Episode-24~花言葉の数多な想い束~
旅行から帰ってきた3日後、また部室で練習した。旅行がいいリフレッシュになったのか、全体の音が迫力と一体感があって良かった。
その後は、SiNSilentでMARIN RUNLYの登堂さんからのお誘いでMARIN RUNLYのライブでBlueStaR L!neЯがサプライズ登場という形でライブに参加させてもらい、DolphiN PooLを登堂さんの背中合わせで、弾かせてもらった。
今年1番やばい経験かもしれない。
登堂さんのギターは、海を駆け抜けるような早い弦捌きと綺麗な高音を歌い切る勢いが凄いのだ。
「登堂さんとギター弾けてとても光栄でした。ありがとうございました。」
「こちらこそ、出演ありがとう。対バンの時、穂川さんのギターめっちゃ上手いし好きだから、やれて良かったよ!」
これからもギター練習しようとこの時、私の胸に誓った。
Ronder Hereが主催するCLANBALというライブハウスでライブに参加させてもらって、CLANBALのオーナーの葉行さんから来週是非出てくれと言って貰えて嬉しかった。
「CLANBALのオファー、めっちゃ嬉しいんだけど!!」
「奏響のお兄さんとこのHONEY YELLOWも1週間前に出演してたもんね。」
「なんで穂川さん知ってるの!?」
「…観に行ったから。」
「え!?マジで!俺も行ったから声掛けて欲しかったな!」
奏響とその話題で盛り上がった。
SiNSilentでバイトしてたら、FranPlaZma降川さんに話しかけてくれて、その時にワンマンステージのチケットを頂いて、BlueStaR L!neЯの皆で見に行った。
降川さんのあの世界観、MARIN RUNLYと似てるけどプラズマというバンド名が入っているだけあって、本当に素晴らしくて、私も慧が釘付けで見ていた。
「凄い良かったな。」
「そうだね。」
「俺もあんなキーボード弾きたい。」
ファンって言ってたし、キーボードでこれだけの迫力があったら慧が憧れるのもわかる。
「ね、明後日オーケストラ観に行く予定なんだねど、慧もどう?」
「なんでオーケストラなんだ?」
「オーケストラには、弦楽器だけじゃなくて、 ピアノだけじゃなく、キーボードで再現できる音がたくさんあるから、絶対音の幅広がると思うよ。」
「なるほどオーケストラか、いいな。穂川が良ければ、一緒に行かせてくれ。」
私と慧でオーケストラの鑑賞行った。
「あれ、きぃちゃん偶然!」
CDショップで、優とばったり会ったのだ。優が意外とCDをカゴにいっぱい入れてて驚いた。結構有名なバンドからマイナーまで取ってた。
優にオススメの聞いたら、次の日のバンド練習の日持ってきてくれて、借りさせてもらったら好み過ぎて私も欲しくなってしまった。
そんな新春は早くも温かくなって来たなと頬ずえをつきながら窓の外を見ていた。
「きぃちゃん!」
「優?」
いつもの優の明るい雰囲気とは違い、なんだか緊張しているような、少し違う雰囲気に少し戸惑う。
「ごめんなんだけど、生徒会室に来て欲しいんだけどいいかな?」
優が珍しくお願いをされたので、断る気もないからいいよと頷いて、優と生徒会室に来た。
「来て貰ってごめんなさいね、穂川さん。」
この人は確か、2年生で副生徒会長の
「構いません、光原先輩。それで私に何かお願いがあるのだと、井間くんから聞きましたが伺ってもいいですか。」
「もちろんよ。あのね来月卒業式あるんだけど。」
「来月は、3月ですか。」
もう来月には3月になるのか、時間経つのが早いな。
「3年生送る会の枠で穂川さんに歌って欲しいのよ。」
「私にですか?」
「えぇ、クリスマスライブの最後のDistant ClearSkyが本当に素晴らしくて、是非穂川さんに依頼したいと思ったの。」
「古瀬先輩と光原さん、BlueStaR L!neЯのファンなんだよ!いつも僕にライブ良かったとか言ってくれるんだ!」
「そうなんですね、とても嬉しいお言葉ありがとうございます。是非、私にやらせて頂きたいのですが。せっかくのお話なので既存だけではなく、Distant ClearSkyと新曲を合わせて歌わせて頂きたいです。」
「穂川さん…えぇ、是非お願いするわ!」
「はい。全力を尽くします。」
光原さんが差し出された手を私は握った。
古瀬先輩には、学校ライブで司会をやって頂いた恩もあるし。光原さんがこうしてお願いをしてくれる気持ちもとても光栄で胸がいっぱいになりそうだ。
「ありがとう、穂川さん!古瀬先輩や3年生たちがきっと喜ぶわ!」
3年生がどう思うかはわからないけど、背中を押せるようなそんな歌を届けたいな。精一杯やらせて欲しい。
