第二章:新たな試練と進化の可能性
第二章:新たな試練と進化の可能性
【ダンジョン 第2層:奥地への道】
フィオナを仲間に加えた俺たちは、ダンジョンの奥へと進んでいた。
第2層の奥は、これまでよりもさらに荒廃した遺跡のような雰囲気を漂わせていた。
壁にはより精巧な彫刻が刻まれ、古代の言語で何かが書かれている。
しかし、それを読み解く術はない。
(……まるで、かつて文明が存在していたような遺跡だな。)
俺は周囲を観察しながら進む。
フィオナも、錬金精製で強化された魔力短剣を手に、警戒を怠らない。
「……あの、迅さん。」
「ん?」
「このダンジョン……何か、ただの迷宮じゃないような気がします。」
フィオナの声には、微かな違和感が混じっていた。
俺もそれは感じていた。
確かに、今までのダンジョンとはどこか違う。
ここは「異世界融合」で現れたダンジョンの一つだが、ただの迷宮というより、何かの遺跡のような意図を持って作られた場所のように思えた。
(……ダンジョンの秘密か。)
だが、今はそれを考えている余裕はない。
前へ進もうとしたその時──
ゴゴゴゴ……ッ!
突然、足元が揺れた。
「っ! 何だ!?」
「この音……!」
ダンジョンの通路が揺れ、石畳の隙間から黒い霧のようなものが溢れ出す。
次の瞬間、霧の中から何かが動いた。
「……グルルル……!」
──黒い甲冑を纏った騎士が現れた。
【モンスター出現:漆黒のガーディアン(SR)】
•ダンジョンの守護者。闇属性の魔力を帯びた強力な騎士型モンスター。
•物理攻撃を無効化する特殊スキル「黒鎧の守護」を持つ。
•弱点属性不明。強化スキル持ち。
「……これは、今までの敵とは格が違うな。」
俺は、すぐに戦闘態勢を取る。
(さて、どう攻めるか……)
【戦闘開始】
「フィオナ、まずは様子を見るぞ。」
「はい!」
フィオナが前に出て、魔力短剣で斬りかかる。
しかし──
キィンッ!
刃が黒い鎧に弾かれ、火花が散る。
「なっ!?」
「やはりな……」
俺は眉をひそめた。
(このモンスター、物理攻撃が通らない。)
となると──
「スライムナイト、いけ!」
俺はスライムナイトを召喚し、雷槍で突撃させた。
ズバッ!
槍が直撃し、電撃が弾ける。
しかし──
「……効いてない?」
雷槍の衝撃にもかかわらず、黒い騎士はほとんどダメージを受けていなかった。
「これ、どうすれば……」
フィオナが焦りの表情を浮かべる。
俺は冷静に分析し、答えを導き出した。
(……こいつ、魔力を帯びた攻撃なら通るかもしれない。)
「フィオナ、魔法を使え!」
「わ、わかりました!」
フィオナは短剣を構え、スキルを発動する。
「風刃(R)!」
バシュッ!!
風の刃が黒い騎士の胴を切り裂き──
「グゥ……!」
ついに、黒い騎士が一歩後退した。
「やっぱり……魔法が通る!」
フィオナの攻撃が決め手になる。
ならば──
「錬金精製、発動!」
俺はフィオナの短剣を強化するため、魔獣の血と魔力鉱石を融合させた。
【錬金精製:風魔短剣(SR)】
•魔法攻撃特化型の短剣へ進化。
•風属性の魔力を溜め、爆発的な斬撃を繰り出せる。
•スキル:「風魔の刃」──風刃の威力を二倍に増幅する。
「……これなら、いける!」
フィオナが風魔短剣を握りしめ、黒い騎士に向かう。
「風魔の刃──発動!」
彼女の短剣が光を帯び、風の刃が渦巻く。
次の瞬間──
──シュバッ!!
風の刃が黒い騎士の胴体を一閃する。
「グァァァ……!」
黒い騎士の身体が大きく揺らぎ、ついに崩れ落ちた。
「……やった。」
フィオナが息を切らしながら、短剣を握りしめる。
「お疲れ、よくやったな。」
俺は彼女に軽く頷き、黒い騎士の残骸へと目を向けた。
(さて、こいつのドロップアイテムは……)
【アイテムドロップ】
•黒鎧の欠片(SR):強化防具の素材。
•闇の魔石(SR):魔法強化の触媒。
•黒鉄の短剣(SR):特定の進化武器素材。
「これは……使えそうだな。」
特に**「闇の魔石」**は、俺の錬金精製の材料としてかなり有用なものだ。
(……まだまだ、俺たちは強くなれる。)
「行こう、フィオナ。」
「はい!」
俺たちは、さらにダンジョンの奥へと歩みを進めた。