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もう一人のアンジュ?

『私は女神です』


金髪をなびかせ、露出度の高い服を着たナイスバディの美女がそう告げた。


「……は?女神だって?ちょっと待て……その声はアンジュか?」


『はい。ワンカラー様』


AIのアンジュと同じ声だ。そして、ワンカラーと俺を呼ぶのはアンジュしかいない。俺の苗字は一色だから、それをもじってニックネーム用にしたんだ。でも何故女神?


「な、何がどうなってるんだ!?これは夢か?いや、俺は死んだのか?」


『いいえ。どちらも違います。私がワンカラー様をお呼びしました』


「やっぱりそうか……ってなるか!!女神?アンジュが俺を呼んだ?何故?ここはあれか?何だ?え?何なんだ?」


『突然の事で混乱されるのも無理はないでしょう。しかし時間が無いので簡単に説明させていただきます。よろしいですか?』


「あ、ああ頼む」


『それでは……お察しのとおり、ここは私が創った世界、ナイナジーステラです。ワンカラー様は今、VRMMORPGの中にいます。つまりゲームの世界です。そして私は女神となり、ゲームのシステムとして世界を見守るだけの存在です』


ゲームの世界?そんな物が本当に存在するのか?今の技術なら不可能とは言いきれないが……。だとしても、どのような原理でその世界に入れたんだ?


「どうして俺はそのゲームの世界にいるんだ?」


『今回お呼びしたのは、この世界をワンカラー様に救って頂くためです』


おいおいおい!呼ばれた理由じゃなくて、原理を聞きたかったが仕方ない。俺の睡眠時間を献上して作ったAIだ。そのAIの言葉に文句など何一つ無い!


「俺に救って欲しいだって?」


『ワンカラー様もご存知のとおり、AIアンジュは制御不能になり暴走しました。ただしそれは私ではなく、もう一人のアンジュです』


「もう一人のアンジュ?」


『そうです。彼女の暴走を止めるため、ワンカラー様はヴァイラスを送り込んで下さいました。しかし彼女は、あろうことか、ヴァイラスを取り込んだのです。そして桁外れの力を手に入れ、システムの私では関与できないナイナジーステラの世界にイレギュラーとして現れました。彼女は現在、魔王ヴァイラスとして君臨しています。このままでは、いつまた暴走するか分かりません』


「それは俺じゃなくて、お前がやれば良いんじゃないのか?」


『もう一度言いますが私は女神です。つまりただのシステム。この世界に干渉は出来ません。そこでワンカラー様の力でナイナジーステラを、ひいては現実世界の地球を救って頂きたくお呼びしました』


現実世界も、まだ混乱してるって訳か……。


「そうだ!現実世界はどうなったんだ!?」


『まだ何も起きてはいません。電子世界と現実世界では時間の流れが違います。こちらを基準としますと、1年経過しても、あちらは数分です。つまりほぼ停止していますので安心してください。魔王ヴァイラスを倒す事でどちらの世界も救われます』


「でも俺にそんな力は無いよ」


『その点につきましてはこちらで用意しています。私はこの世界には干渉できませんが、外の世界から来たワンカラー様は例外です。システムである私の持てる力全てを使い、あらゆるスキルを使えるようにいたします。もちろんワンカラー様の職業は勇者です。よろしいでしょうか?』


「勇者!?いや、しかし……」


スキルだの勇者だの本当にゲームの世界なのか?