「ありがとう、きぃちゃん!」
「え!?」
生徒会室を出た後の瞬間、優に突然手を握られて驚いてしまった。
「僕、古瀬先輩と光原先輩は本当に優しい2人でさ。最初僕が入り立ての時、凄いサポートしてもらったりして、とてもお世話になったから。きぃちゃんが引き受けてくれて、すっごい嬉しいんだ!」
「…優、大丈夫。きっといい歌にするね。」
「きぃちゃんにそんな心配してないけど、曲作るのに困ったらなんでも言って!僕協力するから!!」
優や光原さんの気持ちに、私は応えたい。木を見上げるともう蕾が膨らんでいた、もう3月になるなんて、4月の私は今奏響、慧、優とバンドをやっていると信じるだろうか。
いや、信じないかもしれない。だってバンド組んだだけじゃなく、SiNSilentの箱バンになって、インディーズ契約も控えていて、、、ワンマンライブも成し遂げて。
1年後、あの桜はまた咲くんだ。私もあの桜のように何度でも咲くことができるんだろうか。きっと今の私にはわからない。この高い空にしかわからないのかもしれない。
「きぃちゃーん!」
「穂川。」
「穂川さーん!練習しようー!」
「うん。」
部室で楽器を奏で合ってたら、もう外は暗くなってた。
「穂川さん、卒業式の3年生送る会の枠歌うんだろう?優から聞いた!」
「うん。光原先輩にお願いされて。」
「できそうなのか?」
「うん。きっと。」
どうなるかはわからないけどね。でも不思議と華やかな吹く風に髪を抑える。なにかが待っているようなそんな風。
「きぃちゃん、ごめんね?」
「え、なんで優が謝るの。」
「頼んじゃったから。」
「大丈夫、私は楽しいし、嬉しい。」
私の歌が必要されているんだと言われるなら、それに応えたいと思っているだけ。
「慧にさ、伴奏頼んでもいいかな?」
「おう。できることがあるなら、力にならせてくれ。」
慧の心強い言葉に、私は頑張ろうと思った。
「優、奏響にも!きっといい送る会になるから手伝ってよ?」
BlueStaR L!neЯで次の駅に行くのだ。準備していたら時間と日にちは進んで、校門には卒業式の看板が立っている。
「もうある程度は新曲が出来ているし、構成も決めてある。だから、安心して優。」
「きぃちゃんは、本当に凄いや!僕まで憧れちゃうな!!」
「優が憧れる程の私じゃないと思う。ただ私がやりたいだけ。」
まだ満開と言うほどじゃないけど、少し咲き始めた桜。その儚さに写真を残した。
「きぃちゃん?」
「ね、奏響、優、慧。この後時間ある?」
「今日は部活の助っ人もないよ!」
「オーケストラのチケットが4枚あるんだ、よかったら私に付き合ってくれない?」
私達も次に進むチケットを手に入れるんだ。BlueStaR L!neЯで次の駅に行くのだ。
「ねぇ、煌夏ちょっといい?」
「どうしたの、美紅?」
優だけじゃなくて、美紅までらしくないな。
「あのね。テニス部の先輩に手紙を書いたんだけど、煌夏が良かったら見て感想聞きたいんだけど。」
美紅にこんな可愛らしい1面があるとは、美紅は可愛いけどなんだか春だなと感じる。
「私でよければ。」
「本当!?ありがとう!!ね、煌夏は卒業式ライブの方はどうなの?順調?」
「あと2割できてないってところかな。」
「それほぼ完成じゃん!煌夏は相変わらずストイックだね!」
そんな春はもう暖かくなって、送る会の準備を進めていたら時間と日にちは進んで、校門には卒業式の看板が立っている。
まだ満開と言うほどじゃないけど、少し咲き始めた桜と蕾が混ざっている。「生命の誕生」「新しい始まり」「未来への期待」まさに、今日に相応しい。
「きいちゃーん!!」
「おはようございます。煌夏さん!」
「優、光原先輩。おはようございます。」
生徒会はいつも忙しそうだな。優はそんな素振りしないけど、SunSet Glow Way好きって言ってた時の話を思い出すな。
「今日はよろしくね、穂川さん!」
「はい。きっといいライブにして見せます。」
「きぃちゃんすごい作戦考えてたから、期待しててください!光原先輩!」
「えぇ!楽しみしているわ!!」
さわさわと温かく華やかな風が私たちを応援してくれているのだろうか。
「卒業式を執り行います。」
卒業式が始まる。シンとした空気に少し寂しさとこれからに期待の雰囲気を感じる。その想いを私は春風を吹かせたい。
「これで卒業式を終了します。」
私と慧は舞台袖に待機中。
「それでは引き続き、3年生送る会をお楽しみください!」
手品の模様しや吹奏楽部の演奏が卒業する3年生を祝福する。
「吹奏楽部の皆さん、ありがとうございました。続いては、みなさんお待ちかね3年生送る会ライブを行います。」
