はじめての洞窟
やっほー皆、元気かな!?
僕だよ!勇者だよ!
洞窟って暗いしジメジメしてるよね!
ところでジメジメしてる場所って何が湧くか知ってる?
「にゃー!」
『グリーンスライム × 4 に 勝利した!』
スライム!
何処に行ってもスライム!
本当に何処に潜んでたのか全くわかんないくらいスライム!
スラァァァイム!
地獄か!
『勇者 と 猫 は 16 経験値 を 手に入れた!』
ちなみに経験値はブルーが1体につき2だったのに対して、グリーンは4だったよ!
うるせー!
「にゃ!?うにゃー!」
猫が僕のほっぺに肉球パンチした。
あ、SPがゴリゴリ減ってる。特技使ってないんだけどな。
僕SP0になって此処で朽ちるかもしれない。
「にゃーご!」
バカな事言ってないで早く進めって?
だってさぁ、5歩進む毎にスライムが出て来るんだよ?
しかもブルースライムは勿論、グリーンスライムとかいう新種も出て来るんだよ?
あ、グリーンはブルーよりちょっとだけ固いから、剣撃が効くんだって!
うるせーよ!
『モンスター が …』
焼き払えぇぇ!猫!
「にゃっはっー!」
『猫 は [ファイアブレス] を 使った!』
『戦闘開始前 に 勝利した!』
これボーナス無いかな?
スライム総計500体くらい倒すとボーナス出ないかな??
確実に同じレベルの人よりもモンスターの数は倒してるんだけどなぁ。
「うにゃー…」
何体目かわからないスライムを倒した頃、猫が地面にごろりと転がった。
そうだね、疲れたね。僕も疲れた。
「にゃおん」
休憩しよう。
HPはともかく、SPがヤバい。特に僕。
あ、猫はMPもヤバいかも。
はい、これ食べてね。
「にゃ!」
猫の口に飴玉を入れる。
MPを回復するマジックドロップってアイテムだ。
僕には無用の産物だけど。
猫の横に座って、僕は水を飲んだ。
しかし、結構歩いたよなぁ…
洞窟入って丸1日くらい経つと思うんだけどな。
出口は全く見えて来ない。
もしかして迷ってる?
「にゃー?」
マップを作るべきだよね。
町長に聞いたら「洞窟内の地図は無いなぁ…」って言われたからね。
道とかメモしとけば良かったな。
メモ帳持ってないや。次の町で買おうかな。
他の勇者とかはどうしてるんだろう。
道がわかる魔法とかあるのかな?
「むにゃ…」
猫が眠そうにし始める。
しばらく休むから寝ても良いよ。
僕も昼寝したい。
体内時計的に、丁度眠くなる時間なんだよね。
「…Zzz」
子猫の寝顔って可愛いよねー!
『勇者 の SP が 5 回復した!』
アニマルセラピー凄い。
僕もポーチを枕にして、地面を転がった。
「にゃにゃー!」
痛っ。
顔面にパンチを喰らって目が覚めた。
「にゃ、うにゃー!」
まるで「何時まで寝てんだ馬鹿!」と言いたげに猫が僕の顔を叩いてる。
はいはい、起きるってば。
身体を起こすと同時にステータスを見る。
良し、僕も猫もHPは回復してるね。
「むにゃー!」
猫のテンションがやたらと高い。
僕の周りをちょろちょろと走っている。
マジックドロップってヤバい成分でも入ってるのかな。
とりあえず、進んでみようか。
洞窟、というものに、僕は入った事が無い。
で、洞窟初心者の意見としては…
スライムが多い!
あ、間違えた。
思ったよりちゃんと道が舗装されてるんだなーって。
もっとデコボコしてるかと思ったら、意外と歩きやすくてびっくり。
勿論、土は剥き出しなんだけどね。
あとスライムが多い!!
あとは、スライムが出て来る以外のイベントが無い。
つまりは……退屈!
「にゃおーん…」
さっきのテンションから一変、
すっかり猫はぐでんぐでんになってしまった。
僕の肩に乗っている。
今日中に洞窟抜けたいね。
「にゃ…うにゃぁ」
ところでさっきからスライムすら出ないね?
モンスター出ないとかもうただの道じゃん。
何を楽しみに洞窟歩けば良いわけ?
『ブルースライム が …』
「にゃおう!」
『猫 は [ファイアブレス] を 使った!』
『戦闘開始前 に 勝利した!』
噂をすれば何とやら。
まぁ瞬殺なんだけど。
とうとう僕の指示なしで猫が火を噴くようになってしまった。
うちの猫の学習能力高過ぎない?
「にゃにゃー」
猫が後ろ見たので、なんとなく僕も後ろを見る。
僕と猫の足跡がひたすら続いてるだけ。
…あれ?ここって誰も通らないのかな…?
「うにゃ?」
クォーツに行くならこの道を通るしかない。
森を突っ切るのは…多分無理だ。
で、ここには僕達以外の足跡とか、誰かが通った形跡が全く無い。
じゃあ、誰もあの町には立ち入らないし、
誰もあの町から外に出たりしないってこと?
まぁ…確かに今時の商人達は飛竜で荷物を運搬してるらしいし…
陸の道は最早過去の産物なのかな。
それなのに冒険者はコツコツ陸路を…って、何か馬鹿馬鹿しいね。
あ、ちなみに僕の村の人は外に行く時は川下りしてたよ。
下って行くと割と大きな街の水路に出られるんだって。
帰りが大変だから、大人しか行けないけど。
お陰で村の男衆は、みーんなマッチョ。
「…にゃ?」
猫の鼻がピクリと動き、肩から飛び降りた。
僕も足を止めて…足元を見た。
何か…地面の色が変。
土色から…何か、紫っぽい色が混ざり始めてる。
キモ。何これ。
「…にゃ!?にゃー!!」
その紫っぽい地面を数歩踏むと、猫は悲鳴を上げて僕の身体を駆け上がった。
「にゃ!にゃーお!にゃにゃー!」
何かを訴えながら僕に肉球を見せて来た。
…ちょっと赤く腫れてる?
あ、この紫っぽいのってもしかして毒!?
そういや町長が「毒性モンスターが…」って言ってた。
スライムしか出て来ないから忘れてたよ!
猫の肉球に毒消しの軟膏を塗ってやる。
猫がくすぐったそうな複雑な表情をしてるけど無視だ。
『モンスター が 接近 して 来ている!』
え?
何その新しいアナウンス!
接近して来てるって何!?強制戦闘!?
猫、戦える!?
「にゃっ!」
猫は勇ましく(安全そうな地面に)降り立った。
『ダンジョンボス が 現れた!』
え!?ダンジョンボスって何!?
聞いてないよ!
…ええい、ままよ!
ダンジョンボスでも何でもかかって来い!
そして僕らの目の前から、『ダンジョンボス』がやって来た…
勇者メモ
・スライムがたまに『スライムの残骸』を落とすんだけど、何に使うのかな
『スライムの残骸は雑魚スライムからは殆ど採れない資材ですよ』/○○の冒険奇譚, 第1巻, p.103, スライム研究家の言葉より抜粋