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幻属性だって!?種類があるのか!

ゴブリンが木の影から弓矢を構えている。次が来る。


「ヴァイラスに変身する!……そう言えば、どうやったら変身できるんだ?」


『説明しよう!ヴァイラスの変身を解除すると、5分間は変身できないのである』


「何ぃ!クールタイムがあるのかよ!」


棒立ちだと格好の的だ。とりあえず距離を取る。いや、線上に逃げてはダメだ。横に走る。


『ゲギャ!』


ゴブリンが放った矢は、紙一重でかわすことができた。しかし、次の矢を構え照準を合わせ始めた。


「ハァハァ。5分間も走れないぞ。やるしかないのか!」


俺には、さっきのゴブリンが落としたナイフがある。相手は弓矢。近接戦だとこちらに分があるはずだ。ナイフを握る手に力を込める。


『ゲギャッ!』


ほくそ笑むゴブリンは、引き絞る弓から手を離した。

風切音が耳元を掠める。次の矢も紙一重でかわした。


「行くぞ!」


ブレーキをかけ、今度はゴブリン目掛けて一直線に向かって行く。次の矢を装填する前に倒す!


「うわぁぁぁ!!」


『ゲギャギャッ!!』


矢を取り出し構えようとするゴブリンに、ナイフを振りかぶり攻撃しようとした。


「しまった!」


しかし直前で、足元の木の根に引っかかり大転倒してしまった。


「ぐはっ!」


『ゲギャッ!?』


一回転して、気が付けば倒れるゴブリンの腹の上に乗っていた。マウントポジションだ。


「け、結果オーライ!」


『ゲギャゲギャャャャ!!』


慌てふためくゴブリンの胸に狙いを定めナイフを突き立てる。


「悪く思うなよっ!」


しかし大きく外れて地面に刺さった。ナイフで刺すという事を、頭のどこかで拒絶しているのかもしれない。


「ハァハァ、くそっ!」


決心しなければこちらが殺られる


「うわぁぁぁぁ!!」


悲鳴のような声を上げ、胸に目掛けてナイフを振り下ろした。が、再び外れた。しかし今度は地面ではなく腕に刺さった。


『ゲギャァァァァァ!!ゲギャゲギャギャ!!』


ゴブリンは顔を歪めて悶えている。狙った場所には刺さらなかったがダメージはあるはずだ。


「うっ……」


ナイフから何とも言えない最悪な感触が伝わって来る。


『ゲギャ!』


「ぐはっ!」


躊躇していたところを、左頬にゴブリンのパンチを食らってしまった。


【-3】


視界にマイナス3の表示だ。

油断した。生きるか死ぬかの瀬戸際では一瞬の迷いが命取りだ。


「当たれぇぇぇぇ!」


何度もがむしゃらに振り回した。が、当たらない。頬を擦り、肩を擦り……。少しずつ傷が増える。そして、首を擦り血が大量に流れる。


『ゲギャ!……ハァハァ……ギャギャッ!!』


俺が躊躇すると傷が増える。この方が残酷なんじゃないだろうか?覚悟を決めてナイフをゴブリンの胸に当てた。


「うぉぉぉぉぉぉ!!」


体重を乗せて胸に差し込んだ。


『ゲギャ……ギャ……』


ようやくゴブリンは動かなくなった。


「ハァハァ……た、倒せた」


ゲームの世界なんだから、モンスターを倒したらアイテムを残して消えてくれたら良かったのに。


「何とかなったが、次はヴァイラスに変身して戦おう。俺が迷ってるからか、レベルが低いせいかは分からないが、何度斬っても当たらない。ハァハァ、変身の方法を教えてくれ」


『説明しよう!我らがヴァイラスに変身するには魔石を消費するのだ』


「はぁ?魔石がいるのかよ!」


視線を落とすと、丁度今倒したゴブリンがいる……こいつの胸を切り裂いて取り出すのか……。


「はぁ……気が進まないが仕方ないよな」


ナイフで胸を裂き、茶色の魔石を取り出した。


「うっ……吐きそう」


しかし、これがあれば次に危険な場面でヴァイラスに変身できる。泣き言は言ってられない。命に関わる問題だ。


「でもやっぱり魔石だけ残して消えてくれたら……」


『ゲギャッ!』


この声は。振り向くと棍棒を引きずるゴブリンがいた。


「またお前か!しつこいんだよ!」


今度はヴァイラスに変身して楽に倒してやる。


「もう5分過ぎたよな?この魔石をどうすれば変身できるんだ?」


『説明しよう!5分経過したため変身は可能である。変身するには魔石を胸に当てて【ヴァイラス】と唱えるのだ。しかし、ゴブリンの魔石では変身できないのである』


「嘘だろ!?何でだよぉ!」


『説明しよう!ゴブリンの魔石は土属性である。ヴァイラスピンクに変身するには、幻属性の魔石が必要なのである』


「幻属性だって!?種類があるのか!」


確かにこの魔石は茶色だ。土っぽい。だとしたらピンク色の魔石を手に入れないといけないのか?