「後でね。優、奏響。」
「うん!頑張ろう!!」
「あぁ!楽しくやりきろうぜ!」
「3年生の先輩たちに祝福の音楽を届ける。」
「それでは、BlueStaR L!neЯの穂川煌夏さんと柳慧さんお願いします!」
卒業式でも司会をしていた光原先輩に呼ばれたので私はアコギを持ち、慧とお辞儀をして舞台に立つ。
「3年生の皆様、ご卒業おめでとうございます。桜の蕾のようにこれからの未来への希望となる様に歌います。聞いてください、まず1曲目Distant ClearSky。」
雪が降りそうなピアノの旋律と繊細にアコギの弦を弾く。
「ふわりと華やかな香りが包む
些細な夜。黒の深い群青色が鮮やかで
白、青、黄、緑、赤……
あそこには何億色の色があって
いくつもの線が結ばれている
僕たちみたいなんて言って。
じっと見上げ続けると
ポロポロと流れる……
綺麗すぎて心からも溢れて
でも怖くも寂しくもない
あのオリオン座みたいに
結ばれている、僕たちは
大丈夫と満月に負けない笑顔で言った。
だから、安心して行こうよ。
音楽の五線譜の上を
走り抜けるの、いくつもの駅を
もしかしたらそれは各駅停車かもしれない
時には寄り道なんてして
甘い味に笑って
苦い味で停まって話をして
真っ白に溶かされて
たくさんの星のようにいつかは
燃える熱い夏の太陽のように
煌めくと信じて。
奏でて響く、ガタンゴトン
青い彗星を通過する時
その美しさで心を洗われたりして。
最初は1人かもしれない
でも待っていれば、人が乗ってきて
優しいキミは笑う。
終点もない、どこまでも遠くの
空は、果てしない旅は
BlueStaR L!neЯは、今日も走り続ける。
STAR IN SNOW STATION」
私はこの余韻のままアルペジオを弾き、慧がすこし陽だまりを感じる音色へと鍵盤を奏でる。
「ある夕陽が差し込むと
眩しい輝きに 影が生まれる。
不安や葛藤が、ひそひそと凪いでいる。
その時間はきっと大事な時間。
目をつぶって深呼吸をすると
温かで涼やかに響き合う。
そして、開けるとまだ太陽は輝き続けている。
きらきらと、輝く空
オレンジ色の空、甘くて酸っぱい味が
僕の心は、安らかに眠りにつく。
明日の光、どんなに暗い夜が
この先に沈んでも。
月の光が寝ているあなたを癒して
目を覚ます頃には、朝日が昇る。
例え雨が降っても、緑が潤うように
心にも潤いを与えてくれる。
今はまだお休みが、必要なのかもしれない
だから、慌てなくて大丈夫。
ずっと、あの太陽が見守っている。」
ひらひらと舞う桜のよう黒い鍵盤と白い鍵盤を指で弾き、春風を思わせるようなフィンガー・ノイズやカッティングいれて弾むような音。
「初めは1人からだった
桜が咲いた道を歩いて
愛の祝福の花弁が舞い回って
まるでこれからのことを
楽しそうに踊るみたいに
でもまだ少し寒い風に
不安になって 寂しくなって
けどね 私は気付いたの
暖かい場所は 確かにあったのだと
ここは楽しくて 優しくて
何時でもいたい でも次に進む時が来たの
また寒い風が 足を止めさせる
期待の膨らみと まだ咲かない勇気に
心の中で温められて 少しずつ芽が育って
やがて一つ一つのピンクが咲いて
沢山の花束がいつのまにかできていた
その花束を持って また桜の道を歩もう
次は何色の花たちが咲くのだろうか
わからないけど
これだけは言える 幸せな時間だったと
ありがとうと 伝えられる
さあ うぐいすのように謳って
夢はもうすぐ側に
愛の花弁と春風が待っている。」
私はこの静けさに打って変わって手拍子を始めた。
「SunSet Glow Way とFuture Brideをお届けしました。」
「ですが、先輩たち!BlueStaR L!neЯのライブは終わりません、熱くなる準備は出来てますか?」
舞台袖から出てきた奏響から私のエレキギターを受け取り、アコギを後ろに置きギターを構える。後ろの白い膜に隠されていたのはキーボードとドラム。
「ほらほら!僕のドラムに合わせて手拍子してくださーい!せーの!」
「温かい春のようなライブにしましょう。」
楽しく弾むようなドラムを叩く優と電子音で軽やかなステップを感じさせる慧のキーボード。
「手拍子から始まる曲といえば何でしょう?」
「それではいきましょう。Colors LuckDaY
鮮やかな色とりどりの道を
駆け抜けてみた もっと遠くへと
階段を駆け昇る『YES!YES!』
坂道がさらに加速させる
風は微かな潮風がまだ温かく
気持ちを晴れやかにする『YES!YES!』
こんな1日があってもいいよね!
