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Episode-13~爽快響と好戦譜~


私たちは定期テストを乗り越え、赤点なしでテスト明けの連休日を獲得した。BlueStaR L!neЯはSiNSilentのライブとMARIN RUNLYの対バンも控えているから、優と優のご両親の計らいで夏と同じ場所で合宿が出来ることになった。


「はー!解放的だー!」


奏響が背伸びしながら叫ぶ。


「うるさいぞ、春田。」


「えー?なんだよ、慧。」


「あはは、でもそーくんの言う通りで空気が気持ちいいよね!」


夏の情景と違って、爽やかな風と色を変えた葉が心地良くてオレンジの甘やかな香りが落ち着く。


「今日も晴れた天気だ。」


部室やライブハウスのスタジオでの練習ももちろんいいけど、せっかく4日間も休みがあるのだからこの休みを利用しない手はない。


「よし、練習するか!」


「うん!頑張ろう!!」


自然のエネルギー効果からかやる気に変えてくれているみたいだ。


「俺、SunSet Glow WayとBLACK off WHITEやりたい。」


「あ、俺FIRE-FLOWER!!!!もやりたい!」


なんか部室での練習が、少し緊張感の空気が流れてて。緊張感はもちろん大事だけど、硬い音になってるし、今から力入ってるんじゃ持たない。


「うん。順番に練習して行こう。」


だからこうして自然を浴びてリラックスして音楽はみんな自然と力が抜けていていい演奏になる。SunSet Glow Wayの冒頭のアルペジオを弾き、後から3人の楽器隊の音が入るんだけど、昨日より音が軽やかでとても良い。


「みんないい感じに力抜けてる。よかった。」


自然に囲まれていると、そこからインスピレーションも湧いてくるだろうから、新曲が生まれるかもしれない。ギターや楽器を弾ける環境はとても嬉しい。


「優、ありがとう。」


「ふふ、そんな顔しないで!僕も楽しいからさ!」


前回と同じ場所を提供してくれた、優の両親に本当に感謝だ。


「次はBLACK off WHITEか?」


「おう!行こうぜー!」


練習をし過ぎるのも良くないと言うことで、夏のような派手な遊びは出来ないものの気分転換に浜焼き食べたり、前回行かなかった神社やお寺を巡った。


「紅葉と青空と神社なんて神秘的なの。」


"カラフルの輝きは 心を温めて

その中には確かに 芯がある

季節の移り変わりで 例え変化しても

ここには、この鼓動の中にある。"


「良い詩が浮かんだ。」


甘酒のおかげかな、私は早速スマホにメモをする。


「ん、もみじ饅頭美味しい!」


「この肉まんもうま!」


まさに花より団子…商店街の食べ歩きをしたり、BBQやったり、外でカレーを食べたりしてまぁまぁ楽しんだ。いい効果が出たのか練習の音も全体的に明るかった。


「音は言葉より雄弁とはよく言ったことね。」


私はモンブランラテを飲みながら、リラックスしている奏響と慧、優を見ていた。


「穂川、なんか言ったか?」


「ううん、なんでもない。」


そしてこの合宿のもう1つ目的はBLACK off WHITEとBeyonD the BluEのMVを撮りに来たのもある。今SNSが3.5万フォロワーで勢いは良く、そのまま勢いに乗るのがいいと、皆で話し合った結果そうなった。


「Moonl!t JeweLめっちゃエモいよねー!」


「井間のドラムの音から楽しさが隣から伝わる。」


「Moonl!t JeweLとBLACK off WHITEはShady ShiCみたいな夜をイメージした曲を入れてやりたいと思っている」


「お!いいね、めっちゃいい雰囲気のライブになりそう!」


「次のライブのコンセプトは夜でエモい曲はどうだ?


「春田にしては、いい案なんじゃないか」


「何をー!?」と慧と奏響が言い争いを始めたのは放っておいて。


「Dawn of EmoT!onaL…でどうかな。」


「いいね、そのタイトル!コンセプトに合ってる!」


優が言うなら間違っていなそうだ。


「Moonl!t JeweL>Shady ShiC >BLACK off WHITE>SunSet Glow Way>BeyonD the BluE>FIRE-FLOWER!!!!あたりのセトリでどうかな?」


