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ただのコレクションさ

親切な冒険者に手を振り、教えてもらった場所に着くと、ポーションやエーテルを置いてある露天を見つけた。その片隅に申し訳程度に魔石が置いてあった。大小様々な形の魔石が8個ある。カラーはピンクのみ。だがこれが欲しかった。


「見つけた!」


「あちゃ〜!見つかっちまったか!」


10代後半の日に焼けた男が、額にピシャリと手を当て、舌をペロリと出した。人懐っこい笑顔を向ける元気の良い店員だ。


「うちの店はレアな商品ばかりだよ。例えば、この指輪は装備するだけで魔法が使えちまうのさ」


流石商売人。早速売り込みが始まった。


「何っ!魔法が使えるのか?」


「ああそうさ!ほら見てろ!」


店員が右手の人差し指に指輪を嵌めてブツブツと独り言を言い始めた。そして指を鳴らすと人差し指に火が現れた。


「凄ぇ!ライターみたいだ!」


「キロライトの魔法とはまた違うさ!」


ん?ライターって言ったんだが、キロライトっていう魔法があるのか?


「これを両手に嵌めれば……」


こんどは左の人差し指に嵌めた。そしてまたブツブツと言い始め、指を鳴らすと人差し指に火が現れた。


「ほらな」


「おお!両手に火が出た!それ良いな!」


「兄さん良い反応だな!1つ8千ギャリーだが、喜んでくれた礼として特別に2つ買うと1万ギャリーにしてやるよ」


8千が2つで1万?安すぎる……吹っかけられてそうだ。


「2つもいらない。それに8千ギャリーは高すぎるな」


「それな!俺も丁度そう思ってたとこだ!1つ7千ギャリーでどうだ!」


これはもっと下がるな。


「ん〜。その半分だな」


「バカ言っちゃいけねぇ!6千だ」


「4千!」


「おっと!これは嵌めるだけで魔法が使えるレアもんだぜ!6千からは下げれねぇな」


あれ?意外と強気だな。これ以上は無理か?


「試させてくれ」


「残念だが、それは出来ない。持って逃げられたら大損だ」


「怪しいな。イカサマじゃないか?」


「何をどうイカサマするってんだ?」


「それ本当に指輪の力か?あんた自身の魔法じゃないだろうな?」


「ば、ば、馬鹿を言っちゃいけねぇなぁ!俺は商人だぜ。ま、魔法が使える訳ないだろ」


分かりやすく動揺してるな。図星みたいだ。だったら。


「ブツブツ詠唱してただろ?指輪の力なら詠唱は要らないはずだ」


「そうなのか!?しまった!……兄さんなかなかやるな只者じゃないだろ」


適当に言ったら勝手に白状した。


「その指輪は要らない」


「ま、待ってくれ!だったらこれはどうだ?炎が消えない木だ!」


「それは松明だろ?」


「ぐっ……それならこの火が出る手袋でどうだ!」


手品か。


「もしかして火の魔法しか使えないのか?」


「何故それを!はっ!しまっ……」


残念な人だ。


「そこの魔石を売ってくれ」


「は?魔石を?これこそタネも仕掛けもないただの魔石だ」


「それが良いんだ」


「兄さんは変わってるな」


「この形は見たことがある。トリックラット、ダゾレシア、これがグレムリンだな。幾らだ?」


「意地が悪いな。知ってるくせに。1つ10ギャリーだろ」


「安すぎないか?」


「正当な価格だ。Gランクは10ギャリーで、Fランクだと50ギャリー。誰でも知ってるよ」


そんなもんか?魔石はそんなに需要が無いのか?交渉する必要もなさそうだ。


「これもGランクか?」


「そうだ。これがレイビ。んでハニーアント。その隣がシルクバットとラブオウル。この形がいびつなのがパニックマッシュ。全てGランクだろ」


レイビは尻尾が無い最弱のモンスターだったな。これも知ってる。他のは……冒険者の心得に目を通すと、腹がボールのように膨れたアリ。シルクハットを被っているような頭をしたコウモリ。ハート型のフクロウ。そして顔のあるキノコのモンスターが描かれている。スキルや特徴等は字が読めないので分からない……。


「全部くれ!」


「使い道はないだろ?」


「ただのコレクションさ」


「ふ〜ん。何が良いんだかね」


80ギャリー支払い、8個全ての魔石を受け取った。色々と買い物をしたが、最も欲しかった魔石が一番安かった。しかしショルダーバッグがパンパンになってしまった。使えない土属性の魔石が邪魔だな。


「これを買い取ってくれるか?」


「それは!……なんだ、全部Gランクだな。ほら25ギャリーだ」


ゴブリンの魔石4個、ニーボアの魔石1個を渡して25ギャリー受け取った。ひとつ5ギャリーか。


「売値の半額で買い取ってくれるのか?」


「要らない魔石を買い取ってくれた礼だよ。おっと!金は渡したから交渉は終了だ。今更返せなんて無しだぜ」


何を焦ってるんだ?魔石は価値がないはずだが……もしかして……。


「今、土属性の魔石が見えたんじゃが売ってくれるか?」


背後から老人が声を掛けてきた。


「爺さん。あんた運がいいね!そう!たった今手に入ったんだ!1つ500ギャリーでどうだ?」


「おお!全部くれ」


はぁ!?1つ500ギャリー!?どうして?


「おじいさんちょっといいかな?」


「なんじゃ?」


「Gランクの魔石は10ギャリーじゃないのか?」


「それは使い道が無い幻属性だけじゃろ?」


「またか……」


店員が口角を上げてサムズアップしている。ぼったくられてた……。

リンゴ〜ンと鐘の音が響いた。

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