第一章:ダンジョン盗賊団との戦闘
第一章:ダンジョン盗賊団との戦闘
【ダンジョン 第2層:盗賊団の襲撃】
「……はっ、面白ぇな。」
盗賊団のリーダー格の男が、俺とスライムナイトを見て嘲笑を浮かべる。
周囲には、鎖帷子や皮鎧を着た手下が5人ほど陣取っていた。
彼らは各々、剣や棍棒、ナイフなどの武器を手にしている。
「ったく、最近の探索者はバカな奴が多いぜ。」
「お前、一人で何人相手にするつもりだ?」
「……いや?」
俺はゆっくりと首を振り、すぐ隣に立つスライムナイトを指さした。
「俺、一人じゃねぇよ。」
「……!」
盗賊たちの表情が一瞬、警戒に変わる。
彼らもモンスターとの戦いには慣れているだろうが、**「召喚獣を強化する錬金術」**の存在は知らないはずだ。
「さぁ、試してみようか。」
俺は手をかざし、錬金精製を発動した。
【錬金精製:魔槍の強化】
スライムナイトの持つ槍が、魔法陣の光に包まれる。
俺は先ほど拾った**「魔力鉱石(下級)」**を触媒にし、さらに補強を施す。
「……吸収しろ。」
魔力鉱石が槍の表面に溶け込むように浸透していく。
槍が青白く発光し、その刃がさらに鋭さを増していくのが分かった。
【武器進化:魔槍スライムナイト(SR)】
•槍の強化により、攻撃時に魔法ダメージが追加される。
•物理耐性のある敵にも有効。
•追加スキル:「雷槍突撃」──雷属性の貫通攻撃を放つ。
「へぇ、なかなか面白いじゃねぇか。」
リーダー格の盗賊が、ニヤリと笑う。
彼はゆっくりと前に進み、腰の剣を引き抜いた。
「でもよ──こっちには、こいつがいるんだよ。」
そう言いながら、リーダーは懐から黒い魔法石を取り出した。
すると、その魔石が淡い紫色の光を放ち──
「グルルル……!」
彼の後ろから、黒い狼型のモンスターが出現した。
【モンスター召喚:シャドウウルフ(R)】
(召喚モンスター持ちか……!)
盗賊団のリーダーは、ただの雑魚ではなさそうだ。
彼は一人だけ**「魔獣使い」**のスキルを持っているらしい。
(なら、こっちも試すか……!)
俺はスライムナイトを指さし、命じる。
「……雷槍突撃、発動!」
【戦闘開始】
スライムナイトが槍を構え、雷の魔力を帯びる。
槍の先端が青白く輝き、バチバチと雷光を発した。
「行け!」
スライムナイトが一気に前進。
雷の残光を引きながら、シャドウウルフの懐へと踏み込む!
「グルルル……!」
しかし、シャドウウルフも素早く反応し、横へと飛び退いた。
雷槍が空を切る。
(……なるほど、素早いな。)
シャドウウルフは俊敏なモンスターだ。
真正面からの攻撃では、なかなか当たらない。
「……なら、スライムナイト!」
俺はすぐに錬金精製を発動し、槍の形状を変化させた。
【錬金精製:槍の変形】
•スライムナイトの槍を「二連鎖槍」へと改造。
•長槍から鎖付きの槍に変化し、範囲攻撃が可能になる。
槍の刃が縮み、柄の部分から鎖が伸びる。
「よし……これなら!」
スライムナイトが鎖を振るい、槍の刃が弧を描くように飛ぶ。
シャドウウルフが避けようとした瞬間──
「遅い!」
鎖がウルフの足に絡みついた。
次の瞬間、スライムナイトは電撃を纏った槍を振り下ろした。
バチバチッ!!
雷槍が直撃し、シャドウウルフが悲鳴を上げる。
「お、おい……!」
リーダーの顔色が変わる。
「まだだッ!」
リーダーは剣を構え、スライムナイトに向かって突進する。
「……そっちが来るのを待ってた。」
俺は小さく呟くと、すかさず魔法陣を発動させた。
「錬金精製──防壁展開!」
魔法陣が床に浮かび上がり、スライムナイトの前に半透明の魔法障壁が出現する。
リーダーの剣が障壁に衝突し、鈍い音を立てた。
「なっ……!」
「……終わりだ。」
俺は手をかざし、スライムナイトに最後の指示を出す。
「雷槍突撃、発動。」
バチバチッ!!
雷を纏った槍がリーダーの剣を弾き、男の身体に直撃した。
「ぐっ……!」
リーダーの身体が壁に叩きつけられ、そのまま倒れ込む。
「て、てめぇ……」
残りの盗賊たちが後退する。
「……これ以上やるか?」
俺は冷静に問いかけた。
盗賊たちはお互いに顔を見合わせ、次の瞬間──
「……チッ、撤退だ!」
リーダーを抱えながら、盗賊たちは慌ててその場を去っていった。
「ふぅ……終わったか。」
俺は息を吐き、スライムナイトを見上げる。
(……やはり、錬金×召喚のコンボは強いな。)
これなら、今後も十分戦っていける。
俺は少女の方を振り返り、静かに言った。
「さて、君の話を聞かせてもらおうか。」
少女は少し怯えながらも、俺を見つめていた。