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Episode-11~青春の中間地点と繋がりの音熱~


最終日の文化祭。今日も1-Bのメイド喫茶は盛り上がりを見せている。


「あ、きいなー!」


「お母さん、お父さん。なんで来たの?」


「お店はおじいちゃんに任せてきたんだ」


「娘の頑張ってる姿見たいもの!ふふ!」


なんかくすぐったい気分。


「穂川さん、写真撮ってあげるよ!」


「え、いいよ。奏響「あら!本当?お願いしようかしら!!」


お母さん。お父さんもこういう賑やかな場所好きだからな。と家族の記念写真を奏響に撮ってもらった。


「あ、奏響!」


「え!陽兄さんじゃん!」


両親は別のところへ行った後、HONEY YELLOWのベーシスト奏響のお兄さん、陽葵さんか。


「陽くんだ!」


「ども。」


「優と慧か、近くに来たから寄ってみたんだが、しかし相変わらずお前たちは仲良いな!」


なるほど。あの陽キャ感は奏響に似ているなと思いつつ、私はお邪魔そうだから退散して接客へ戻る。


「あ!いた!」


「慧にぃ!」


机を拭いていたら、声が聞こえたので見やるとどうやら女の子二人が慧に駆け寄っているようだ。


「お前たち、来たのか。」


「慧の双子の凛と蘭か!」


「おー!ほんとだ!なんか久しぶりに見たかも!」


ああ、あの二人見た事あるなと思ったら、夏休みの時水族館の写真で見たな。そうか、あの二人が慧の双子の妹さんか。


「うん!来年ここを受験したいからね!」


「ここの制服可愛いし!」


「そうか。」


あの女の子2人は会話してる感じを見ると慧の双子の妹なのだろう。双子なだけあって2人の雰囲気そっくりだ。


「あ!もしかして、穂川 煌夏さんですか?」


キッチンのようすでもと思っていたら、慧の妹さんに話しかけられた。


「はい。そうです。」


「わたし、柳 凛っていいます!」


「あたし、蘭です!」


慧はクールだけど、この二人は正反対そうだ。突然手を握られて少し焦る。


「わー!やっぱり、綺麗な人ですね!!」


「ライブ見ました、とてもかっこよくて〜」


「あ!今日の文化祭ライブも絶対観ます!」


「ありがとう。」と答えるが、二人の勢いに押され気味である。


「あ、穂川さーん!」


「?」


「陽兄さんが穂川さんに挨拶したいんだって!」


「え。」


「こんにちは!奏響の兄の春田 陽基です!奏響から話聞いたりしてます。」


「穂川 煌夏と申します。HONEY YELLOWのライブ拝見させて頂いてます。陽葵さんの重量感のベースとても魅力的です。」


「えー!そう言ってもらえるなんて嬉しいな!俺もBlueStaR L!neЯの動画も見させてもらったことあるんだ、めっちゃ熱いあのサウンドが魅力的だなと思った」


「陽葵さんにそう言って頂けてとても光栄です。」


「SiNSilentで働いているところを見たこともあったから1度話してみたかったんだよ!」


「嬉しいです。」


うん、やっぱり奏響に似てるかも。私はこんなに人に囲まれたことなくて焦るばかり


「あはは!きぃちゃん人気者だー!」


なんて優がからかって来た時


「優〜!」


「ん?って!お、おばあちゃん!?」


どうやら、優のおばあちゃん?が来た様子。


「優の晴れ姿見たくて来ちゃった!」


この笑った感じと雰囲気、優にそっくりだ。


「もう連絡くれれば迎えに行ったのに!」


あそこまで焦っている優を見るのは新鮮かもしれないな。文化祭はいろんなことやものを引き寄せるなと思う中、もう時間はお昼すぎ、体育館はカラフルな装飾と生徒たちの笑顔で溢れていた。


