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もう混乱してない!

森を埋め尽くしていたパニックマッシュは消え、1匹のパニックマッシュとハニーアントの死骸だけが残っていた。そして俺の左頬はパンパンに腫れている。パニックマッシュのパンチを無数に喰らったせいだろう。


「だから貴方は、パニックマッシュのスキルを受けて混乱していたのよ」


「混乱って?」


「混乱は混乱よ。貴方にはパニックマッシュが複数に見えていたんでしょ?実際にはずっと1匹しかいなかったのよ」


「もしかして、最初に受けたパンチか?あれで混乱した?いや待ってくれ、それはおかしい……確か君は、ハニーアントに襲われていたはずだ。しかし何事も無かったかのようにここにいる。君が襲われていたのも混乱していたからそう見えたって言うのか?だとしたら、俺はもっと前から混乱していたんじゃないのか?」


「いいえ違うわ」


「だったら他に誰か助けに来たのか?」


「それも違うわ」


「まさか君もモンスター?」


「ちょっと!こんなにセクシーな美女のどこがモンスターよ!もう一度目を覚まさせてあげる」


止める間も無く素早い左フックが右の頬を捉えた。


「ぐはっ!」


【ー11】


激しい衝撃を受け回転しながら顔面から落ちた。


「どう?目は覚めた?」


どう?って言われても、左の頬同様、右の頬もパンパンに腫れ上がった。どうやら顔が腫れていたのは、パニックマッシュから受けたダメージじゃなかったみたいだ。

それにしても、混乱から正気に戻すためとはいえ、ビンタじゃなく拳で殴るか?


「あたた……」


痛すぎる。HPは残り2。このままじゃ美女に殺される。


「まだモンスターに見えるかしら?」


モンスターに見えるかって?見えるはずがない。

燃えるような真っ赤な髪。その前髪で右半分の顔は隠れているが、それがまた妖艶。そしてわがままボディ。透き通った甘美な声。シャロンとはまた違うタイプの美女。流石AIが作ったNPCだ。世界中の美女のデータから作成された至高の女性像と言っても過言ではない。計算された完璧なパーツの集合体だ。それでいて肌の露出が圧倒的に高い服。悪魔的に美しい。


「……ある意味モンスターだ」


「まだ目が覚めないの?お仕置きが必要みたいね」


絶世の美女からのお仕置きはこちらからお願いしたい。いやいや何を考えている。ダメだ!もう1発喰らったら死んでしまう。


「ちょ、ちょっと待った!モンスター級に美しいって事だ」


「あら。分かってるじゃない。目が覚めたみたいね」


ふぅ。危ないところだった。


「それで、その美女がハニーアントに襲われていたのに、どうしてハニーアントもパニックマッシュも死んでるんだ?」


「私が倒したの」


「どうして?」


「貴方がやられそうだったからよ」


「いやいや。意味が分からない。君が襲われそうだったから俺が助けようとしたのに?」


「そうよ。か弱い私が襲われそうなところを白銀の騎士様が颯爽と現れて助けに来るはずが、弱っちい貴方が現れて、勝手にやられそうになったからじゃない」


「白銀の騎士様?俺を待っていたのか?」


「違うわよ!白銀の騎士様って言ったでしょ。本当迷惑しちゃうわ!凄く強そうな気配が近付いてきたのに、いざ現れたと思ったら超〜弱いんだもん。あれは私の気のせいね。私の騎士様はどこよ?私の完璧な計画が狂ったわ」


気のせいじゃない。直前まで ヴァイラスに変身してたからな。


「それじゃあ、襲われてたのは演技だったのか?」


「当たり前じゃない!あんな雑魚に襲われるなんてあり得ないわ!」


「そんな雑魚にやられそうになってた俺って……ごめんなさい」


「まあいいわ。白銀の騎士様がこんな場所にいないのは分かってたのよ。劇的な出会いってやっぱり無いのよ……計画の修正が必要ね……」


俺からしてみれば、これ以上無い劇的な出会いだ。


「それにしても、どうしてこんな所に1人でいるんだ?」


「それはこっちのセリフよ。そんなに弱っちいのにどうしてこんな所に1人でいるわけ?」


ストレートに聞く人だ。もうちょっとオブラートに包んで欲しいもんだ。でも裏表が無さそうで好感が持てるけど。

……いや、騙されるな。裏表がありまくる。か弱い女性を演じて玉の輿にでも乗るつもりだったのだろう。


「弱いからレベル上げをしてたんだよ」


本当はレベルは上がらないけど。


「そう……レベル上げか……仕方ないわね。それなら私が手伝ってあげる。ここで放っておいたら貴方死んじゃうもの」


パチンとウインクを飛ばした。鬼に金棒。美女にウインク。殺人的に魅力的だ。キャッスリンのそれとは天と地ほど違う。

しかし、彼女と一緒にいたら変身が出来なくなる。そうなるとスキルを覚えられない。ありがたい申し出だが断らないと……。断腸の思いで口を開いた。


「いや、大丈夫だ」


「そうよね。私が助けないと……え?おかしいわね……分かったわ。まだ混乱してるのね」


美女が拳を握り近付いて来る。もうこれ以上その拳を受けると死んでしまう。絶世の美女に殺されるならそれも有りか?いやいや、ダメだ。


「ま、待ってくれ。もう混乱してない!」


「……じゃあどうして、この私が助けてあげるって言ってるのに断るのかしら?」


「1人で平気だからだよ」


「パニックマッシュも倒せないくせに、平気なわけないでしょ?」


「それはこれから頑張るんだよ」


「いいわ。着いて来なさい」


何が良いんだ?着いて行くわけないだろ。


「ちょっと!何してるのよ!早くして!」


手を上げて振り向いた。


「わ、分かったから殴るのはやめてくれ」


気の強い人だ……AIが創造する美女は、みんなこうなのか?

ギルド受付嬢のキャッシュを思い出した。

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