Episode-3~青春と星の繋がり~
まさか穂川さんの口から聞けるとは思わなくて、ここが教室じゃなかったら叫んで喜んでいた。昨日のセッション、マジで最高だったから。
「良かったね、そーくん!」
「少し驚いたな、穂川さんがあんなにオープンだとは思わなかった。意外と積極的な人なんだな。」
慧だけじゃなく、話しかけたのであろう女子2人も驚いた顔してるもんな。
「……だな、でもようやく俺たちのバンドに待望のボーカルとギターが入る!!」
楽器隊である、ベース、ドラム、キーボードはいるが。肝心のギターとボーカルがいないのだ。
「バンドの要ってのが僕たちのバンドになかったもんねー」
やっと、陽葵兄さんと同じようなことができるなんてテンション上がる!どんなバンドになるのかわくわくが止まらない!!
「部室が今まで以上に賑やかになるな。」
「でもさ、今日は部室や練習じゃなくてさ。カラオケとかファミレスにしない?」
優が突然そんなこと言い出した。
「優、なんでだ?」
「だって、僕たちも穂川さんも、お互いのことクラスメイトであること以外は知らないじゃん?バンドやるからこそ、まずはお互いのこと知るのも大事じゃないかな。」
こういうところの優は頼りになるんだよな。さすが生徒会メンバーというか、達観してるというか、周りをよく見てるというか。
「井間の言ってることは確かに一理あるな。」
「もしかしたら、穂川さんの意外な一面がまた見られるかもよ?」
「穂川さんをあまりからかいすぎるなよ!」
「そんなことわかってるよ!そーくん!」
「だけど優の言う通りだな、まずはお互いを知ることから始めよう!」
穂川さんと昼休み屋上で話し会って、俺たちは放課後カラオケに来た、誰かと来るのは久しぶりだな。穂川さんなんかずっとスマホで写真撮ってるな。
「カラオケを始める前に、先ずは自己紹介からだな。」
「そうだねー!名前と誕生日、担当楽器や趣味とか好きな食べ物とかが無難だよね!」
「そこは春田に任せる。」
「俺からかよ。俺は春田 奏響。誕生日は3月3日のうお座。血液型はB型で担当はベースだ。趣味はスポーツかな…よくバスケとサッカーの助っ人している!好きな食べ物はラーメンだ!慧と優とは幼稚園からの幼馴染みなんだ、穂川さんよろしくな!」
「肩から手を離せ、暑苦しい。俺は柳 慧。誕生日は11月14日は何ださそり座か?血液型はA型。担当は幼稚園の時にピアノをやっていたキーボード。趣味は昼寝で好きな食べ物はパスタ系が好きだ。穂川、よろしく。」
へぇ柳くん、ピアノ歴そんなに長いんだ。だからキーボードなんだね、納得。
「次は僕だね!僕は井間 優だよ。誕生日は8月29日のおとめ座で血液型はO型!担当はドラム、あのズババン!って感じが好きでやってるんだー!趣味は流行りものサーチとかおしゃれが好き!好きな食べ物は甘いものだよ、よろしくねー!」
一通り幼馴染み組の自己紹介が終わった。
「私は、穂川 煌夏。"煌"めく"夏"って書いて、きいなと呼ぶわ。7月7日しし座のO型。音楽以外に好きなことは写真撮ること。好きな食べ物はフルーツかな。よろしくね…春田くん、柳くん、井間くん。」
「え!写真が趣味なの!?見たい見たい!」
早速優が穂川さんの趣味に食いつく
「写真?いいよ。」
「やったー!」
「なるほど、それで昨日あんなに写真撮ってたんだね!」
穂川さんがスマホを取り出して写真を俺たちに見せてくれた
「わぁ!この小鳥の写真とか超いいじゃん!」
「ほんとだ、この花とかもよく撮れてるね!」
「海の写真もいいな。」
穂川さんの写真紹介とそれぞれ自己紹介が言い終えたな。
「あはは!穂川さん…じゃなくて、これからは"きぃちゃん"って呼ぼうかなー?あ、僕の事は優でいいよ!きぃちゃんって面白いんだね!今まで知らなかったのが損なくらいだ〜」
「俺もあんなユニークな自己紹介が穂川さん。穂川から出るなんて思わなかった。」
「そう?自己紹介なんだから、こんなものじゃない?」
穂川さんはもっとクールで慧みたいな人だと思ってたな。俺も。
「そうだ、そうだ。これ部室のメンバー増えたから申請用紙、きぃちゃん書いてくれるかな?」
穂川さんが記入してる場面見ると、改めてメンバーになったんだなと実感した。
「ねぇ、バンド名のところ空欄だけど。バンド名って決まってないの?」
この学校バンド活動とか音楽活動に力入っていて、体育館は音楽設備完備なんだ。それとバンド申請しておくと体育館使用の時に楽になるんだ。
「このバンドにはギター&ボーカルがいなかったからな、揃ってから皆で決めたかったから、決めてなかったんだ。」
「穂川が入ったことで、やっと決められるな。」
「どんなバンド名になるか、ふふ、楽しみだね〜!」
ここから俺と慧、優、そして穂川さんが加わって、新たなバンド活動に進むんだな。すげー!楽しみだ!!