「ふふ、凄くいいと思う!」


このセトリで行くなら、今回のライブはほぼアコギで、後半2曲エレキギターで行く感じになるな。最近はアコギを触る機会が最近は多いかもしれないな。


「いつも勢いのある曲多いから、たまにはこういう落ち着いた感じのもいいよね!」


「でもShinE L!ghtとかも明るい感じで、エネルギー貰えていいよね〜!」


「確かに運動部のヤツが、よく聞いてるとかよく聞く。」


「あー!サッカー部のやつとかな!楽器弾く側も達成感あって爽快で楽しいよな!」


誰かの背中を押せているなら、作詞冥利に尽きるな。となんか頬を撫でられているような、柔らかい風が吹いた。


ーーーバチっと音がして、練習途中なのにアコギの弦が切れてしまった。


「あ。」


どうしようかな止めるのも困るから取り敢えずこのまま弾こうかなと思っていたら。


「どしたの、穂川さん?」


奏響だけじゃなく、慧と優も私の様子が変だと気づいたのか、練習していた演奏を止めた。


「ごめん、演奏中止めて。アコギの弦が切れた。」


「ありゃ本当だ、きぃちゃんがそうなるの珍しいね!」


「穂川さん、言ってくれればいいのに!」


「なんか、言い出しづらかった」


「あー演奏途中は、僕も言いにくいかも!」


「ちょうどタイミングがいいし、2時間ぶっ通しだから休憩にしようぜ。」


賛成と言うことで、カバンから新しい弦を取り出して、切れた弦を張り替える。


「そのアコギ結構年季入ってるね!お父さんのアコギだっけ?」


奏響の言う通り、サウンドホールはボロボロに禿げてるし。よく観察するといろいろとボロなところが垣間見える。


「うん。お父さんに中学の時にもらってからずっと使ってる。」


「かっこいいもんな、そのアコギ!」


「たくさんのアコギがあっても、このアコギは世界に一つしかない。」


だってこれは、お父さんの歴史と私の今までが刻まれたサウンドホールの傷。何回か自分のギターを持ってみようかと思ったけど、あんまピンと来なかった。


「なぁ俺思ったんだけどさ。穂川さんならギター2本目あった方がいいんじゃないか?」


「え?」


「穂川さんアコギもギターも上手いし、もう1本どちらも増やして使い分けるというのもありなんじゃないか?予算はあれかもだけど、弦も今のと違う種類にすれば違う音のギターになるし!」


「春田の言うことあっているかもしれないな。」


「確かに、きぃちゃんの実力なら2本持ってる方がこれからやる曲の幅的にもいいかもね〜!」


「2本目のギターか。」


手元にあるギターの2本持ちはあんま考えたことなかったな。


「とりあえず楽器屋さんに行ってみる?この近くにいいところあるんだよ!」


「優が言うなら、行ってみたいな。」


「じゃ今から行こうぜ!楽器を観てから決めても良いだろうしな!」


「だな。このままやっても集中できないだろうし、昨日から練習漬けだから時には休みも大事だ。」


ごめんと言うと、気にすんな!と奏響と優は笑って、慧は何も言わず少し呆れつつも穏やかな顔していた。今日はもう練習を辞めて楽器屋さんに行くことになった。


「いらっしゃいませー!」


お店に入ると定員の元気な声が聞こえた。


「広いな、この店。」


「慧の言う通り、確かにな!」


「ここは地元のところより広いよ!」


「ギターから何までたくさんある。」


優に勧められたお店は、それなりに大きくて沢山の楽器が並んでいる。ギターだけじゃなくて、キーボードとか少し変わり種の楽器まで揃っていた。


「…まるで、楽器のテーマパーク」


小さい独り言を呟いたつもりが


「ふふ!」


「はは!」


「何言ってるんだ、穂川。」


3人を見るからに、どうやら聞こえてしまったらしい。アコギのところに向かう途中で、ギター売り場を通り掛かった。


「ギターもお父さんのからだし、いい機会だから変えようかな。」


「ギターも変えるのか?」


慧が尋ねてきた。


「うん、アコギも2本にするなら。エレキギターの方も2本にした方がいいのかなって思って。」


ズラっと並べられているエレキギターを観てると思ってしまった。


「そっか!エレキギターもお父さんからのって言ってたもんね!」


「穂川がそうしたいならアリなんじゃないか?」


うーんと悩む。右利きのはいっぱいあるんだけど…


「でも左利きのギターって種類少ないんだよね。」


お父さんも左利きだったから困らなかったけど。


「あー…左利きのは少なめかもしれねぇな」


「きぃちゃんお金は大丈夫なの?」


「私喫茶店とライブハウスのバイトしてるし、コウアカウントカバーしてみたの再生数まだ上がってるし、動画サイトフォロワーも1.5万人いるから。たまに投稿もいるから、お金は意外と大丈夫。」


