらしいね。でも夏休みだもんね!そういう夏休みにしたいだよね!」
「それを言うなら、美術部の樋野さんやテニス部の花沢さんも同じなんじゃない?」
芽衣と優と話していると、何かが落ちる音がして、見ると……教科書とか何やらが床に散らばっていた。
まさに惨状と言ってもいいな。
「あはは〜」
「あちゃー」
「えー、嘘でしょ。」
美紅、奏響、慧はまさに絶望と言った感じらしい。
「でもやろうと思えば、今からでも間に合うよ。まだ2週間あるし。」
「う…小テスト満点の煌夏にはわかんないんだよぉ。」
「私別に頭いいわけじゃないよ。この前も優に数学を教えてもらったし。」
私が頭良かったら、教室で問題集やらないでしょ。
「きぃちゃんはライブ前から勉強してたからね!小テストの結果はきぃちゃんの努力だよ!」
美紅、確か一昨日の小テスト。うん、思い出さないようにしておこうかな。
「じゃあ、明日祝日だし。テスト勉強でもする? ちょうど明日から部活がテスト休みでもあるし。」
「お〜いいかもね、僕も2人に教えるの大変だしさー」
芽衣の優しい提案と違って、優のジト目と来たら。なんとなく毎回優頼りなんだろうな。
「かたじけない。」
「頼む。」
「よろしくお願いします。」
ということで、明日は私の家でテスト勉強することになった。
次の日の祝日。
両親に友達を家に招いていいかと聞いたら、めっちゃ喜んでた。そして今朝に「パパとデパートデートに行ってくるわね!お菓子と飲み物キッチンにあるから食べてね!」と言って、出かけて行った。
今の時間は10時で、来るのが13時でまだ時間あるし、私はパソコンと睨めっこして既存曲の修正した。
ーーピンポーン!
「来たか。はーい。」
さっきまでは10時だったのに、もう13時になってた。急いで階段を降りて玄関のドアを開けると、奏響、慧、優、美紅、芽衣がいた。中学の時にはなかった光景の休日だ。
「いらっしゃい。どうぞ、入って。」
どうしよう、なんかライブより緊張するかも。
「「おじゃましまーす!!」」
部屋に皆を通す。
「おー!きぃちゃんらしい部屋だね!」
「見事にバンドグッズばっかだな。」
棚にだけでなく、好きなバンドのポスターやCDとかもたくさんある。
「あっちはLAMPとMS RED PEACHで、お、あれはクイン・キャメルとトロイメアのポスターまである。」
「きぃちゃんもなかなかマニアックだね〜!」
「そう?奏響たちと案外そう変わらないかもよ?
「あー、そうだな。確かに俺も最近バンドグッズが増えた気する」
「ふふ、似たようなもんだよね!」
「優のは、もっとあるがな。」
それはちょっと興味があるな。とか部室と変わらないやりとりしてたら。
「「ふふっ!!」」
芽衣と美紅に笑われてしまった。
「グッズの話は後にして、まずは勉強しよう。」
「そうだね〜!」
「特に奏響と慧には頑張って貰わないと困る」
「分かった。」
「はぁ。」
奏響と慧と美紅は、問題集を解いてる。私はもう問題集を昨日で終えてしまったしな、優はスマホ見ている。芽衣は読書待機らしい。
私は編曲ソフトと音楽制作の勉強しようと本棚から資料本を取り出して、読み始めて数分。
「芽衣ー。これどうやるの?」
「えっとここはね!」
美紅は芽衣に任せた方がいいのかな
「…全然わからん。」
「けーくん、中一には数学苦手だったもんね。どれがわからないの?」
……私は、飲み物でも取ってこようかな。そう思い立って部屋を出て、ジュースを持って部屋に戻ると
「「あ。」」
奏響と慧が、私の棚を見ていた現場を目撃した。そこにはCDや雑誌、本が主にある。
「別に見るのは構わないけど、それより勉強はいいの?美紅はちゃんとやってるみたいだけど。」
「わかってるよ」
