気にすんなって言われたことが、一番気になります。
半年ぶりです。すみませんでした。(土下寝)
「なんかさ」
掃除の時間。廊下の掃き掃除をダラダラしていると、突然、太田が喋り始めた。よくわからないが、コイツの声を久しぶりに聞いた気がした。
「俺、めっちゃ久しぶりに喋った気がするんだよな」
「なんかわかる、なんでだろうな」
「というか、ササ。お前の声も久しぶりに聞いた気がするぞ」
「そうか?いや、そうだな、俺も久しぶりに喋った気がする」
なんだかよくわからない不思議な気持ちに苛まれていると、
「おい」
教室から廊下に向かって、山下が顔を覗かせて出てきた。山下はいい奴ではあるが、真面目な学級委員だ。僕と太田からしたら警戒の対象である。
「どうした山下、掃除ならちゃんとやってんぞ」
山下は、神妙な顔をして言った。
「久しぶりとか言うな、事情があんだよ」
「は?」
「だから、色々忙しかったんだろ、作者が」
山下は頭が良いから、何を言ってるのかわからないときが稀にある。
「さく、え? なんて?」
僕が必死で理解しようとしてるのに、太田はハナクソをほじって話を流し聞きしている。掃除の時間にゴミを創出してどうすんだ。
山下は続けた。
「いいって、気にすんな、昨日テスト終わったばっかだろ? テスト終わったばっかだな?」
何故か記憶が曖昧だ。数ヶ月前な気がしている。
「あ、あぁ。まぁ、そうだったな、確か」
「確か、とか言うな、作者がかわいそうだろ」
また訳の分からないことを言っている。これだから頭の良い奴はわからん。
「お前大丈夫か?」
「大丈夫だよ、とにかくだ、もう何も気にするな、この回も、無かったことにしろ、いいな?ギャグ系でメタ発言ってのは、ギリギリ許される事もあるんだよ、好みによるけどな」
「本当何言ってんのか分かんねぇ」
突然、ハナクソを投げ捨てた太田が、面倒くさそうに僕の肩を叩いた。
「ササ、作者が『忘れてました、ごめんなさい、こっから頑張ります』って、言ってたぜ」
「え、なに太田、お前もわかるのかよ、その世界観。なになに、全然わかんねえ、俺だけ? きもいなぁ」
僕が馬鹿なだけかもしれない。
あっという間に掃除の終了時間になった。廊下は大して綺麗にならなかった。ハナクソが増えたから汚くなったかもしれない。
なんとなく、久しぶりに今日は平和だ。って、思った。
頑張りマンモス