2話-ぼっちの朝
高校ぼっちの平日の朝はつらい。
前日の夜は眠りにつきたくなくなるくらいに。
朝起きた瞬間まず確認するのが「風邪をひいていないか」
体にどこか悪いところはないか、しばらく布団の上で硬直し、探っていく。
そこで少しでも風邪の予兆(頭が痛かったり、喉が痛かったり)が見つかれば起き上がってすぐに台所にいる母のところへ向かう。そしていかにも辛そうな顔をして症状を訴え、いつもうまいこと学校を休もうとしていた。
だが母親というのは自分の子供をよく分かっている。
俺が本当に風邪か、本当に辛いか、いつも顔を見ただけで分かっていた。
本当に風邪のときは心配して休ませてくれていたが、仮病を使えば当然叱られ早く学校に行くよう促された。
残念ながら風邪じゃなかったとき(まあほとんど風邪を引くことはなかったんだけど)、腹をくくって朝食を食べ、鏡に映る覇気のない自分の顔を見ながら歯磨きをし、制服に着替えて家を後にするわけだ。ああ辛い。
もうね、玄関の靴を履く瞬間すら嫌いだった。靴紐を結ぶためにしゃがむことすら体力を大量に使っていた。
それくらい、ぼっちは朝に余裕がない。
なぜ学校に行きたくないか。
言うまでもない、学校が辛いからだ。
俺がクラスにいるだけで、みんなの和を乱してしまう。みんなに気を使わせてしまう。
もちろん顔を合わせるのが嫌で仕方がないヤツがいるから、という理由もあるが。
とにかく俺は学校が嫌いだった。
つまらないとかいう問題ではなく、ただ辛かった。
つまらないより、辛いという感情の方がキツイ。
放課後の自分と入れ替わりたいなあと思いつつ、ぼっちはずっと下を向きながら登校する。