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でしょうね!!!

―冒険者ギルドー


「怪我はもう良いのか?」


「バッチリだよ。ポーションをたらふく飲んだから傷は塞がったよ。まだ動けないけどね。あとはエールを飲んで失った血を……」


「お酒は禁止です」


シャロンは厳しいな。


「え〜!お願いシャロン!一杯だけ」


「ダメです。病人がお酒を飲むなんて常識的に考えてあり得ません。食事をとったら寝て下さい」


「そんなぁ〜」


常識的にはそうかもしれないが、アーヴァインの場合は酒が必要なんじゃないだろうか?まあ、どっちでも良いか。必要なら隠れて飲むだろうから。


それよりも、重要なのはキュウの事だ。

街の中にモンスターがいても良いのか?アクセルビーは、どうやって許可を貰っているのだろう。


「あのさ……モンスターって街の中に連れて来ても良いのかな?」


「ん?ああ、アスカはテイマーだったな。テイムしたモンスターであれば街中に連れて入っても問題ない」


「そうなのか!?」


従魔契約はテイムと同じようなもんだろ?だったらOKじゃないか?


「ただし、ギルドで登録が必要だがな」


なんだ!そんなに簡単な事だったのか!

丁度頼んでいた食事が届いた。キュウにも食べさせてやりたい。


「実はさ、みんなに紹介したい仲間がいるんだ」


「この流れだとモンスターだな?」


腕組みをしたジャックバッシュが目を閉じて答えた。


「そう!こいつだ!」


ショルダーバッグを開けてみんなに見せた。


「ん?どいつだ?」


「何もいませんが?」


「プライマリーの左腕が仲間って事かな?」


みんなに言われて慌ててショルダーバッグを覗くと、プライマリーの左腕がコロリと転がった。


「えっ?いない……どこかに落としたのかも!キュウ!どこだ?キュウ!!」


『キュゥ……』


「いた!」


椅子の下に隠れてた。プルプル震えている。人に驚いて抜け出たみたいだ。


「キュウおいで」


『キュ〜』


肩に飛び乗って俺の首に尻尾を巻き付けた。


「レイビ?」


ルゥルゥが首を傾げた。


「お!何だそいつは?尻尾のあるレイビか?しかも亜種じゃないか!珍しいな」


「へ〜。レイビをテイムしたんだね。でも最弱だよ?」


やっぱり進化の事は知らないみたいだ。だったら言わない方が良さそうだな。いや、言えない。HPを吸収してモンスターを倒せばイチビに進化するとは口が裂けても言えない。俺の正体まで辿り着いてしまう。

キュウには人前でヴァイラスピンクには変化するなと言ってある。言葉は通じないけど伝わってるはずだ。多分……。


「アスカ殿!か、か、か、肩に!」


やばい!シャロンが怒っているみたいだ。目を見開き、唇をプルプル振るわせている。


「モ、モ、モモモ……」


モンスターを登録前に出したらダメだったか?顔を真っ赤にさせてヒクヒクと口を引き攣らせて俺を睨んでいる。

ヤバイ!シャロンがキュウに向けて両手を伸ばした!


「モ、モ、モフモフ〜!!かっわい〜!ほれ!お姉さんのところにおいで〜!ほれ!耳を触っても良いでちゅか〜?」


「シャ、シャロン……さん?」


急にどうした?喋り方が変わった?


「お腹減ってないでちゅか〜?」


『キ、キュ〜……』


キュウが怯えている。


「ど、どうした?」


ジャックバッシュも困惑している。


「お肉食べれまちゅか〜?あ〜んちてくだちゃい!お肉は嫌いでちゅか?可愛い尻尾でちゅね〜触っても良いでちゅか〜?モフモフモフモフモフモフモフ……」


尻尾に触れて目が垂れ下がった。


「シャロン様?」


ルゥルゥの顔が引き攣った。

いつもの美しく凛々しいイメージが音を立てて崩壊していく。


「しっかりするんだ!シャロン!」


アーヴァインが肩を揺らした。


「シャロン!」


「モフモフモフモフ……はっ!?……し、し、ししし失礼しました!!」


「シャロン大丈夫かい?」


「ももも問題ありません……」


「問題有りだ!レイビに何かされたのか?」


ジャックバッシュがキュウに対して身構えた。そこにシャロンが割って入る。目の奥には暗黒が広がっている……。ジャックバッシュを殺めそうだ。


「ジャックバッシュ殿……誰に拳を向けているんでちゅか?処分しまちゅよ?」


「え?しょ……」


ジャックバッシュが瞬きを繰り返す。


「まただ!話し方が変わった!?」


「モフモフを疑うなど皆無でちゅ」


シャロンの冷気がジャックバッシュの拳を凍らせる。


「冷たっ!何してるんだ!!」


「シャロン様落ち着いてください!」


「目を覚ましてくれよ!!」


「キュウ戻って来い!」


『キュゥ〜』


「はっ!?ししし失礼しました!!……実は……私は、モフモフとした可愛い生き物が……その……だ……大好きで……間近で見ると……その……我を忘れてしまうのです……」


「「「「でしょうね!!!」」」」


ただのモフモフ好きだった。いや、極度のモフモフ好きだ。キュウのモフモフはかなりヤバイ!可愛いのも分かる!だとしても変貌具合が異常過ぎる。大好きの域を超えてそうだ。


「だから……えっと……今度は、ちゃんと……キュウ殿を触らせて下さい」


「それはキュウに聞いてくれ」


『キュウ!』


キュウがシャロンの胸に飛び込んだ。


「きゃ〜!きた〜!か〜わ〜い〜い〜!モ〜フモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフ!癒されまちゅねぇ〜!」


人格まで変わってる。


「モフモフモフモフモフ〜はぁ〜……モフモフは皆無でちゅ」


意味が分からん。


『キュッキュ〜!』


揉みくちゃにされたキュウが脱出して戻って来た。


「キュウ大丈夫か?」


『キュゥ……』


良かったシャロンも落ち着いたみたいだ。


「はぁ……モフモフ……眩しすぎまちゅ」


今のが、シャイニングダブルモフの由来だったのか……。

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