「そっか!きぃちゃんバイト掛け持ちだもんね!」


「そういえば、コウは穂川さんだったね!忘れてた!」


「つか、フォロワー1.5万人かよ。お前のアカウント見ると再生数3万もあるのかよ。」


「おー!ほんとだ、すご!!きぃちゃん有名人じゃん!?」


BlueStaR L!neЯの活動効果もありそうだけどね。私の力だけじゃない、奏響、慧、優の力もあってこの人数なのかも…3人のアンプでもプレゼントした方がいいかな。


ふと、とあるエレキギター。LunePulse Kの黒のギター、今まで何も感じなかったのにこれだけ光って見えるのはなんで。


「お!いいギター見つけたのか?」


「そのギターならきぃちゃんに似合ってるんじゃない!」


「黒のギターか、いいんじゃないか。」


3人に背中を押されて、このギターを買うことにした。


「俺も自分のベース買おうかな、俺も音色違いのベース少し欲しいなと思ってたし!」


「おー!そーくんもパワーアップ!」


「奏響ならモダンかジャズにしてみれば?」


黒のStarVibe Sを棚から持ち、奏響に渡す。


「穂川さんの言う通り。モダンの方がBLACK off WHITEとRide: OЯ Die´Sに合いそうだ。StarVibe Sにしようかな!」


「ウチの楽器って、全部黒だよね!」


「BlueStaR L!neЯのイメージに合ってると思うが。」


「まーね!」


アコギはAquaStrum Hにしようかな。アコギといえばAquaのイメージ強いし。レジに並び買い物が完了した。奏響もベースを購入し、優は、新しいスティックとシンバル、慧はサスティングペダルを手にしてて一緒に会計へと並んだ。


「スティックのストックと新しいシンバルStellarSoundを見付けちゃってさ!」


「ほしかった、サスティングペダルのNovaSustain Eを見つけてしまった。」


「俺は穂川さん見てたら、欲しくなった!一緒に慣らそうぜ!」



「あのさ。これみんなに受け取って欲しいんだけど。」


3人に小袋を渡すと、当然中身を確認する訳で。


「これ、もしかしてアンプか?」


「ふぇ!?なんで!!」


「…嬉しかったから。正直アコギもエレキも買い換えなきゃダメかなって思ってたから。皆の気持ちと提案が嬉しかった。」


「穂川さん。」


「それにきっと私の動画再生数もフォロワーも今があるからの結果でもあると思うから。受け取って欲しい。」


「穂川、ほんと謙虚だな。けどありがとうな。大事に使わせてもらう。」


「もー絶対きぃちゃんの実力なのに!でも僕も嬉しいよ、ありがとう!超大事にする!」


「ありがとう!穂川さんの選んでくれたその気持ちめちゃくちゃ嬉しい!大切に使う!」


ぶわっと吹いた海風は、なにかを伝えてくれようとしたのだろうか。


「早く練習したい!」


「だな!」


音楽バカは早速新しい機材やギターを鳴らしたくて、すぐペンションに帰ってご飯を食べてから練習へ没頭した。そして時間は早くて次の日が澄み渡った海で、BeyonD the BluEのMVを撮るには最高のポジションだ。


「よし、やるか!」


「うん!」


「いつでもこい。」


奏響、慧、優の準備完了の姿を確認して、ビデオカメラを起動する。


「カウント行くよー!」


優のスティックカウントの合図で、カモメが水面を翼で飛び蹴りるような、慧のピアノと電子音が駆け巡り、ドラムのタムとスネアが夏の疾走感とベースの沈む音が水圧を感じるような空気。そして青い空に登るような自由のような、コーラスとペダルでアコギの弦を鳴らす。


「青い空を描いて見た夢へと

手を伸ばすのに

澄んだ青は 高くて遠い

あの眩しい太陽のように。


だけど、諦めたくないから

僕らは駆け抜ける

ギターやベースを弾き

ドラムのペダルを踏み続けて

キーボードの鍵盤が崩れても


仲間がいる。太陽がある。

夜の海でも、月が輝き

どんな嵐でも、星は消えない。

一緒に歌えば、心の光が

あの青い空を、もっと近くに引き寄せる。」


この曲みたいに、爽快でいいライブを迎えたい。そう願いながら、BeyonD the BluEを撮り終えた。それ以降は、海で奏響は釣りに行ったり、慧がベンチで寝ていたり、優は周りの散策行ったり。