「バンド名はすぐ決まんないだろうし、交流会も兼ねてるしそろそろ歌おうぜ!な!」
「いいね〜!せっかくのカラオケだしね!僕はね、きぃちゃんの歌が聞きたい!!」
「なら、先に穂川が歌うか?」
「そう来たか。何歌おうかな。」
俺の提案で、穂川さん>慧>優>俺の順番になった。
「これにしよう。」
「あ!MADE MELODYのExcitementだ!僕タンバリン係やるね、いぇーい!!」
優のテンションがMAXだ。俺はマラカスを振る係だ!
「穂川さん、声量やばいし、歌上手すぎ!!」
歌が上手すぎて、マラカスを振る手が止まってしまった。
「俺らのバンドにこんな心強い人が入るとは思わなかったな。それになんとなくだが、コウに似てる気がするな。」
「歌声綺麗!音程もリズムも完璧でめっちゃ上手いし、そーくんと違って。」
慧が珍しく素直に褒めているし、優はタンバリンをシャラシャラと鳴らして楽しそうだ。
ここでベース弾いたら、めっちゃ楽しいんだろうなと思ってしまった。このあと穂川さんがカラオケで歌ったMADE MELODYやLAMP、MS RED PEACHとかめっちゃ上手くて3時間は盛り上がって交流会を終えた。
帰り道で歩きながら考えていた。まさかバンド名が決まってないなんて思わなかったけど、春田くんが言ってたこと、なんとなくわかる気がした。
「バンド名か……何がいいかな。」
あの時点ではバンド名は決まらないだろうってことで、カラオケで歌った。一人で歌うのとは違って、楽しかったな。3人の好みのバンドも知れたし。
柳くんはBLACKMIWBSの閃光を歌っていた。ピアノやってたのもあって、リズムも音程も良かった。THE ALL OVER のエメラルドグリーンも上手だった。
優くんのVALLEYを選択するのが、明るい性格の彼に合ってるし、挑戦を歌うことで、本当に応援されてる気分になった。一部始終タンバリン叩いてたのが楽しそうで、こちらも楽しい気分になった。
春田くんもきっと歌上手いんだろうなと思ってたんだけど、Ms.DrainのPretendStarとBeardTune Bro’s の歌ってたけど、めっちゃ下手というわけじゃないけど、ちょっとだけ音外してたの。少し意外だった。
「そーくん、頑張って練習してるんだけどね。」
「テンションが上がって突っ走るんだよな、春田は。」
幼馴染みである、柳くんと優くんが言うにはそういうことらしい。まぁ練習すれば歌は上手くなる、私も昔の聞くとやっぱり下手だったし。
カラオケよりバンド名決めなきゃ。ついスマホの写真アルバム見てたら脱線してしまった。せっかくだから、かっこいいバンド名したいなぁ……
うーん……奏響、慧、優、煌夏。それぞれの名前に空とか星が入ってるから、ちなんだバンド名がいいな。BleuStaR L!neЯとかどうかな。
4人のグループメッセージに送ってみる。
『BleuStaR L!neЯってどうかな?」
少し時間が空いて、ポコポコと音が鳴った。
「めっちゃいいな!その名前!!」
「いいんじゃないか。」
「きぃちゃん!センスある〜!」
今日から私たちのバンド名は、BleuStaR L!neЯだ!ここから今流れた、一つの流れ星みたいに駆け抜けたいな。
チャイムが鳴った翌日のお昼休みは、今日も屋上に行こうかと思っていた。
「穂川さーん!」
「?」
「一緒にお昼食べない??」
樋野さんと花沢さんがお昼ご飯を持って、私の机に来た。2人の大きい声が教室中に響く。
「私と?」
「うん!もっと穂川さんのこと知りたいからさ!」
「私もー、昨日話が出来て楽しかったからさ!あ、私のこと、花沢さんじゃなくて美紅って呼んでよ!煌夏ちゃんって、呼ぶからさ!」