「あとはこっち任せて!ライブ楽しみにしてるから!」美紅が笑顔で言う。


「準備、頑張ってね!」芽衣が手を振って背中を押してくれた。


学校に置いた投票箱を回収する。


「このボックスは俺たちは見ないで、生徒会に集計してもらって発表された曲をランキング5〜1位までをやる感じでいいのかな?」


有難いことに優が生徒会に頼んでくれたのだ。


「TRAIN MOON´sやShady ShiCとか、新曲のFIRE-FLOWER!!!!とSunSet Glow Wayまで含めてるんだよねー!」


この学校内生徒たちがどの曲に票を入れてくれているのだろうか。


「うん。それで行こうと思う。」


「俺らの技量が試されるな。」


「なるべくいい感じの流れにしたいよな!」


生徒会室に行って、生徒会の方にボックスを渡しに向かう。


「お手数かけてすみませんが、集計お願いします。」


「すみません!古瀬先輩!」


「井間くんからお話は聞いています。責任を持って預かります。ライブ頑張ってください。」


気さくで頼もしい生徒会会長の古瀬さん。


「よろしくお願いします。」


と頭を下げ、ボックスを託して生徒会を後にした。ライブ前に、ギターの弦をチェックして、チューニングを入念に済ませるんだけど。


「ね、部室に戻る前にちょっと提案があるんだけど」


私が提案したのは、奏響と一緒に訪れた着せ替え体験のクラスをライブの衣装に使うことだった。


「ここのクラスが仮装の貸出をやっているからその衣装を着たら、文化祭の雰囲気がもっと盛り上がるかなって思って。」


「お、確かに盛り上がりそうだ!」


「わぁ!いっぱい服があるね!」


「これを衣装にしたら、文化祭の雰囲気がもっと盛り上がるかなって思って。どうかな?」


「いいんじゃないか?な、慧!」


「ま、ライブが盛り上がるなら。なんでも。」


ということで、このクラスに服とメイクを頼んで。着替えをお願いした。


私たちはそのクラスへ行き、海賊とクマ、シスターと羊、警察制服と猫、赤ずきんとうさぎを借りて着た。誰がどれの姿かは、想像してみて。


着替えを終えた私たちは、前もって持ってきた機材の確認しに体育館に行ったり、楽器のチューニングを念入りに行う。準備万端だ。


ーーーいつでも、来い。


前の手品ステージが終わり、いよいBlueStaR L!neЯの出番。ライブハウスとは違う雰囲気のステージ、風船や飾られているけどやることはひとつ。


この体育館のお客さんを熱くさせること。


「なんかSiNSilentとは違った緊張感あるね!」


そう言っている優だけど雰囲気を楽しんでいるみたいだ。


「でも、まぁ楽しもう!文化祭だし!」


奏響は本当こういう場面頼もしい。奏響の一言に目が覚めるというか、はっとすることある。


「そうだな。俺らが楽しければ周りも安心して楽しめるな。」


慧もよくお客さんや私たちを気遣ったりして本当凄い。奏響、慧、優、そして私と手を重ねる。


「じゃ、行くよ。」


そんな3人に遅れを取らないように私は頑張らなくてはいけない。


「円陣が当たり前になって来て、僕嬉しいな〜!」


私がやる意味は、未だにわからないけど。


「この体育館中を全員熱いステージで返す……青い星が流れる熱狂を」


「「「「BlueStaR L!neЯー!!」」」」


わぁー!とスポットライトと周りの青いペンライトが輝く。嬉しいな、そのペンライトの光に私は応えたい。


「「きいなーーっ!!」」


「本物だ!」「かっこいい!!」とかいろんな声が聞こえる。


「こんにちは、僕たちBlueStaR L!neЯです。今日はこの文化祭ライブに最高の盛り上げることを約束します。」


キーボードがふわっとした感覚が心地いい弾き方をする。


「BlueStaR L!neЯのキーボード、柳 慧です。初の文化祭ライブの要望、嬉しかった。ありがとう。」


シンバルとスネアをドコドコとリズム良く叩く鼓動を揺らすような音。


「みなさん、こんにちはー!BlueStaR L!neЯのドラム担当 井間 優です!このドラムで体育館中を沸かしますので、よろしく〜!」


そして、ライブハウスでもペットボトルの水か揺れる程の重圧する振動。


「BlueStaR L!neЯのベース、春田 奏響です!盛り上がる準備は出来てますかー?」


奏響の言葉に観客が声と拍手を上げる。


「もっとだ、もっと!!足りない足りない!」


更に歓声と拍手の音量が上がる。


「いいね!それの調子でよろしく!!」


エフェクターを踏んで、ギターの音圧を上げて弦を思いっきり弾いて、グリップで私の躍動とお客さんのエンジンをかける。


「BlueStaR L!neЯ、ギター&ボーカル。穂川 煌夏です。投票形式のライブ、皆投票してくれてありがとう。どんな曲が来ても、最高へ繋ぐから、僕たちをひとつも見逃さないで。」


