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神が認めたチート

宝箱捜索を開始。



これから二手に分かれての捜索になります。

ジルには宝箱を見つけたら、開けずに回収する様に指示を出しました。

単独行動になりますが、ヤバいと感じたら逃走を優先する様に言ってあります。

だから、そう不味い事にはならないでしょう…… と、思います。


宝箱捜索に加えて、ジルが言っていた転送魔法陣も探します。

これについては望み薄だと考えていますが、見つかればそれに越した事はないのです。



さて、本題の宝箱ですが、これについての処遇は決まっています。

深淵(アビス)には悪いけど、宝箱の中身は必要なモノに変化させてもらいましょう。


ジルへの実験は本当に役に立ちました。

実験で分かった事ですが『霊化』による変化は、モノの強さに大きな影響を受けます。

ジルを『魔神』に出来なかった事が、その例と言えるでしょう。


たとえ変化が上手くいっても、破裂されてしまっては意味が無いのです。


その点、ここは深淵(アビス)

世界最高峰のダンジョンから産出される宝があります。

その強度は『神』に値するのではないでしょうか?


私は勝ちを確信しています。


物のついでです。

冒険者らしく、この階層を探索して、欲しい物を手に入れる事にしましょう。




……




宝箱は直ぐに見つかりました。

これまでは濃霧の所為で目立たなかったのですが、大量に湧いた魔物が目印です。


そこには石櫃がありました。 


私は注意して柩の蓋に手を掛けます。

開いたら最後、そこから別の魔物が…… なんて事もありうる。

慎重に、恐る恐る柩を開きます。

すると、そこには一本の短剣が収められていました。


安堵のため息を漏らし、短剣をつかみ取る。

それは質素なつくりですが、刀身からは凄まじくそれでいて禍々しいオーラが漏れ出ています。

どうやら、外れの品ではなさそうです。

申し分ない『霊化』の素材と言えるでしょう。


ただ、困った事に宝箱は持ち運べません。

一旦、ジルと合流しましょう。





合流地点で待つ事、数分。

ジルもそこに戻ってきました。


ジルの手には見知らぬ布が握られています。

私がそれを確認すると、ジルが申し訳なさそうに頭を下げました。


「すいません。 宝箱が思ったよりも大きく……

 持ち運べないので中身を確認したところ、中から女性用の衣類が……」


「構わん。 我も石櫃の形状をしているとは思っていなかった。

 宝箱の存在を確認できただけ良しとしよう」


と、許しの言葉を送ったのですが、ジルはモジモジとこちらを見詰めてきます。

気持ちが悪いので、やめさせましょう。


「どうした? まだ何かあるのか?」


「それが、コレなんですが…… 俺は師匠にこそ、相応しいと思うのです」


ジルが手にしてるのは、ヒラヒラとした白いワンピース。

どうやら、それを私に着せたいらしい。


「な、よせ! そんな少女趣味全開の布切れを、我に向けるな!」


全力の拒絶。

アレを着てしまうと、それこそ男としての尊厳が失われる気がします。

私は守らなければならない、一線を感じました。


「そんな事言わずに、これはきっと……

 そう、我らが主! 冥王ハデス様の御意志なのです」


「それはホントか?」


心が揺らぎます。 これが、ハデス様の望み…… 


「それがハデス様の御意志だと言うのか……」


「はい、でなければこんな場所で、こんな一品と出会う訳がありません!(キリ」


「…… 一理ある」


ジルからワンピースを受け取ります。


それは驚く程滑らかな手触りで、恐ろしく軽い。

今着ているチュニックとは雲泥の差でした。

しかし、戦闘には向かないと思います。

これで戦闘に出たら、瞬時に赤く染まる筈だから……


だけど、それが主様の御意志というなら、私は……





「お美しい!」


ジルは私の前で恭しく膝をついていました。

私はその場でくるりと一回り、調子を確認します。


悪くない。

これならチュニックを着ていた時の様に、動きを制限される事は無い。

少し問題があるとすれば、靴と合っていないところか…… そう思い、靴を脱ぎ捨てました。


途端に味わう、締め付けからの解放感!


なるほど、これがハデス様の意志。

ええ、これこそがハデス様の御意志なのでしょう!



「でかしたぞ。 ジル! 褒美をやるから、欲しい物を言え」


「では、『保存』の伝授を!」


「それは、前に教えたであろう? 聞いていなかったのか?」


「え? あ…… あの。 保存する力という、あのくだりですよね?」


「憶えているではないか! では他の褒美をやる」


「ですが…… アレだけでは、その、俺には難しすぎて……」


「ええい、めんどくさい」


私は食い下がるジルを他所に、手持ちの短剣い力を込めた。


短剣は禍々しい気配をそのままに一振りのロングソードへと形を変える。

それは全てが漆黒に染まった魔剣。


ジルはそれを目にすると、暫し硬直していました。

硬直が融けると、今度は「この様な品を頂けません」とかめんどくさい事を口にしたので、投げつけて渡します。

ジルは及び腰でその魔剣を受け取りました


ですが、剣だけではバランスが悪い。

この後、私は宝が余れば、防具も与える予定です。




……




それからは、魔物を潰して回りながら石櫃の探索です。


魔物の討伐は全てジルが行っています。

賜った神器を試すと、彼は張り切っているようです。


決してそのようなモノではないのですが……


ですが、中々様いなっています。

流石、『魔王』様と言った所でしょうか?


漆黒の魔剣を手にしたジルは、それまでとは別次元の働きを魅せてくれました。

私はジルの後を付いて行くだけです。



そんな中、石櫃を幾つか発見しました。

ジルは宝を取り出す度に、大きく喜びの声を上げています。


そんなジルに宝の選別を任せました。


正直な話、私には宝の価値が分かりません。

物を鑑定する力が欲しいところです…… いや、いらないか。

神に至る道に物欲が伴うと言うのであれば別ですが。


たしか鑑定能力は、主様が傾倒していた異世界モノの書物でも重宝されていた様に思います。

後は何だっけ? 異次元ボックス的な力でしったけ?


アレは欲しいです。

中をお菓子を一杯にしたい。

勿論、誰にもあげません…… 主様は別ですが。



おっと。

ジルが、宝の選別を終えた様です。


さあ、ここからが本番。

帰還用のアイテムに作り替える。


残り物に『霊化』を施していきます。

出来上がったのは水晶の様な玉と漆黒の軽装鎧。

ジルに軽装鎧を放り投げ、水晶を手に取ります。


水晶を覗き込むと、そこには行った事のある場所が映し出されていました。


行ける。 直ぐにそう感じました。



私はジルに目配せすると、深淵へと続く森の入り口を思い浮かべました。

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