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Episode-2


帰宅する道を遠回りして、写真を撮りながら考えていた。


さっき3人に混ぜさせてもらって、MADE MELODYのpick✕upのセッションしたことを。


ギターの弦を弾いた瞬間、一人でやっていたものとは全然違っていた。


今までとは全く感じたことの無い感覚と、音楽の何かがバチバチと空気に火花が飛んだ瞬間を見た。


今までたくさんギターを弾いたり、ライブハウスで他のバンド見たりしたけど、この感覚を私は知らなかった。


初めて知った……これが誰かと音楽を奏でるということなのか。


春田くん、柳くん、井間くんもいい顔をしていた。凄いノリノリに楽しんでたのが、彼たちの楽器から伝わったし。なんか私と同じ音楽バカな一面を見た気がした。


楽器もそれなりに拘っている感じがいい。春田奏響の使っているベース、Fender Precision Bass だった。だから私のエレキギターに反応したのも納得だ。黒のボディーが春田くんに似合ってた。


柳 慧のNord Stage 4キーボード、井間 優のPearl Reference Pureも悪くない。むしろあそこまで拘りがあるなら、早めに仲良くなれそうだ。


今日の夜空は一段と星が輝いて見えた。綺麗な夜空にスマホの撮影ボタンを押す。帰ってきて、お風呂から髪をバスタオルで乾かしながら棚にある紫のA4サイズのファイル。


「これまでに書き溜めていた、楽譜たちを解放する時なのかな。」


机の棚にある、楽譜と書かれたファイルにはいままで私が書き溜めてきた物たちだ。このファイルに全部入っているのだ。


いつかは両親と同じように、バンドをやりたいと思っていた。でもなかなかメンバーもいなかった。メンバーを探す目的もあったから、ライブハウスのバイトやってたんだけど…


ここに運命が待っているとか、まさか、春田くんたちと、あんな感覚を味わうなんて。


……面白すぎるでしょ。


「春田くんからセッションを誘ってくれたし、今度は私から声掛けてみようかな。」


明日の時間割の教科書と一緒に楽譜の赤のファイルはリュックに入れて、私は余韻が抜けなくて、朝までヘッドフォンして弾いてしまった。


昇降口で春田くんにばったり合った。


「なんかクマできてないか?」


「気のせいじゃないかな。」


ギター弾いてたら、インスピレーションが湧いて、遅刻しそうになったとはさすが言えないな。


「おはようー!そーくん、穂川さん!」


「はよ。ふわぁ〜」


「あはは、けーくんおっきなあくびだね〜」


そう言えば、この柳くんと井間くんも同じクラスか!春田くんたちがよく一緒に仲良い印象があったし、もちろん名前は知ってたけど、クラス全員は把握出来てないのよね。


この2人の楽器の音とても良かったんだけど、柳くんがキーボードで、井間くんがドラムって少し意外だよね。


「あれ?穂川さん、クマ出来てるじゃん大丈夫?」


「全然平気。」


徹夜なんて日常茶飯事だからね。チャイムが鳴ったから席につかないとと向かおうとしたんだけど


「穂川さん」


「どうかしたの、柳くん?」


「これ、ホットアイマスクやる。」


柳くんの鞄からホットアイマスクが出てくるなんて意外すぎる!?