「穂川、あとで何枚かCD借りていいか?」
「別に構わないけどさ。」
奏響と慧がこんなに勉強に対して集中力がないなんてちょっと予想外。
「私、テニス部の合宿あるからさ!」
「部活の合宿か〜!いいね!!」
「俺らも何かやるか?」
「その話は、とりあえずもう1時間は頑張って勉強してからにしたら?」
これ絶対いつまでも、勉強に戻らないパターンそうだし。
「永遠と語りそうだもんね〜」
私も本当は、夏休みの計画を立てたいんだから。
ーーー1時間後。
「疲れたー」
「ふふ!美紅、お疲れ様。」
集中力がなくなった面々がちらほら
「休憩する?」
飲み物とお菓子を追加するために、下の部屋に取りに行く。
「しようしよう」
奏響と慧が、勉強苦手なのは少し意外かも。
「さてと〜、気分転換に夏休みの計画でも立てちゃいます〜?」
「そうだな、バイトもあるしな。」
グッズ棚から赤い桃のクリアファイルの中身からある物を机に出す。
「じゃん。」
「これは、夏フェスのチケットじゃねーか!」
「お〜!きぃちゃんらしいね〜!」
「しかも4枚。」
「ま、当たったから行くかな?って。」
「いいね〜、バンドの夏!って感じだね〜!」
夏フェスの話から始まって。
「合宿もせっかくならやってみたいよな!」
「明日、親に聞いてみるか。」
「僕も施設当たってみるよ!」
合宿の話、夏は近づいている。
「ますます、テスト頑張らないといけないな。」
「だな。」
テスト勉強のやる気の着火剤になったみたいで良かった。また"SiNSilent"でライブか、新しく"SLYiLL"でもライブしてみたいとか計画を立て、秦さんに連絡したら、8月末なら出来そうだと言ってくれた。
それまでに曲の進化と新曲も作らねば!
「ねね、煌夏ー!」
「なに?」
「私たちとも遊ばない?」
「いいよ。プールとか行く?」
「わ!行きたいー!」
再びチケットが3枚。
「お母さんにもらった。」
「いいお母さんだね。楽しみな夏休みになりそう♪」
「いいね〜、女子の会話って感じで!」
今度は後ろからちょんちょんと肩をつつかれた。
「なぁ、これアンプか?」
「エフェクター6つもあるのか、羨ましい。」
奏響たちの声がする方を見ると機材用の棚に釘付けらしい。
「うん。作曲もするからね。増えたかも。」
この前セールしてて、ポイントも溜まってたから、ライブの興奮も相まって、昨日欲しかった アコギ用のエフェクターを2つも衝動買いをしてまったから。
「作曲もしてるからそれなりにはあるよ。」
次は違うエフェクターを買う予定である。
「ここは、もしかしてきぃちゃんの編集場所?」
そこにはPCやら、書き途中の何かが散乱している。
「そこはあまり綺麗じゃないから見ないで。」
「あー、ごめんごめん。でも制作してるって感じがしていいなぁって思ったんだー!」
そんな話をしたり、またテスト勉強したり、芽衣が持ってきてくれたお菓子を食べたりしたら、2週間後は過ぎてテストも返却された。
「じゃーん!平均点以上は取れました!」
「良かったね、美紅!」
「おめでとう」
「ありがと!芽衣と煌夏のおかげだよー!」
美紅は無事、部活の合宿参加できそうだね。芽衣と美紅のプールも。
「そーくんとけーくんは?」
「平均点超えてた」
「俺も!」
慧は美紅と同じ感じだけど、奏響の点数はいいみたいだ。
「そーくん、やれば出来る人なんだけどね〜」
目標ないとやれないとかなのかな?ま、テスト合格したんだから、全て良し。
「練習行く?打ち上げにする?」
「私部活あるから、夕方にしない?」
「私も美術室行かなきゃだから、私も夕方にしたいな。」
「じゃ、夕方まで練習だな!」
「キーボード触りたい。」
テストが終わって、普通の空気に戻ったといい気分になった。
