表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/110

笑うな!!

「民よ民……この世で一番美しいのは誰?」


「「「「「それはラン様です!」」」」」


俺以外の民衆が口を揃えて答えた。


「な!?」


みんな、焦点が合わない目でランを見上げている。


「何を言ってるんだ!」


「ラン様……」


「ラン……様」


「……ラン様」


口々にランの名前を呟いている。

異様な光景だ。


「ここは危険だ!ルゥルゥ!一旦外に……ルゥルゥ?ルゥルゥしっかりしろ!」


「……ラン……様」


「ダメだ!ルゥルゥまで魅了されてる」


「民よ!民!この世で一番美しいのは誰?」


「「「「「「「それはラン様です!!!」」」」」」」


「あはははははははは!」


ランが高らかに笑っている。


「あれはヤバイな……」


「私の民よ!見て!この腕を!」


ランが服で隠れていた左腕を出した。


「無い!ランの左腕が無い!」


腕が途中で無くなっている。


「私の腕を探してちょうだい!」


「おいおい!あいつは何を言ってるんだ?」


「私の腕は、忌まわしきヴァイラスに奪われたの!」


ヴァイラスだと!?


「な、何故ヴァイラスを知ってるんだ!……ヴァイラスを知ってる?……左腕が無い?…………あいつは!女神プライマリー!!!」


間違いない!あの時、超亜空間で、ヴァイラスが付着した左腕を、プライマリー自ら切り落とした!それを俺に投げつけて、左腕を残したまま次元の亀裂に消えて行った。

そして、左腕は次元の狭間に俺達と一緒に飲み込まれた。俺はヴァイラスに助けられ、ヒーローアンジュも背中に張り付き無事だった。だが、他の妖精アンジュと、プライマリーの左腕は、超亜空間から出て来てはいない……。

しかし、プライマリーはシステムだから、簡単に再生するもんだと思っていた。あれを見ると、左腕が無ければそれは出来ないみたいだ。ヴァイラスが影響しているのか?

それにしても、こんなに早くラスボスが出て来るとは!


「何故こんな所に!」


やはりこの世界は狭い。


「私の腕は妖精樹の下にある!……妖精樹……それは、絡まる五本の木。知っている者は前に出なさい」


絡まる五本の木だと?……知ってるぞ!この世界に来た時に見た木だ。


「妖精樹とは、ミニ世界樹の事か?」


あそこはどこだ!?どこに生えてるんだ!MAPを確認するが表示されていない。


「あの場所はどこなんだ!?……プライマリーよりも先に手に入れたい!……いや!昨日も見たぞ!ナレーション!妖精樹の場所は分かるか?」


『説明しよう!分かるのである』


MAPに赤丸が表示された。


「間違いない!昨日の場所だ!その下に左腕が埋まってるのか?妖精樹の下にあったのは……ダンジョン!そう!ダンジョンだ!!あのダンジョンにあった物は……木の杖?」


ショルダーバッグを覗いた。木の杖は、木の杖だ。しかし良く見ると、干からびた人の手にも見える!


「……これだ……」


ミイラのような左腕だ!


「間違いない……俺が持ってた……」


「いないみたいね……それじゃあ探してちょうだい!」


「……はい……ラン様」


民衆と共にルゥルゥも返事をした。


「ルゥルゥ!目を覚ませ!」


ダメだ!正気に戻らない。


「ナレーション!今直ぐにルゥルゥの魅了を解きたい!どうすれば良い?」


『説明しよう!魅了を解くためには、強いショックを与えるか、術者に大ダメージを与える必要があるのである』


「強いショック?ダメージじゃなくてショック?精神的にダメージを与えろってことか!」


「民よ!私のために探して!そして私に捧げなさい!」


「はい……ラン様」


「くそっ!時間が無い!ショックって何をすれば良いんだよ!……もしかして……このパターンは……キス……じゃないか?」


小説や映画で良くあるやつだ!眠っている姫は、王子のキスで目覚める!魅了されたヒロインは、主人公のキスで正常に戻る!


「それしか方法がない!ルゥルゥ!」


ルゥルゥの肩を掴んで見つめた。虚な目をしている。

よく見ると本当に美しい。世界で一番美しいのは誰だと聞かれたら、俺は迷わずルゥルゥと答える!


「ゴクッ!」


覚悟を決めて顔を寄せる。俺は自然と笑顔になった。

すると突然シルヴァが怒った。


「笑うな!!」


「いたっ!」


シルヴァにビンタされた。


【ー23】


「きゃぁぁぁぁ!」


「お、おいおい!大丈夫か!?俺を攻撃したから奴隷紋が……」


「……え?ご主人様?どうして?……私はまた……」


どうやら我に返ったみたいだ。


「俺の笑顔がショックだったなんて……」


「はい?何か言いましたか?」


「いや……何でもない……それより周りを見てくれ」


ルゥルゥが周りを見ている間に、ポーションを一気に飲んだ。またもや一撃で瀕死だった。恥ずかしくて回復する姿は見せられない。

今回笑顔になったのは、絶望や恐怖からじゃない。ただ、恥ずかしかったんだ。照れ笑いだ。その笑顔がルゥルゥにとってはショックだったのか……俺には、それがショックだ。


「……みんな……変です」


「そう!俺とルゥルゥ以外はみんな魅了されてる!あいつのスキルだ!」


女神プライマリーを指差した。

その時、女神プライマリーがこっちを向いた。


「ヤバイ!隠れるぞ!スピードスター!」


咄嗟にルゥルゥの手を取り小屋の陰に隠れた。


「ハァハァ、危ないところだった。見つかったら大変だ!ルゥルゥ逃げるぞ!」


ん?ルゥルゥの手がシワシワだ。


「ラン様……最高じゃ」


「誰っ!?」


ルゥルゥの手を握っていたつもりが、知らないお爺さんの手だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