「おー!さすがけーくん!穂川さんの可愛い顔にはクマ似合わないもんねー」


「ありがとう。柳くん」


柳くんから有難く、アイマスクを頂いた。



一時限目の授業が終わった、休み時間になって、窓の外を頬ずえしながら眺めてたら。


「穂川さん、穂川さん!!」


右隣の席の子と前の席の子、2人に話しかけられた。


「何かな?樋野(ひの)さんと花沢(はなさわ)さん。」


「名前覚えててくれたんだ、嬉しいな〜」


「ね!なんか、穂川さんってあんま話さないから覚えられてないと思ってた!」


春田くんにも同じ事を言われたな。私はギター弾きたいだけで、別に人と関わりたくないとかはない。


でも春田くんやこの2人が言うのなら、私は無意識に壁を作っていたのかもしれないな。


「それより、穂川さん、春田くんたちと話してたでしょ?」


「何がきっかけなのかなーって気になっちゃってさ!」


なるほど、確かに。人気のあの3人なら気になる女子いるか。


「私ギターやってて。放課後弾いているところを春田くん見つかったの。それがきっかけ。」


ギターやっていること、別に隠している訳じゃないから。


「穂川さん、ギター弾けるんだ!かっこいいね!!」


「それでか!なるほどなるほど。」


「春田くん軽音部だったよね!?もしかして一緒に組むの?」



今この教室には、春田くん、柳くん、井間くんもいるのか……ここで言ってもいいか。



「まぁ、そのつもり。」


春田くんに目線を送る。春田くんも柳くんは驚いた顔をして、井間くんは嬉しそうに笑っている。



クラスの人に隠したって仕方ないからね。その内バレるのが目に見える。




まさか穂川さんの口から聞けるとは思わなくて、ここが教室じゃなかったら叫んで喜んでいた。


昨日のセッション、マジで最高だったから。


「良かったね、そーくん!」


「少し驚いたな。穂川さんって意外とオープンというか、積極的な人なんだな。」


話しかけたのであろう女子2人も驚いた顔してるもんな。


「……だな、部室が今まで以上に賑やかになるな。」


「でも、今日は部室じゃなくてさ。カラオケとかにしない?」


「優、なんでだ?」


「だって、僕たちも穂川さんも、お互いのことクラスメイトであること以外は知らないじゃん?まずはお互いのこと知るのも大事じゃないかな。」


こういうところの優は頼りになるんだよな。達観してるというか、周りをよく見てるというか。


「井間の言ってること一理あるな。」


「だな、まずはお互いを知ることから始めよう!」


この時、クラスの中で見てた人が穂川さんのファンクラブができたとか風の噂になった。



穂川さんと昼休み屋上で話し会って、俺たちは放課後カラオケに来たのだ。一人ではよくカラオケに来るけど、誰かと来るのは初めてだな。


友達とのカラオケ記念に1枚、頂きました。


「先ずは、自己紹介からだな。


俺は、春田 奏響。3月3日、うお座のB型だ。

担当はベースだ。慧と優とは幼稚園から幼馴染みなんだ、よろしくな!」


幼馴染み。そうか、だからよく一緒にいるのか。


「俺は、柳 慧。11月14日、何ださそり座か?血液型はA型。担当は小学の時から中学までピアノをやってたのが、きっかけでキーボード。」


へぇ柳くん、ピアノ歴そんなに長いんだ。だからキーボードなんだね、納得。


「僕は、井間 優だよ。8月26日のおとめ座!血液型はO型で担当はドラム!あのズババン!って感じが好きでやってるんだー、よろしくね!」


ドラムの音をズババンという表現をするあたり、井間くんらしい気がする。井間くんのドラムルーツが気になるからいつか聞いてみたいな。


「私は、穂川 煌夏。"煌"めく"夏"って書いて、きいなと呼ぶわ。7月7日しし座のO型。音楽以外に好きなことは写真撮ること。よろしく」


「え!写真が趣味なの!?見たい見たい!」


井間くんがそういうので、スマホのアルバムを見せる。


「わぁ!この小鳥の写真とか超いいじゃん!」


「ほんとだ、この花とかもよく撮れてるね!」


これで、それぞれ自己紹介を言い終えたな。


「だから、穂川さんさっきあんなに写真撮っていたのか。」


「あはは!穂川さん…これからは"きぃちゃん"って呼ぼうかなー?あ、僕の事は優でいいよ!


