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ウイルスのくせに……

『ゲギャゲギャ』


『ゲギャ〜!』


危ないところだった。12匹も集まって来た。このまま気付かれないように木の上で息を潜めよう。


「早くどこかに行ってくれ」


ゴブリン達は木の下で、ウロウロキョロキョロ俺を探している。


『チチチ』


「ん?」


何の音だ?

音のする方を見ると、リスのような生き物が枝の先でクルクル回って鳴いている。俺がいるから逃げ道がないんだろう。下にはゴブリンがいるし。それにしても可愛い。


「ごめんな」


小声で話しかけると、ピタリと動きを止めて首を傾げた。可愛い。クリクリとしたビー玉のように綺麗な目。そしてモフモフだ。


「少しの間、隠れさせてくれ」


そう囁くと首を逆にコトンと倒し、手に持つ木の実を俺に向けて近付いて来る。


「くれるのか?」


手のひらを出すと木の実を置いて、また首を逆に倒した。人懐っこいな。動きも可愛いすぎる。


「ありがとな」


『チチチチ』


「もしかして言葉が分かるのか?」


『チチチ?』


言葉を理解してるかどうかは分からないが、とにかく可愛い。連れて行けないだろうか。


『チチチチチチ』


可愛いがちょっと声が大きいな。ゴブリン達に気付かれてしまう。少し静かにしてほしい。人差し指を口元に当てた。


「し〜〜っ」


『ヂィィィィィィィ!!!』


突如、形相が肉食獣のそれに変わり、牙を剥き出しにして威嚇を始めた。


「え〜〜〜〜っ!」


『ヂヂヂッヂッ!』


真っ赤に充血した目を見開き飛びかかって来た。移動速度が速すぎて見えない!


「ぎゃぁぁぁ!」


咄嗟にナイフを持っている手を上げた。すると丁度そこに刺さった。


『ヂィィァァァァァ!!』


リスモドキは自らナイフに刺さり、勝手に力尽きた。


「ハァハァ……あ、危ないところだった」


たまたまナイフが刺さって助かった。こいつは可愛い小動物を装い油断したところを襲うモンスターか。まんまと騙された。


『ゲギャギャギャギャギャ!!!』


「しまった!見つかった!!」


ゴブリン達が見上げている。ヤバイ!バッチリ目が合った。どうする!?もう逃げ場がない!登って来るか?


『ゲギャゲギャ!』


こちらを見上げナイフを振っている。が、届かない。棍棒を投げて来た。が、それも届かない。


「こいつら何やってるんだ?」


登ってこようとする奴がいない。もしかしてゴブリンは木を登れない?それとも単に頭が悪いのか?


「とりあえずここにいれば安全だ。諦めるのを待って……嘘だろ!?」


弓矢を構えてる奴がいる!!あれはマズイ!どうする!?


「危なっ!」


放たれた矢が足元の木に刺さった。このままだと格好の的だ。変身したいが幻属性の魔石がない。


「どうする?ナイフを投げるか?」


ゴブリンナイフには、さっきのリスモドキが刺さったままだ。抜こうとした時、リスモドキの胸の奥にピンク色に光る小さな魔石が見えた。


「ピンクだ!!ナレーション!このピンク色の魔石は変身できるのか!?」


『説明しよう!変身可能である。トリックラットの魔石は幻属性なのである』


なるほど。こいつはトリックラットっていうのか。どおりで騙して……ってそこじゃない!この魔石で変身できる!

トリックラットをナイフから抜き、胸の魔石を取り出した。ピンク色だ。


「うぐっ!」


【−15】


油断した。矢が右肩に刺さった。衝撃でゴブリンナイフを落としてしまった。


『ゲギャ!ゲギャ!』


目が霞む。足に力が入らない。意識が飛びそうだ。ダメージを受け過ぎた。HP残り2。後一撃喰らったら死んでしまう。藁をも掴む思いでトリックラットの魔石を胸元に添えた。


「ヴァイ……ラス……」


俺の呼びかけに応えるように胸のアザから無数の糸が伸びた。そしてトリックラットの魔石を包み込み胸に戻った。


『説明しよう!トリックラットの魔石に秘められたスキル、【速さ+2】【HP+1】【トリックスター】の中から1つ取得可能である』


ナレーションは何を言っているんだ?……ああそうか……何か一つ選ぶんだったな……何て言ったか分からない……最後に耳に残った言葉は……。


「トリック……スター……」


『説明しよう!トリックスターを取得した』


ナレーションの後に、胸のアザからピンク色の帯が幾重にも飛び出し俺を包んだ。


「ち、力が湧いて来る!」


痛みも消えた!意識もハッキリとしている!


「回復したのか!?」


『説明しよう!我らがヒーローヴァイラスに変身すると、全ての状態が復元されるのである』


「復元って……ウイルスのくせに……」


破壊するはずのウイルスが俺を復元するのは、ウイルスと融合した俺も一部だからなのだろう。ただ、せめて回復と言って欲しい。傷が治るのは有り難いが、ウイルス認定されているようで気が滅入る……。


『ゲギャギャギャ!』


ゴブリンが放つ矢が胸に当たったが、金属音と共に何なく弾いた。無傷だ。ナイスバディは伊達じゃない。


「よし!I’m ready!」


ポーズを決めて、木から飛び降りる。前転をして華麗に着地。


「運動能力も上昇したみたいだ。しかし前回ほどではないような……」


ステータスを見てみると、やはり落下中に変身した時とは違っていた。


「おかしい!HPの最大値が1000しかないぞ!しかもランクがGランクだ!」


『説明しよう!使用する魔石のランクによってヒーローポイント然り、全てのステータスに違いがあるのだ。トリックラットはGランクなので何もおかしくないのである』


「言い方!何かトゲがあるぞ!」

 

まあ良い。変身できたんだ。とりあえずこいつらを、ちゃちゃとやりますか。

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