LiveHouse in SiNSilent
こちらは私とキミとの調和の短編版です。
このストーリーは、ライブハウスSiNSilentの
藤浪 秦オーナー視点のみの作品です。
少し違った視点からのストーリー短編を
楽しんで頂けたら嬉しいです!
僕は藤浪 秦。僕の家は母子家庭で勉強を頑張ろうとなかなか趣味というものが見つからなかったんだ。高校時代に響也先輩と涼音先輩のバンドライブを聞いて、衝撃を受けたんだ。
僕もバンドやりたかったんだけど、なかなか組むのが難しかった。時々響也先輩と涼音先輩の部室にお邪魔させてもらって、2人が組んでいるバンドに混ぜてもらうくらいで、でも初めてギターを鳴らしたりする感覚はたまらなかった。
2人に連れてきてもらったライブハウスというものを知って、スタジオを借りてギターの練習を始めたんだ。そして2年になると僕にもPlANBARDiNとして活動をしたんだ。僕は学校の人達じゃなくて、ライブハウスで出会った仲間なんだ。
響也先輩と涼音先輩に憧れて、PlANBARDiNの曲調は王道ロックバンドな感じだ。低音ボーカルが深く、それに合わせたドラムとベースの強さがあるそんなバンドだった。
頑張ってバンドとバイト、勉強の両立は大変だったけど、音楽は僕の心の支えであり、勇気だった。大学卒業くらいまでは、そこそこ上手くは行ってたんだけどね、バンドというのは平坦の道とは言いがたくとても難しい。
PlANBARDiNは解散という形になったしまった。バンド仲間と拗れた訳じゃないんだ、今でも時々ご飯に行くくらいには仲がいい。音楽から離れるという僕には選択肢がなくて、SiNSilentとライブハウスを経営し始めたんだ。
最初は大変で経営という難しさに苦戦したけど、何とか昔のバンドの関わりの人たちに助けられて、今のSiNSilentがあるんだ。感謝してもしきれない、お陰様で今ではこの地域で有名と言われるまで成長が伸びたんだ。
そこから、いろいろのバンドたちのエキスは最高でもう僕は音楽やバンドからは抜け出せないんだと改めて自覚した。
ある日の帰り道に、響也先輩と涼音先輩に再開したんだ。ご結婚したこととかいろいろ話したりして、2人が経営している喫茶店は2人そのものの雰囲気で心地よかったな。
そこからライブハウスで出会った、Ronder HereやMARIN RUNLYとかのバンドの後輩、連れて喫茶店をお邪魔させて頂いていたんだけど、最近は忙しくて何年かは行けてなかったんだ。
後に知ったけど、僕のライブハウスで働いてくれていて、BlueStaR L!neЯのギター&ボーカル穂川煌夏さんのご両親にあたるんだけど。このバンドを聞いてから、響也先輩と涼音先輩の娘さんだと知るとなるほどと思った。
彼女はとても素晴らしいギターと歌声だった。カリスマもあるけど、彼女の努力とかはバイトの姿を伺えば何とか理解ができた。
それから、春田くん、柳くん、井間くんもそれぞれからエネルギーと穂川さんに追いつきたいという信念を感じ、また彼女からも3人へのリスペクトを感じ、BlueStaR L!neЯはバランスもよくこのバンドは光ると直感だけどそう思った。
こういう瞬間が本当にたまらない、脳や心臓を貫かれるような感覚は何事にも変え難い。思い出したよ、響也先輩と涼音先輩のバンドを聞いた時のあの感覚、言葉に表すのは難しいけど、ほんと凄かったんだ。
何かが壊されたような、雷に打たれたような。
これからもBlueStaR L!neЯとはいい関係で居たいと思うよ。僕もいいと思わないと箱バン契約はしない、バンド活動は短い期間だったけど、夏フェスや大きいライブハウスでやった経験はある。
うちはRonder HereやMARIN RUNLY、FranPlaZmaとあと2組くらいしか契約していないしね。
BlueStaR L!neЯの成長には驚いた。初めてのライブでも見事だったんだけどね、夏フェスの時、出演のバンドの都合が急に悪くなって困っていたんだ。
出演の為に審査したんだけど、若い子の成長は早いね。Ronder Hereの駆け出しの頃を思い出すな、BlueStaR L!neЯは王道なロックを感じるけど、少しキャッチーなサウンドだ。
穂川さんと春田くんの勢いの中にバチバチに音をぶつかり合っている感じと、柳くんがそのぶつかりをいい感じに緩和させるピアノやシンセがとてもいいし、井間くんの力強いリズムと芯に温かみがある感じがいいんだよ。
「響也先輩、穂川さんたちきっといい所まで行きますよ。」
「はは、そうか!子供の時からギターに興味持ち、煌夏は頑張ってたからな。」
この前会った時に連絡先を交換して、今日は響也先輩とBARで飲み明かそうということになった。響也先輩らしいな。
「俺と涼音は、プロまでは行けたけどな。そこからは売れるのが大変で断念したがな。涼音に子供ができたというのもあったが。」
「インディーズまで高一でたどり着くなんて僕、本当に尊敬します。」
「秦とこも短期間だったが凄かったじゃないか、俺もバンド離れてた時期でも耳に入ったし、ネットでも騒がれてたしな」
「そうでしたっけ?」
「自覚ないのかよ。もっと自分に自信持て、秦。」
MARIN RUNLYもインディーズ入り果たしたし、ますますバンド界隈は盛り上がるだろうな。
「そうだな。俺もワンマンが初めて煌夏の演奏を聴かせてもらったが、俺のバンド時代を思い出す。上手くなったな、煌夏は。いい詩を書くなとも思っていたが、ここまでとは俺も驚いた。」
「似てますもん、穂川さんの演奏がお2人に。」
「そうか?それは光栄だな!」
ついつい上手い話を肴にお酒が進んでしまい、時間はもう深夜だ。
「それじゃ、秦。また飲もうな!」
「はい!涼音先輩に宜しくお伝えください」
「あぁ、元気でやれよ!」
「響也先輩も!」
大きな手、この手に救われたんだなと響也先輩の手を握ると何だか泣きそうになるな。
お酒のせいだろうか。
明日もバンドの子たちの未来、どうかいいものであってほしいな。と僕は帰宅した。
……To be continued
LiveHouse in SiNSilentを読んで頂き
誠にありがとうございました!
藤浪 秦オーナーの視点、短編ストーリーを
楽しんで頂けたら とても嬉しいです。
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次回作品も、よろしくお願いします。