わあー!!と歓声が上がる。


「生徒会長の古瀬さん、司会よろしくお願いしたす。」


ステージの左前にいる古瀬先輩が頷いてくれる。


『それでは、学校の生徒内から集計した、ランキング5〜1位を生徒会長の古瀬が発表します。まず、5位は!RiNG SuNRaNです! 』


「お、RiNG SuNRaNか!」


「優、ドラムリズムカウントして。」


「OKー!」


ーーードド、タン!!ドド、タン!!


「この曲なら最初から飛ばすぞー!ジャンプだ!!」


「飛んで!!ジャンプ!ジャンプ〜!!」


ディレイで夏のキラキラさを演出し、ベースがズンと床を震わせ、慧のシンセが疾走感を加速し、最初ゆったり感からリズムを上げるドラム。


「輪を広げる 音楽は風に流されて

太陽のように走り出す

勇気をくれる


友達と この熱を

君たちの心の輪まで

溶かして 熱く走り抜けろー!


さあ 手を挙げて

叩こう、叫ぼう!

ここでは それが許される!


夢を追いかける、最高のステージへ

ボクらは、太陽の輪を追いかける!」


太陽のようなスポットライトが照らす中、優のドラムがエンジンをかけ、慧のキーボードが疾走感を響かせる。ギターとベースが重なり、会場を熱く駆け抜けた。


ドラムのペダルがエンジンを絶やさず。


『次は4位の発表です!


4位は、BeyonD the BluE!』


慧のシンセサイザーが青い海を抜ける感覚。ベースの波とシンバルの音の揺れ、私はリバーブを効かせる。


「青い空を描いて見た夢へと、手を伸ばすのに

澄んだ青は、高くて遠い、あの眩しい太陽のように。


だけど、諦めたくないから

僕らは駆け抜ける、ギターやベースを弾き

ドラムのペダルを踏み続けて、キーボードの鍵盤が崩れても


仲間がいる。太陽がある。」


キーボードがまだまだと繊細のシンセが幻想的へと誘う。


『第3位は、FIRE-FLOWER!!!!とSunSet Glow Wayが同列でした!』



「2曲同位か2曲とも繋げる、まだ、盛り上がれますかー!?」


「まだだ、もっとだ!!」


ーーーチャチャン!チャチャン!!


「手拍子、ちょーだい!!」


優が煽る観客の手拍子の一体感と歓声が上がる。後ろに向きギターを弾くと、奏響、慧、優と目が合う。頼もしい笑顔と瞳で『まだいける!』って背中を押してくれた。


ーーーパン!!と、ステージの白煙が夏の花火を促す。これが野外なら最高なんだけどな。


「夜空に咲く、光の花。

提灯と出店の明るい道に

僕は足速に歩く。


赤、黄、青が笛を鳴らし上げて

爆裂に響く音が、上を向いて、

心の輝きをキミたちの心にも灯す。


さぁ、その中の火を轟かせろ。」


SunSet Glow Wayは、アコギなんだけど今日はこのマルチエフェクトによって怖いものなし!コーラスとハーモニーを響かせる。、


「ゆらゆらと揺れる、平行線は

日が沈めば、薄暗く不安になる。

でも、よく見ればその空には

希望の星が、繊細ながらも輝く。」


奏響のベースが地面を重く揺らす。


『さぁ、盛り上がりもあと2曲です!


第2位は、TR!BE L!NE DR!VE』


「お、これか、いいよね!」


「俺も、これやるとライブ感出るし」


「これはタオルだ!皆、タオル回そう!!」


「回せーー!!」


奏響と優の掛け声とドラムがエンジンをかけ、ギターの早弾きとベースの地鳴りを生み、シンセが淡いオレンジの空を感じさせる。


「暑い夏の視線が、冷めた熱を起こす

あまりの天気の良さに

出かけてみようと思い立って

Tシャツと短パンに着替えて

キャップを被って 自転車を走らせてみた


公園の緑の多さに

少し自然のエネルギーを貰えた

さらに自転車のペダルを強く踏んだ。」


TR!BE L!NE DR!VEのおかげで、お客さんの盛り上がりは最高潮、私はエフェクターを踏む。


『最後は堂々の1位、ShinE L!ght!!』


私が最初に作った曲、何回もブラッシュアップされて、今の私とBlueStaR L!neЯがある。ベースとドラムが会場を上昇して、その気流をさらにふわっと上げるシンセ、私はコーラルとオーバードライブをかける。