「え、ずるい美紅!私も樋野さんは嫌だから芽衣ね!せっかくだから友達になろうよ!?」
「……わかったから。美紅も芽衣、顔が近いから離れて。」
2人の迫り寄る勢いがあまりに凄く頷くことしか出来なかった。まさか入学してから過ぎたけど、友達ができるなんて思わなかった。
友達できた記念に机に並べてある、お弁当たちを、スマホの写真アルバムに収められた。
「わかった。美紅、芽衣よろしく。」
「よろしくー!」
「私と芽衣の名前覚えててくれて、嬉しかったんだ!」
「うんうん!昨日のあの言葉を言い切っちゃう、煌夏ちゃんがかっこよくてさ〜!」
「あれは惚れちゃうよね、ね!美紅!」
「ね〜!」
2人息ぴったりだなと思ったら、美紅と芽衣は中学生からの友達らしい。なるほど、それでか。
「煌夏のお弁当の卵焼き美味しそう!」
「ほんとだ、きれいに焼けてる!」
「お弁当の卵焼きだけは、私が焼いている。」
両親は塩派だけど、私は少し出汁が効いた甘めの卵焼きが好きで、自分で焼いている。
「こだわりがあるんだね。あ、なら私の唐揚げと交換しようよ!」
「芽衣、その卵焼き半分こ!」
「分かってるよ〜」
「芽衣にもあげるよ。」
私は美紅と芽衣に卵焼きをあげて、美紅からは唐揚げを貰い。芽衣からはプチトマトを貰った。こんなに賑やかなお昼ご飯はいつぶりだろうか。
お昼を食べ終えると美紅はテニス部に入部しているらしく「やば!ミーティング行かなきゃ!」と言って教室を慌てて出ていき。芽衣は借りた本を返しに図書室に行くらしく、私はギターケースを持って屋上に来た。
「ふふ、きぃちゃん!屋上じゃなくて部室でやればいいのに〜」
語尾を伸ばす緩い口調で、私のことをちゃん付けで呼ぶのは1人しかいない。
「優。私は屋上で弾くのが好きなのよ。」
バンド組むことになった上に、同級生だから壁を無くす意味で、春田くんを奏響、柳くんから慧、本人の名前で呼ばれたいみたいだから優と呼ぶことを自分で決めた。
「えへへ!きぃちゃんが屋上に行くのを見ちゃっから、遊びに来ちゃった〜」
「ようこそ。奏響と慧は一緒じゃないんだ。」
いつも3人は一緒にいるイメージ、教室でもそうだし。
「そーくんは先生に呼ばれて、けーくんはわかんないな。けーくんは結構自由人だからさ!」
「ふーん?」
軽くチューニングして、弦を鳴らす。
「いいギターの音だね、赤黒のギターがきぃちゃんにめっちゃ似合うよね!僕、きぃちゃんのソロギター聞いてみたかったんだよね。」
「ふーん。そんな大して面白くないと思うけど。」
「そんなことないよ!そーくんがベース弾いてるところとか観るの僕は結構好きなんだよ!」
そんな優と他愛のない話をして、今考えている曲のフレーズを弾く。夏の応援ソングみたいな感じのやつ。
「今のいいね!」とか、「わぉ、そのフレーズいいじゃん!」とか、一部始終、日差しのような明るい人だった。
「この楽譜、きぃちゃんが書いてるの?」
「そうだよ。」
「ねぇ、きぃちゃんの今のギターと昨日のカラオケで聞いた歌で気付いたんだけどさ!このMADE MELODYの弾いてみた最近の動画投稿のコウって、絶対きぃちゃんだよね!?」
「うん、そうだよ。」
バレてもバレなくても、どっちでもいいし。優が気付いているってことは、他の2人もわかっているのかな。
「やっぱり!曲調がなんか似てるというか、まんまだしね!」
「私が弾いているからね。」
青空の下で、ひたすら私はギターを弾いて、飽きもしないで優はずっと楽しそうに聞いていた。授業もう終わって、放課後になったので部室に行く。
「穂川さん、何その紫と赤のファイルは?」
ついに、このファイルをお披露目する!
