表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/110

契約?

マリスガンがアクセルビーを指差して言った。


「君はテイマーだろ?あいつをテイムしてレースに出てくれ」


嫌な予感が的中。だがそれは無理だ。


「俺はアクセルビーを操る事はできない!」


「頼むアスカ!乗ってくれ!」


ジャックバッシュに懇願されるが無理なものは無理だ。


「いや、だから無理だって!そもそもそんな簡単に選手の交代ができるのか?」


マリスガンが不敵に笑う。


「俺が許可すれば問題ない。それに契約は成立している。君がレースに出ようが出まいが、俺は一向に構わない。くく……どちらでも良いんだよ」


「契約?」


マリスガンが契約書を出して俺に見せた。


「簡単な契約だよ。君がこのアクセルビーに乗ってレースに出る。そしてゴールする。出来なければ、くく……ジャックバッシュは生涯ここで働いてもらう」


「そういう事だ」


ジャックバッシュは腕を組んで誇らしげに言った。


「そういう事だじゃない!俺はアクセルビーを操れないって言ってるだろ!」


「大丈夫だ。アスカなら出来る!」


操れないって言ってるのに……。


「このアクセルビーは最速だ。しかし見ての通り、くく……気性が荒い。君は乗れないだろうな。だが、何も恥じる事はない。仮に乗れたとしても、乗りこなすのは無理だ。ゴールできないのは目に見えている。そしてレースに出場しなければその時点で、くく……ジャックは俺の所有物になる。いずれにせよ俺には何一つ損は無い」


最悪だ!


「なに勝手な契約を交わしてるんじゃないよ!」


「どのみち俺は奴隷落ちだ。だったらマリスの用心棒にでもなるさ」


「勇者一行が何を言ってるんだよ!魔王討伐はどうするんだ!」


「もちろんやるさ。俺はアスカに賭ける!」


「待て待て待て!俺とは会ったばかりだろ!そんな奴を信じるなんて可笑しいだろ!」


「誰でも信じる訳じゃない!アスカだから信じるんだ」


おいおいおい……さすが勇者一行のストーリー。友情ど真ん中だ。重い……。


「話は以上だ。さてジャック……彼がアクセルビーに乗らないのであれば……」


「乗るよ!乗ってやる!」


「アスカならそう言うと思ってた!」


ジャックバッシュが歯を光らせサムズアップする。その直立した親指をへし折ってやろうか!


「ほう。その心意気は買ってやろう。しかしどうだ?くく……怪我する前に逃げた方が賢明だぞ?」


『ブブィンブィーン』


アクセルビーが羽を広げて威嚇している。自然と笑顔になる。これは恐怖だろうな。


「乗れば良いんだろ?」


「くく……乗れればな」


いけ好かない笑い方だ。


「嫌味な野郎だ!だが、その余裕はいつまで持つかな?」


「くく……君もね」


「その笑顔を消してやるよ!」


とは言ったものの、例え乗れたとしても俺にはアクセルビーを操る事ができない。それにレースのルールが分からない。


「ルールは?」


ジャックバッシュに聞いた。


「ルールは簡単だ。北の塔、森の塔、北の塔と順に通過して戻ってくれば良い。例えアクセルビーから落ちてもまた乗れば問題無い。ゴールは、アクセルビーに乗った状態で通過するんだ」


くく……。とほくそ笑んでマリスガンが続けた。


「ちなみに、レース中はアクセルパイプの使用は不可だ。まぁ、使ったところで側に来るだけだがな。そして、このアクセルビーをテイムするのは無理だ。気絶している彼が主だからな」


「ご忠告痛みいるよ。だが、テイムする必要はない」


俺はテイムのスキルは使えない。しかしテイムとは良い事を聞いた。ナレーションに小声で確認する。


「ナレーション。テイムされているモンスターにチャームフォグは効くのか?」


『説明しよう!チャームフォグはテイムに関係なく効果はあるのだ』


よし!それならチャームフォグを使い続ければ、なんとかなるかもしれない!ただ、チャームフォグはモンスター特有のスキルの可能性がある。あまり見られたくないな。人払いしなければ。


「アクセルビーと二人きりにしてくれないか?」


「ダメだ」


このままじゃチャームフォグを見られてしまう。


「だ、だったら皆んな向こうを向いててくれ!」


「何のために?」


「……」


だよな……。チャームフォグは見られても良いのか?モンスター専用のスキルの可能性は?だとしたらそれを見せるのは自殺行為だ。ん〜……どうしよう……。


『プオォォォン』


突然、角笛の音が響き渡った。


「くく……もう時間が無いぞ。間もなくスタートだ」


他のアクセルビーが出走ゲートにスタンバイしている。


「落ち着くんだ。アスカなら大丈夫だ」


ピンクのジャケットを渡され、ジャックバッシュが真っ直ぐな目で俺を見ている。暑苦しい……。

ジャケットに手を通した。


「さあ、行ってくれ!」


ジャックバッシュが期待を込めてピンクのマントを俺に掛けた。


「次の角笛がスタートの合図だ」


マリスガンの言葉に笑顔が引き攣る。しかし、もうやるしかない!!


「チャームフォグ!」


アクセルビーにピンクの靄が掛かった。


「何だそれは!?」


案の定マリスガンが驚いている。やはりモンスターのスキルみたいだ。が、見られてしまったからには仕方ない。


「聞いてるのか!答えろ!!」


無視だ。


『ブブブ』


アクセルビーが大人しくなった。


「良し!効いた!」


今だ!急いで背中に乗った。


「馬鹿な!!他のテイマーに背中を許すはずが!」


マリスガンの顔から笑顔が消えた。

時間が無い。背中に乗って触角を捻る。……が、体が動かない。これじゃ操れない!いや、諦めるな!アクセルビーの頭に触れて心から叫ぶ。


「頼む!飛んでくれ!」


『ブブブブィーン』


アクセルビーが浮き上がった。魅了しているからだろう。操作は出来ないが、俺の言う事を聞いてくれる!


「受け取れ!」


ジャックバッシュが、ピンクのヘルメットとゴーグルを投げた。ピンク一色だ。それを装備して大声で指示を出した。


「行けぇぇぇ!」


俺の声に反応したアクセルビーは、フルスロットルで出走ゲートに向かった。


『プオォォォン』


二回目の角笛だ。


「「「「「うおぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」」


歓声で大気が揺れる。

出走ゲートにたどりついた。


「間に合った!」


それと同時にゲートが開き、アクセルビーが一斉にスタートを切った。


『『『『『ブィーン!!!』』』』』


砂塵が舞う。


「「「「「「「わぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」」」」


観客の歓声。とてつもない熱気だ。


「おいおいおい……」


そして、俺のアクセルビーはゲートで停止した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