番外編【Dandy~おじさまの集い~】12
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
思い出話にひと段落が付く。
次の話へと移る。
「さてと、これから先はどうしますか?」
大公様が次の議題を決めようと話を切り出す。
「ルッツ国の西南一部に接する国、フリップ国だが、王の代替わりを果たし3年が経つ。皆はよく知っているだろう。あの国の国庫は、散財よりそこが見え始め、内政の横暴で領主等に領民へと高額な税の吊り上げを命じたことで、国民が酷く貧しい暮らしを強いられ続けている。現状、小方々で内乱が起き、手に負えなくなりつつある。王都で狼煙が上がるのも時間の問題だ…そこで、領土拡大などはいかがかな?どさくさに紛れて隣国を侵略しちゃうというのはいかがでしょうか?」
カソンヌ子爵が軽く提案する。
「私の妹の話だと、ここ数年、フリップ国から流れてきている移住者がバーテン辺境伯領に増えているそうだ。年々増えており、今年は国境へ押し寄せてきて溢れているとか。それと、例のフリップ国領の山賊の頭領がバーテン辺境伯を尋ねてきて、あの山を隣国から独立させる方法はないかと泣きつかれているとか、大変困っていると愚痴を聞かされた。どうやらフリップ国は相当の額の税を納めるようにと、年度末に各領地へ王から通達がでたようだ。」
サン侯爵が、チェスを前サン侯爵としながら話す。
前サン侯爵がマルク辺境伯に大差で勝ち続けたので、マルク辺境伯はゲームに面白みがなくなり、むくれて対戦を放棄したようだ。
少し離れた席に座りテーブルで何事もマルク辺境伯を勝たせてくれるアクセルと2人で、トランプゲームを始めている。
ヨイショのアクセルを相手にし、ご満悦だ。
マルク辺境伯の代わりにサン侯爵が、前侯爵のチェスの相手をしている。
さすが、海千山千親子、なかなかの対戦内容だ。
横で覗いているカソンヌ子爵と大公が、次の一手は何を出すのかとワクワクして眺めている。
「それならば、あの山のある領地ごとルッツ国へ鞍替えさせてしまえばいいのではないか?実質、山賊の娘が前妻を追い出して、領主を手懐け牛耳っているのだろう?ああ、でもその隣の領地は確か…」
前サン侯爵が話している途中で、しゃしゃり出る声がした。
「双剣の戦士マールスが治める地だ!儂の出番だな!!!」
興奮気味に立ち上がり言い放つ。
「エド、お主、引退するのではなかったのか?」
初老だがこの男、まだまだ戦場に立つつもりでいるようだと、前サン侯爵はマルク辺境伯を呆れた目で見つめ、質問する。
しかし、内心では彼をとても心配しているようだ。
「ハッハッハー、何を言うジョー。この国で奴と戦えるのは儂のみという事を、お主はよく知っておろう!さあ、儂に任せておけ!!」
心配をよそに、マルク辺境伯の脳内では話が進んでしまっているようだ。
「はあ、これで儂も引退が伸びた…お守をせねばならぬとは…」
前サン侯爵が大きくため息をつく。
「そのようですね…父さん、戦いはうまく回避してくださいね。」
そうサン侯爵が嬉しそうに言うと、チェスの駒を1つ進め、チェックメイトと告げた。
前サン侯爵が、盤上を見て、
「はぁ、これまた無慈悲な…ついておらんなぁ…」
と、嘆いた。
「あっ、陛下から頼まれていたことを忘れるところだった。シモン、陛下がね、もう少し髭が伸びたら、今度は髭の記念日を作ってもらいたいと、そう言っていた。立派な髭を持つことが人格者のステータスにしたいそうだ。」
大公が言いだした。
「なんでまた?」
「よく分からないけれど、私を真っすぐ見据えて負けないぞと言うのだ。」
「ああ、なんとなく気持ちを理解したかも…」
陛下はフィリップのフワフワ頭が羨ましいのかもしれない。
「儂の髭も自慢したいから、ランキングには形部門を作るよう新聞社に話を持って行こう。」
何故か、鼻の下に綺麗に整えたちょび髭を生やす前サン侯爵がノリノリだ。
「お父さん、話が早すぎますよ。でも、私も伸ばそうかな~横に撫でられるカッコいい形の髭。」
まだ対策を練っていないうちに先走り、勝手に案を提供しようとする父親を止めるサン侯爵。
「よし、では決まり。髭の日が決まったら、すぐにフリップ侵略だ!皆、次回までに戦略と準備を頼む。期待してるぞ!」
漸く決まったと、大公が纏める。
結局、老人たちの引退は延び、彼らはまたカソンヌ侯爵家へとお忍びでやってくる。
我々、カソンヌ家で働く者達は、これからの彼らの秘密の会合を漏らすことなく、気持ち良い時間を過ごしてもらえるよう、努力をしていく。
家令は華麗に秘密のお客様を迎え入れるのであった。
「お待ちしておりました。お部屋までご案内いたします。」
---END---
これにて本作完結です。
最後までお付き合いくださり、誠にありがとうございました。
誤字報告してくださり、ありがとうございました。
書いては投稿の作業であったせいか、思っていたよりも酷かったようで、大変助かりました!