「BlueStaR LineЯの初のオリジナル曲に相応しい曲を選んでもらうの、あなた達にね。この中から選んでもいいし、新たに作るのもよし!」
「気合い入ってるねー、きぃちゃん!」
「……やり過ぎかしら?」
「いや、いいんじゃねーか。今まで俺らカバーばっかりだったしな。」
「オリジナル曲、せっかくバンドになったんだから。やりたいよ、俺も。」
良かった、私の音楽の向き合い、3人は共感してくれるみたいで。
「それじゃ、とりあえず見てみるか!」
「このファイルにあるの、もしかして全部かよ!?」
「おー!凄いね〜!なんか宝物見つけるみたいでわくわくしちゃうね、そーくん、けーくん?」
「まぁな」
「わあ!凄いよ、穂川さん!」
ちょんちょんと肩をつつかれて、優が居て
「けーくん、あんな涼しい顔してるけど、本当は楽しみだと思うよ。ほら、目が輝いてる。けーくんも意外とバンド馬鹿なんだよ?」
私の作った曲に、こんな反応してくれるなんて素直に嬉しい。それにバンドバカじゃなきゃバンド活動はできないし、家族や他のバンドに憧れて、昔からここまで奏響、慧、優も私も続けてきたんだから。
「ね、きぃちゃん?あの中のどれか配信で披露した曲あるの?」
「この中にはない。配信で使ったのは全部カバー曲だよ。」
「配信?」
「なんのことだ、井間」
優は気付いてたけど、慧と奏響は気付いてなかったのか。
「えぇ、2人とも昨日カラオケに行ったのに、気づいてないの!?」
「だから、何がだよ?」
「コウに似てるって言ってたから、てっきり慧は気付いてると思ったのに。」
「きぃちゃんは"コウ"だよ!そーくんのスマホ着信にしてるでしょ?昨日もカラオケでそーくん歌ってたじゃん!?」
優が奏響のスマホに着信音をかけたようだ。Ms.DrainのPretendStarの弾いてみたのやつだった気がする。プロと違って拙いからやめて欲しいけど。
「はぁ!?マジか!このアレンジめっちゃ好きで着信にしてたのに!!」
「よく聞けば、本人だな。」
「確かに。なんで昨日気付かなかったんだ…俺!」
雑談も混じえつつ、私のファイルから5つ曲が決まった。
「ね!いつか、紫色と赤色のファイルを両方とも全部曲にしようよ!」
「お!いいな、それ!」
「これを穂川が作ったなら、それが良いかもな。」
そんな嬉しそうな、楽しそうな顔でファイル見つめられたらちょっと照れくさいな。と思うと同時にこの曲がこの4人で楽器が着いたら、どんな音色になるのか、楽しみでならなかった!
なんかいいよね〜!
好きなことしてる人ってそーくんも、きぃちゃんもいい顔している。
きぃちゃんのギター屋上で聞いたし、部室でセッションした時もなんか絵になる感じで。彼女の努力が垣間見える、このファイルに全部きぃちゃんが作った曲たちが詰まっているなんて。
「すごいな。」
本当に凄いと思う。無機質な物なのに輝いて見えるのは彼女を今まで見て感じてのものなのかな?よくわからないけど。
あのギターの実力は相当努力しただろうし、しかもどの楽譜、曲をどれ見ても良すぎて、驚いたし、どれにするか悩んじゃった。
きぃちゃんが今日バイトだってことで、部室にはそーくんとけーくんだけだ。
「よし、こんなもんだろう。」
「だな。」
「おつかれ〜」
きぃちゃんが作った曲"ShinE L!ght"を練習したんだけど、ドラム叩いててテンション上がって、少し走ってしまった。
「この曲楽しくていいな。」
「そうだな、慧のキーボードが映えるな。」
眩しい太陽が、背中を押してくれるような曲。他の2曲の"RiNG SuNRaN"と"TR!BE L!NK DR!VE"もアップテンポな曲が特徴で楽しいよ!
「ライブでやったら、盛り上がりそうだよね〜」
そんな話をしていると、ティロリン〜♪と3人のスマホが鳴った。スマホ見るとグループメッセージを開いた。
「は?」
「わお!」
「いいな、テンション上がるな。」
メッセージを送ってきた人は、きぃちゃんからだった。
『3週間後、ライブハウス1枠空いてるんだけど、そこでライブやらない?』
何やら、楽しいメッセージのようだ。
ライブハウスでライブかぁ、楽しみだなぁ〜♪
……To be continued
Episode‐3を読んで頂き、誠に有難うございます。
曲も練習し始めた、BlueStaR L!neЯが本格的に始動しました。4人の初のライブは、なんとライブハウスだ!
どんなライブを輝かせるのか?
それでは、次回もお楽しみに頂けるよう
尽力して行きますので、もし良かったら
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作者・ユメウラ