『ゲギャギャギャッ』


来た!今倒したゴブリンの弓矢を拾い、棍棒を振り回すゴブリンに照準を合わせた。見様見真似だが怯ませる事ならできるだろう。


「喰らえ!」


引き絞る弦を離すと、ビヨヨ〜ンという情けない音と伴に目の前に矢が落ちた。


「い〜〜っ!!ダメだ!」


ゴブリンは全く怯んでいない。それどころか飛び跳ねながらおちょくっている。弓矢は無理だ。投げた方が使えるかもしれない。そう思いゴブリンに弓を投げつけ、ナイフ片手に走り出そうとした。


「これでも喰らえ!!」


しかし、弓は明後日の方向に飛んで行った。


「くそっ!何をどうすれば投げた弓が真横に飛んでいくんだよ!」


運動音痴にも程がある。ナイフも弓矢もそうだが、ファントムドラゴンに投げた槍も真上に飛んで行った。


「もしかしたら、投げるのにもスキルが必要だったりするのかもしれない」


弓は木に当たりポッキリと折れてしまった。

やってしまったと思ったが、ゴブリンは弓が折れる音に驚いてそちらを注視した。


『ゲギャ?』


チャンスだ!

無言のままナイフを掲げて肉薄する。


『ゲギャゲギャ!』


「気付かれた!」


あと一歩のところで気付かれた。ゴブリンは棍棒を振りかぶり素早く振り下ろした。


『ゲギャッ!!』


「ぐっ!くそっ!」


それを左腕で弾いて、力任せにナイフで斬り付けた。


「当たらない!こんな至近距離で外すかよ!」


こうなったら数打ちゃ当たる。何度もナイフを振り回した。


「当たれぇぇ!!」


すると数度目の攻撃で相手の耳に当たり斬り落とした。やはりこの感触は慣れない。モンスターと言えど、人の形をしている者を斬るのは抵抗がある。しかしそんな生ぬるい事は言ってられない。こっちも命がかかってるんだ。HPを確認すると17に減っている。棍棒は5のダメージか。これ以上は受けたくない。再びがむしゃらに振り回した。そして動きが鈍くなったところを、ナイフを握り直し止めを刺した。


『ゲギャギャギャ〜〜〜!!』


断末魔の叫びだ。


「ハァハァ……倒した」


どうやら倒せたみたいだ。落ち着いた所で今度はちゃんとステータスを確認しておこう。


名前 : 一色 飛翔

種族 : コンピュータウイルス

分類 : 異世界人

属性 : 異属性

職業 : ヴァイラス

Lv : 1

HP : 17/25

MP : 11/15

攻撃力:12〔+5〕

防御力:13〔+10〕

魔 力:14

素早さ:11

ヴァイラスキル : ナレーション

スキル : ー

装 備 : 地球のスーツ上、地球のスーツ下、地球のシャツ、地球の靴、ゴブリンナイフ

アクセサリー : 地球の腕時計、戒めのバングル、導きのイヤーカフ


「……コンピュータ……ウイルス……」


俺……人間じゃないっぽい……。


「で、でも、異世界人だ!人だ!ギリセーフ!うん!よし!」


超必殺スキルを使用した。その名も、プラス思考!


「ゲームの世界だ!何でもありだ!現実世界に帰れば人間に戻る!……はずだ……」


超必殺スキルの効果が切れた。


「ゲームの世界に転送されて、人間を辞めて、コンピュータウイルスに転生するってどういう事?そんなの有りか?いや無しだろ!人でもエルフでもモンスターでもなくてコンピュータウイルス!?はぁ?ガッツリ悪役じゃないか!どうしろって言うんだよ!」


『説明しよう!女神プライマリーの暴走を止めるのである』


「分かってるよ!……ふぅ……ヴァイラスと融合してなかったら、俺は死んでいた……納得はいかないが、受け入れるしかない……か」


俺はコンピュータウイルス。今は!

プライマリーを正常に戻して、一刻も早く元の世界に戻る。

その為にも、ステータス確認の続きだ。深く深呼吸をして、視界の端にある三角に触れた。


「ヴァイラスの時とはステータスの表示が違うな。レベルが1と表示されている。

数発パンチを貰ったからな、HPは17に減ってしまったか。


「ナレーション!ヒットポイントはどうすれば回復するんだ?」


『説明しよう!ヒットポイントは、寝る、アイテム、魔法等で回復するのである』


「等?って事は他にも……ん?何か来る!!」


幾つもの足音が近づいて来る。ゲギャゲギャと言う声と共に。


「あの声は!もしかしてこいつが仲間を呼んだのか!?」


断末魔の叫びを聞いて仲間が駆けつけて来たのかもしれない。


「こうしちゃいられない!逃げないと」


しかし、全方位から足音が聞こえて来る。逃げ場はない。


「戦うしかないのか……いやいや無理だ。1匹でもギリギリなのに群れを相手になんかできない。何か他に、痛っ!」


頭に木の実が落ちて来た。見上げると、ドングリのような木の実が幾つも実っている大きな木が立っていた。


「登るしかない」


必死に木を登り始めた。

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