きぃちゃんって面白いんだね!今まで知らなかったのが損なくらいだ〜」


「俺もあんなユニークな自己紹介が穂川から出るなんて思わなかった。」


「そう?自己紹介なんだから、こんなものじゃない?」


「そして、安定のクールさも健在なんだな。」


「そうだ、そうだ。これ部室のメンバー増えたから申請用紙、きぃちゃん書いてくれるかな?」


穂川さんが記入してる場面見ると、改めてメンバーになったんだなと実感した。


「ねぇ、バンド名のところ空欄だけど。バンド名って決まってないの?」


この学校バンド活動してる奴、意外といるから文化祭の申請を楽にする為にバンド名記入欄が設けてあるのだが


「このバンドにはギター&ボーカルがいなかったからな、揃ってから皆で決めたかったから、決めてなかったんだ。」


「穂川が入ったことで、やっと決められるな。」


「どんなバンド名になるか、ふふ、楽しみだね〜!」


ここから俺と慧、優、そして穂川さんが加わって、新たなバンド活動に進むんだな。


すげー!楽しみだ!!



「バンド名はすぐ決まんないだろうし、交流会も兼ねてるしそろそろ歌おうぜ!な!」


「いいね〜!せっかくのカラオケだしね!

僕きぃちゃんの歌聞きたい!!」


「なら、先に穂川が歌うか?」


「そう来たか。何歌おうかな。」


俺の提案で、穂川さん>慧>優>俺の順番になった。


「これにしよう。」


「あ!MADE MELODYのExcitementだ!僕タンバリン係やるね、いぇーい!!」


優のテンションがMAXだ。


「なんとなく、コウに似てる気がするな。」


「しかもめっちゃ上手いし!」


ここでベース弾いたら、めっちゃ楽しいんだろうなと思ってしまった。



このあと穂川さんがカラオケで歌った歌、MADE MELODYのControlやLAMPのプラネタリウム、MS RED PEACHのチェリーブロッサムとかめっちゃ上手くて盛り上がった。



「バンド名か……何がいいのかしら。」


あの時点ではバンド名は決まらないだろうってことで、カラオケで歌った。


一人で歌うのとは違って、楽しかったな。3人の好みのバンドも知れたし。


柳くんはBLACKMIWBSの閃光を歌っていた。ピアノやってたのもあって、リズムも音程も良かった。THE ALL OVER のエメラルドグリーンも上手だった。


優くんのVALLEYを選択するのが、明るい性格の彼に合ってるし、挑戦を歌うことで、本当に応援されてる気分になった。一部始終タンバリン叩いてたのが楽しそうで、こちらも楽しい気分になった。


春田くんもきっと歌上手いんだろうなと思ってたんだけど、Ms.DrainのPretendStarとかBeardTune Bro’s のTomorrowStarGlow歌ってたけど、めっちゃ下手というわけじゃないけど、ちょっとだけ音外してたの。少し意外だった。


「そーくん、頑張って練習してるんだけどね。」


「テンションが上がって突っ走るんだよな、春田は。」


幼馴染みである、柳くんと優くんが言うにはそういうことらしい。まぁ練習すれば歌は上手くなる、私も昔の聞くとやっぱり下手だったし。


カラオケよりバンド名決めなきゃ。ついスマホの写真アルバム見てたら脱線してしまった。せっかくだから、かっこいいバンド名したいなぁ……


うーん……奏響(そら)(けい)(ゆう)煌夏(きいな)。それぞれの名前に空とか星が入ってるから、ちなんだバンド名がいいな。BleuStaR L!neЯとかどうかな。


4人のグループメッセージに送ってみる。


BleuStaRブルースター L!neЯ(ライナー)ってどうかな?」





「めっちゃいいな!その名前!!」


「いいんじゃないか。」


「きぃちゃん!センスある〜!」



今日から私たちのバンド名は、BleuStaR L!neЯだ!ここから今流れた、一つの流れ星みたいに駆け抜けたいな。


……To be continued


「私とキミたちの調和」を読んで頂き

誠に有難う御座います!


エピソード1とエピソード2いかがでしたでしょうか?

これからも追っかけて頂けると嬉しいです!


この先 エピソード14まで公開中です。

よろしくお願いいたします。


作者・ユメウラ


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