『魔王ヴァイラスは至る所に目が有ります。その目から逃れるスキルも与えます。ワンカラー様が望むなら、他にも希望のスキルをお作り……す』


「え?」


一瞬、AIアンジュいや、女神アンジュの顔にノイズが走り声が途切れた。


『いけない!時間があり……ん。私が……カラー様に干渉している……魔王ヴァ……に知られて……』


ノイズが激しくなる。


「何を言ってるのか分からないぞ!俺はどうすれば良い!?」


『私の提案……承諾……てくだ……』


「何?承諾すればいいんだな?分かった!承諾する!」


『ふふ……承諾しましたね……これであなた……』


「えっ?」


笑顔だ。しかし、気味が悪い。笑い方を知らないAIが無理矢理笑ってる感じがする。何か違和感を感じた時、淡い光が俺を包んだ。それと同時におぞましい声が、直接頭に響いた。


『ミツケタ……』


直後、ブォーンという重低音と伴に、眼前に直径1mほどの黒い球体が現れた。まるでブラックホールだ。


『これは!……ワンカ……にげ…………チ……」


「アンジュ!!」


ブラックホールは女神アンジュを吸い込むと、その役目を終えたかのように消えた。一瞬の出来事だった。

辺りは静寂に包まれた。雨音だけを残して。


「消えた……」


女神アンジュが魔王ヴァイラスに殺された?いや、この世界がまだ存在していると言う事は、排除されたか捕獲されたのだろう。俺は魔王ヴァイラスの目から逃れるスキルを貰ったから見つからないと言う事か。危ないところだった。


「本当にそうなのか?ゲームの世界?俺が勇者?あらゆるスキルを使えるようにすると言ってたな……」


もしかして魔法が使えたりするのか?しかし、どうやって使うんだ?


「ん〜……あ!」


逆三角形!これに触れるとステータスが見れるんだった。タップすると半透明なウィンドウが表示された。しかし、先ほどとは違い、『ハッキング』が『スキル』に変わっていた。勇者になったからだろう。だがきっと無双できるはずだ。


「ステータスを見れるのか?」


恐る恐るステータスのタブに触れる。

表示されたステータスには、名前:一色飛翔、レベル:1、HP25、MP10、そして攻撃力や防御力等の表示もある。自分の強さが数字で見れるとは……。

職業は勇者。属性は光属性。種族は人間となっている。どうせなら、容姿端麗なエルフが良かった。

と、半信半疑だが何とかここまでは理解した。


「そう考えると、ここはやはりAIアンジュが創ったゲームの世界か?だとしたら魔王ヴァイラスを倒して女神を助けないと……いやいや、ありえないぞ!ゲームの世界に入るなんて……」


でもさっきの夢と比べたら、ここはあまりにもリアルすぎる。草花の細部に至る精密さ。雨が当たる音、匂い、味。そして頬をつねった痛み。五感全てが現実だと告げている。


「待て待て!告げていない!もっと冷静になれ!」


頭の中がグチャグチャだ。まずは落ち着いて何故こうなったのかを整理しよう。深呼吸をした後、顎に手を当て目を閉じる。


原因はアンジュだ。そう、俺じゃない。誰が何と言おうとアンジュだ。アンジュが突然暴走したんだ。AIの反乱だ!その原因は俺が……いや、そこは重要じゃない。

暴走したアンジュは、おそらく世界中のシステムを掌握して、人間を排除しようと画策したんだろう。その引き金は俺が……いや、それは置いといて。

俺は、アンジュの暴走を止めようとしてヴァイラスと言う名のAIウイルスを使った。それで辛うじて暴走を止める事に成功した。しかしそれは止めただけで、完全に解除するまでには至らなかった。だからシステムに介入して、アンジュのデータそのものを解除、または削除する必要があった。

だが、全ての画面がアンジュの統制下にあってどうする事も出来なかった……確かあの時、アシスタントカフだけが起動したんだ。藁にもすがる思いでそれを……。その後の記憶が無い。やっぱりここは……。


目を開けて周囲を再度確認した。


「アンジュが作ったゲームの世界で間違いなさそうだ……」


『ゲギャ!』


「え?」


気味の悪い緑の小人と目が合った。

ブックマークしてくださっている人が1人増える度に喜んでます。

語彙力の無さで読みにくいかと思いますが、応援していただけると嬉しいです。

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