私の方がこんな気持ちにさせられるなんて思いもしなかった。


「ギラギラと眩しい太陽

あんなに輝いてて

暑くて存在感があるのに

手を伸ばせば遠そうで」


この歌を歌うと赤やオレンジ、黄色のペンライトがゆらゆら揺れてとても太陽の熱さを感じる気分にさせてくれて好きだ。この高鳴りが、ギターを弾く手を強くする。


「バチッと弾かれて

手を引いてしまいそう


目を逸らしてしまえば

逃げてしまえばいいのかもしれない

でも 負けたくないから

ここで諦めたくなんてないから


例え 泣いてしまっても

太陽が雨から虹へと変えてくれるはず

だから キミたちの心は

ボクたちが燃やす


この鼓動が 高鳴り 熱く輝くまで

何もせずにいられない、そんな一歩を

この熱い想いを聴いたら、最後だ。


ここで止まるなんてもったいない。

手を翳せば光が、暑くさせる。

青く輝き 赤く燃えて

緑鮮やかに 黄の輝きに

ボクたちはー 輝く光になれるんだ。


きっと、強く。」


私は素直に嬉しかった。『ShinE L!ght』が1位に選ばれた瞬間、胸が熱くなった。この曲は私の全てを注いだ始まりの曲。ギターを握りしめ、観客の熱に答えるように、全力で歌い上げた。


ライブも終えて、まさかアンコールをもらうとは…最後は私たちが選んだ、Ride: OЯ Die´Sを最後に文化祭ライブは盛大に盛り上がった。


ライブの熱狂が終わって、教室に戻ると、みんなで後片付けを始めた。机を片付けながら、窓の外に広がる秋の夕暮れが、祭りの余韻を静かに包んでくれた。


「お疲れ様ー!クラス売上1位と、BlueStaR L!neЯのライブ成功を祝してかんぱーい!!」


美紅の掛け声にみんな、教室は文化祭以上に賑やかだ。


「穂川さんのあのBGMめっちゃ良かったよね!」


「ね!あれ、めっちゃ雰囲気良かったー!」


「あと柳くんの料理スキルびっくりしちゃったー!」


そんな話を私は教室を少し抜け出して、屋上で涼やかな風を浴びた。屋上からでも聞こえる生徒たちの声。


「まさか、文化祭ライブで計7曲もやるとは思わなかったな。」


屋上の風に吹かれながら、持ってきた紅茶のペットボトルの蓋を開けた。口に含むとほのかな香りがライブの熱を静かに落ち着かせてくれる。


「あ、きぃちゃんいたいた!」


振り向くとそこには、奏響、慧、優が。


「みんなクラスの人と話してたんじゃなかったの?」


「穂川さんが抜けて行ったのを見て気になった。」と奏響は笑った。


ライブの熱がまだ胸に残る中、慧と優も側にいてくれる。こんな仲間がいるから、屋上の風も温かく感じた。


「そう。」


この雰囲気は教室に戻らないといけない感じか。でも、ライブの熱をもう少し冷ましたかった。


「それにしても楽しかったなー!文化祭ライブ!!」


「SiNSilentとはまた違う熱気だったね!」


「パワフルというか、なんというか。」


「そうだね、でも悪くないライブだった。」


投票式のライブ、またやってもいいかも。文化祭とSiNSilentではまたランキングが変わりそうだ。


「あ、一番星。」


これからも私たちは駆け抜ける。


……To be continued

エピソード11を読んでいただき

誠にありがとうございます。


この物語は、文化祭の熱気と仲間たちの絆を音楽で繋ぐ青春の一ページを描きました。ライブの興奮、仲間との笑顔、そして夕暮れの静かな余韻――そんな瞬間が、きっと皆さんの心にも響くはず。BlueStaR L!neЯの音楽が、これからも星のように輝き続けますように!


よろしくお願い致します。


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