美紅と芽衣と別れて、私たちは部室。
「久しぶりのベース!」
「もうそーくん、毎日コツコツやんないからでしょ〜!」
私はライブハウスのバイトあったし、ギターもちょっと触ってた。
ーーーティロリーン♪
「今グループメッセージに送ったの聞いて欲しい。」
「なんだこれ?」
「Shady ShiCやShinE L!ghtの既存5曲のアップデート版を作ってみたの。」
「きぃちゃんの編集スペース、何か作ってますって感じだったもんね!これだったんだね!」
「うぉ!しかも、どれもカッケーじゃん!」
お気に召してくれたようで、何より。
「前より確かにグレードアップしてるね、こっちの方がお客さん盛り上がりそうだね〜」
「次のライブに向けてグッズも考えてなきゃいけない。例えばタオルとかリストバンドとか」
「な、春田と俺にグッズ考えるのやらせてくれないか?」
「おう、任せろ!穂川さんばかりやらせる訳に行かないよな!」
慧と奏響が立候補してくれたのでお願いすることにした。
「後でスケジュールも立てよう。」
「そうだった、僕からも朗報だよ!!」
「なんだよ、井間。」
「合宿できそうな場所、見つけたんだ〜!親に相談したら使わせてくれるってさ!」
「おー、さすが優!」
「井間の両親はホテルとかペンション経営してるんだよ。」
さすが幼馴染み組はお互いのことよく知っているんだな。
「優、凄い」
「僕は別に凄くないけどね〜」
優と優のご両親の好意に、有難く使わせて貰うことが決まった、合宿は7月の中旬に決まった。
「とりあえず、この4曲練習しますか!」
「おう。」
「ドラム、はっちゃけさせちゃう!」
部室はまた楽器の音で騒がしく揺れる、これが堪らなく好きだ。
ーーージャーン!!ドドン…バン!!
「はぁ。暑い。」
空調効いていても、額から汗が垂れるな。タオルで汗を拭いていく。
「いいな、この曲!」
「まさにこの時期にぴったりって感じだから、尚更盛り上がる感じがするな。」
「確かに〜」
!!今ピーンと、頭にフレーズが浮かんだ!と思って、即スマホとってギターの弦を鳴らした。
「こんなもんかな。」
しばらく弾いてから録音を止めたら、なんか視線が??
「なに、3人して私を見て」
「いや、きぃちゃんが曲作ってるところ、前にも見せて貰ったけど。やっぱりすごいな〜って思ってね!」
「ごめん、つい。」
「曲作るってどんな感じなのか、俺は興味あるかな。」
そんなものなのか。
「新曲の作成途中なんだ」
クリアファイルに入れている、楽譜を3人に見せる。
「お、新曲なのか〜いいね!」
「3分の1は出来てるよ。」
「それは、次が楽しみだな。」
「ちゃんと寝ろよ。」
「わかってる。」
慧、私のお母さんみたいだなと最近思う。
練習時間も気付けば夕方になってて、芽衣と美紅が呼びに来るまでやってて、慌てて片付けた。そして打ち上げ会場は学校の近くのファミレスでやることになった。
「それじゃ、テスト明けたことを祝して!」
「「かんぱーい!」」
「……かんぱい?」
少し不慣れな私に、馬鹿にするでもなく微笑むみんな。
ファミレスでの初めての友達とのパーティは、写真をたくさん残したり。
前のライブの話やさっきの練習の話から、美紅と芽衣の部活とかの楽しい話は長い夜を溶かした。
……To be continued
エピソード6まで見て頂いてくださって
誠に有難う御座います。
煌夏たちのテストが終わり。いよいよ、夏休みが始まります!高校生にとっての夏は、熱いバンド、友人との思い出が溢れますよね?
BlueStaR L!neЯは、どんな夏が待っているのか!?
次の投稿更新日は、8月25日月曜日の午後0時です!
次回もお楽しみ頂けると幸いです。
よろしくお願いいたします!
作者・ユメウラ