第一章:無名の錬金召喚師
第一章:無名の錬金召喚師
試験会場:エクスプローラー適性試験
広大な白いホールには、数百人もの受験者が集まっていた。
壁際には数十のモニターが並び、適性試験を受けた者の職業が一斉に映し出されている。
受験者たちは緊張した面持ちで、自分の名前が呼ばれる瞬間を待っていた。
試験官たちは、ホール中央に設置された壇上から、次々と職業の結果を発表していく。
「次、受験番号1703番──神崎 迅。」
呼ばれた瞬間、俺は静かに前へ進み、電子モニターの前に立った。
額に汗が滲む。
この瞬間が、俺の未来を決めるのだ。
モニターに表示されたのは──
──**「錬金召喚師」**
「……え?」
一瞬、場が静まり返った。
そして、次の瞬間──
「は!?」「何それ!?」「聞いたことねぇ!」
周囲がざわめき始める。
驚きと失笑が混じった視線が、俺に突き刺さる。
「やっちまったな……」「戦士でも魔法使いでもないって……マジか。」
「あのクラス、初めて聞いたんだけど」「特殊職? でも……強いのか?」
俺の背中に、数百の視線が突き刺さるのを感じた。
【職業:錬金召喚師】
•錬金術と召喚術を併せ持つ特殊職業
•ガチャで獲得したスキル・アイテム・召喚獣を「錬金」することで強化・改造が可能
•通常の職業では扱えない「合成スキル」や「進化召喚獣」を作り出せる
「……はぁ。」
俺はモニターの文字をぼんやりと見つめながら、息を吐いた。
正直、ショックだった。
戦士や魔法使いなら、ダンジョン攻略で即戦力になれる。
しかし、錬金召喚師なんて聞いたこともない職業。
「……終わったか?」
周囲の失笑が聞こえる。
試験官すら、若干の同情を込めた目で俺を見ていた。
──だが、その一瞬後、俺は職業の詳細を読み込んで、すぐに気づいた。
(……いや、これはハズレじゃない。)
通常の職業は、ガチャで手に入れたスキルや装備をそのまま使う。
だが、この職業は違う。
「ガチャで引いたものを改造できる」
その意味を、周囲の誰も分かっていない。
──なら、それを証明してやるまでだ。
俺は、肩をすくめて苦笑した。
「……面白いじゃねぇか。」
背後では、まだ俺を見下すような視線が続いている。
だが、そんなの関係ない。
俺は、ダンジョンへ向かう。
そして、俺が「無名のクラス」から成り上がる第一歩を踏み出すのだ──。