好きな曲聞いて、僕たちみたいに歌って
ハッピーな日にしてしまえ!『Year!Year!』
その希望の線は青い星の光になる。」
私と奏響はグリッサンドをかけてこの体育館を追い上げる。
「僕たちBlueStaR L!neЯはこの曲から全てが始まりました。時には悩み、足踏みをしてしまうことはありました。でもきっと太陽は僕たちを見守ってくれている」
優はシンバルを思いっきり叩き、明るく強い日差しが纏う雰囲気に、エフェクターがふわっとしたシンセが春を告げる。
「「「「Shine L!ght」」」」
ギターが軽やかに弦を弾くように歌い。
「ギラギラと眩しい太陽
あんなに輝いてて
暑くて存在感があるの
手を伸ばせば遠そうで」
ベースが補強してくれるような重低音。
「バチッと弾かれて
手を引いてしまいそう」
ドラムのリズミカルな叩く音。
「目を逸らしてしまえば
逃げてしまえばいいのかもしれない」
ピアノとシンセを入れるキーボード
「でも 負けたくないから
ここで諦めたくなんてないから」
奏響、慧、優が歌い終わると音余韻だけが残り体育館が静寂する。
「例え 泣いてしまっても
太陽が雨から虹へと変えてくれるはず」
私のギターと奏響のベースの音を強めて
「「だから キミたちの心は
ボクたちが燃やす 」」
私と奏響が歌い終わると、キーボードとドラムの音が強くなった行く。
「「この鼓動が 高鳴り 熱く輝くまで
何もせずにいられない、そんな一歩を
この熱い想いを聴いたら、最後だ。」」
慧と優が歌う。音の余韻が会場に浸透する。
「ここで止まるなんてもったいない。
手を翳せば光が、暑くさせる。
青く輝き 赤く燃えて
緑鮮やかに 黄の輝きに
ボクたちはー 輝く光になれるんだ。」
アカペラを歌い切り、最後は盛大に盛り上げる音を響かせて。
『きっと、強く』」
BlueStaR L!neЯの3年生送る会ライブはこれまで以上に盛り上がりと歓声が湧き上がる。
「ありがとうございました。Shine L!ghtの3年生送る会バージョンでした。ご視聴頂きありがとうございました。」
頭を下げて、3年生送る会ライブは幕を閉じた。
「すごいすごいすごーーいっ!!」
「ほんとほんと!!僕までテンション上がっちゃった!!」
美紅と優がすごいテンションで私に詰寄るんだけど。
「美紅はテニス部の先輩に手紙渡せたの?」
「うん!煌夏のおかげで、ありがとう!」
「なら、よかった。」
「あ、穂川さん!」
後ろから呼ばれたので振り向くと古瀬先輩と光原先輩が手を繋いでこちらに来た。
「3年生送る会ライブ、最高だったわ!穂川さんに依頼して正解だったわ!」
「僕からもお礼を言わせてほしい。ありがとう。」
「もしかして、お二人共…!?」
「ふふ!さぁどうかしら??」
そんなたくさんの春を感じながら、私たちBlueStaR L!neЯは次の第2章へのステージに進む。
私とキミとの調和を読んで頂き
誠にありがとうございます!
第1章を経て、次は第2章へ
BlueStaR L!neЯのステージで
どんな花束を作るのでしょうか!
次回は短編など番外編をお届けし、その後第2章へ移ります!今後とも私とキミとの調和をよろしくお願いします!