私は灯台に昇って写真を撮り、爽やかで秋の風に浸りながら、夜になるのを待った。暗くなると夕陽が何故かちょっと涙が零れそうなくらいとても綺麗だった。


夕陽に負けない、まん丸な月で夜を迎えた。


「じゃ、そろそろBLACK off WHITEを撮るか。」


浜辺にビデオカメラを設置する。


「そーくん、モダンにして良かったよね!」


「あぁ!昨日試してしっくりしすぎてビビった!」


「穂川もいい弦を選択だったな。」


「うん。良かった。」


買えたのも確かに良かったけど。私はなにより私の事を考えてくれた、奏響たちの提案が嬉しかった。


「絶好の撮影な月夜だね〜!」


今日はいつも見る月よりはっきりとしてて綺麗だ。


「な!なんかこういうのもいいよな!」


アコギのピロンピロンと鳴らす。


「いこう。」


ーーーカンカン!


この曲はピアノから始まる。そしてベースの音、アコギ、ドラムと夜の景色を表す。


「どんよりとした空気の虚しさに

突然 外へと飛び出した

空は灰色で 僕みたいで

気づけば ぽつぽつと地面や服を

濡らしていきながら


ほろほろと上から落ちる雫は

このまま雨に打たれて

全て海へと流してしまえばいい。


怒涛とこのヒリヒリした痛みが

教えてくれた 戦った証だと

この悔しさは 負けではなく

次へと進む 一瞬の強い光が堕ちた


やがて黒い闇に木漏れ日が

光に満ちて 濡れていた地面や

自分までを温めた風が

涙を運んで、その涙は虹へと

その悲しみから笑いへと架けて

きっと大きな木へと育つ。


やがて緑のように強くなりたいと

また僕たちと君たちは

上を向いて 走り出して

力いっぱい 弾き続けるんだ」


思ったより上手い演奏ができた。


「ね!月がまだ明るいからMoonl!t JeweLも撮っちゃわない?」


「いいな。俺ももう少しやりたい気分だ。」


「どうする、穂川さん?」


気分が良くなって今日は特に月の黄金色が眩しさと秋の涼しさに、その光に酔っているのかもしれない。まさに音楽の季節。


「みんながやる気ならやろう。」


アコギのアルペジオが鳴り響き、シンバルとピアノの繊細さがベースと一緒に音の風が吹く。


「寝落ちから起きて

窓から光がさした空を見た

財布とスマホをポケットに入れて

静かな夜道を何気なく散策してみた


食べたくなってしまうような

クリーム色の丸い形は コンビニへ入り

温かい紅茶とお饅頭を買って

近くの公園のベンチにかけて


上を見ると 点々とした白粒と

ほのかな温かい感じが

和やかで ふわりと風が髪をなびかせた

さわさわとした木の音

落ちる葉っぱが またいい味で


心を落ち着かせる

その鮮やかな月色のライトが

いつも僕を輝かせてくれる


僕を特別にしてくれることを

思い出すと 明日も頑張ろうと

元気になって 帰宅して眠ったら


いい夢の後 朝日が待っていて

早くギターケースを持って

僕の中の宝石が欲しくて

君に負けないと 強く想いを綴った」


BeyonD the BluE、BLACK off WHITEとMoonl!t JeweLを投稿とボタンを押して、数分経つと投稿完了しましたと画面が表示された。


「これで、ライブまでにやり残しはないな。」


「うん。明後日、SiNSilentのライブ頑張ろう。」


「販売グッズのTシャツ少しデザイン増やすか!あとペンライト的なのもあったら、今回の曲には合いそうだよな!」


「そこは、奏響と慧のセンスに任せるよ。期待してる。」


「おう。任せろ。」


私たちはペンション合宿から戻って、ライブ準備へと気合いを入れた。


……To be continued


エピソード13を読んでいただき

誠にありがとうございます。


BlueStaR L!neЯの合宿とSiNSilentライブは、仲間との絆と音楽への情熱をさらに燃え上がらせた! 新しいギター、MV撮影、そして観客と一体となった熱狂のステージ。Dawn of EmoT!onaLのコンセプト通り、心を揺さぶる音楽が響き合い、MARIN RUNLYとの対バンに向けて彼らの物語はまだまだ加速する!


次回の投稿は、9月1日月曜日の夕方17時です。

よろしくお願いします。


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