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吐息の森

作者: 糸吉頁

※人が死ぬ描写はありませんが、自殺に関する描写があります。苦手な方はご注意ください。

 彼は、いつも私の隣にいる。離れろと言っても聞かず、ずっと隣にいる。

 私が立ち上がれば彼も立ち上がり、移動すればついてくる。

 最初こそ鬱陶しかったが、今はもう慣れてしまった。四六時中一緒にいる所為で、彼が隣にいなければ違和感を感じる程度にはなっている。不本意だが、既に私と彼は二人でワンセット、という状態になっているのだろう。

 今日も私は、木の幹にもたれ掛かって隣で眠る彼の横顔をじっと見ている。

 彼の頬は痩せこけ、血色も悪い。今にも死んでしまいそうにやつれた彼は、じっと集中しないと分からないくらい小さく胸を上下させて、眠っている。目の下の隈は濃く、もう何をやっても消えないのではないかと思う。

 伸びた黒髪はぼさぼさと乱れ、天辺から芽が出たような妙な癖が付いている。どれだけ梳いても直らないので、この癖を直すことは諦めた。本人も気にしないと言っていたし。

 さて、今日は彼は目覚めるかな。


 彼と初めて会ったのは、自殺の名所と名高い樹海だった。

 道から外れ、木の葉に遮られて日の光が殆ど届かないような森の奥。ここから樹海の外に出るのは至難の業だろう、という場所。

 そんな、普通に歩いていれば絶対に辿り着かない、要は自分以外の誰かには絶対に出会わないだろう場所で、私と彼は出会った。

 自殺の名所、ということで、目的は同じだと思われたのだろう。生気の無い目を互いに見つめ合って、何の警戒も無く納得し、接触した。

 先に口を開いたのは、彼だった。

『君も自殺?僕もなんだけど、良ければ一緒にどう?』

 隈の酷い顔でぎこちなく笑って、彼は手に持ったペットボトルと、睡眠薬でも入っているのだろうピルケースをかざして見せた。

『遠慮しておく。もし片方が失敗でもしたら、とても空しいし』

 私はそう言って、手に持ったロープを見た。土で汚れた、古臭いロープ。これで首を吊るつもりだった。

『それに、私が言うのもどうかと思うけど、自殺なんて碌なものじゃない。死んだ後の世界と、今生きてるこの世界と、どっちが本当にマシなのかなんて貴方にはわからないでしょ?』

 自嘲気味に浮かべた笑みを、彼はどう受け取っただろうか。

『生きてても死んでても同じようなものだよ。僕なんてどうせ、どこにいたって透明人間みたいなものなんだから』

 先程まで浮かべていた笑みを消して、彼は遠い目をする。真っ黒な瞳は何も映しておらず、それがとても不気味に思えた……私も、彼から見たら不気味だったかもしれないけど。

『それに、本当に君の言うことじゃないよね。そのロープで首を吊るんでしょ?自殺を碌なものじゃないって思うなら、君は何故ロープを持ってこんな所にいるのさ』

 彼は蔑むようにこちらを見て、鼻で笑った。

『自分は死んでも良い人間だけど、僕はまだ生きていなきゃ駄目な人間だと?会ってまだ数分の相手に何を。それとも、自分が死ぬのは良くても、他人が死ぬのは嫌とか?とんだ偽善者だね』

 はは、と乾いた声を漏らし、目を伏せる彼。それは笑い声というには余りにも無表情で、ただそれっぽい音を出した、というだけに聞こえた。

 相当捻くれた精神をお持ちなようで。色々あったのだろうけど、そんなことは私の知ったことではない。

『なわけないでしょ、社会のゴミが何も知らずに語ってんじゃないわよ。私は、最初こそ自殺しにここに来たけど、今はもうそんな気ないの。ロープを持ってるのは、その辺に捨てたらポイ捨てみたいで罪悪感が湧くから。別に死にたきゃ死ねば良いわ』

 つい頭に来て、早口でまくし立てた。

 すると彼は怪訝そうに首を傾げた。

『何故思い直したの?そんな軽い気持ちでここに来たの?それに、折角思い直したって、君はここから出る道を知ってるの?』

『質問ばっかりしないでよ。私のことなんてどうでも良いでしょ、どうせ貴方は死ぬんだから』

 自分のことは、あまり訊かれたくなかった。別にトラウマがあるとかそういうことじゃないけど、嫌な記憶であることに変わりは無いから。

『…でも、そうね、道は知らない。だから、私はずっとここにいるの』

 尻すぼみに、小さな声でそう言った。

『いつからいるの』

『分からない。ずっと』

『どうやって生きてるの、食べ物も無いのに』

 このまま続けても不毛だと思ったので、彼には答えずに、くるりと背を向けて歩き出した。

『どこ行くの』

『適当に歩く。ついて来ないで、貴方の自殺に私を巻き込まないでよ』

 振り返らないままそう答えて、後ろに向けてしっしと手を振った。

 流石に彼もそこまで粘着質ではないだろうと思ったのだが、どうやらそうでもなかったようで。

『待ってよ』

『何?何の用?』

『僕はさ、睡眠薬なんて持ってるけど、これで死ぬ気はないんだ』

 今度は私が首を傾げる番だった。

『はぁ?』

『自宅でね、何回もこれで死のうとしたんだ。でも駄目だったから、飢え死にする気でここに来た。飢えて弱って、死にそうになったらこれを飲むつもりで』

『…それで?』

『君はずっとここにいるんだろ?ずっと一人で飢えるのを待つのは、とても暇だと思うんだよ。だからさ、』

『死ぬまで一緒にいてくれと?お断りよ』

 何を言われるかは、簡単に見当がついた。暇なのもあるだろうけど、要は寂しいのだ。自分一人で、誰にも看取られずにこの世から消えるのが。

 そんなものに付き合わされるのなんて、面倒極まりない。自殺志願の男引きずって樹海を散策なんて、鬱陶しくてならない。

『頼むよ。どのくらいかかるかわからないし』

『だったらこのロープをあげるから、これで首を吊れば?』

『苦しんで死ぬのは避けたい』

『臆病者』

『知ってる』

 そんな会話をしながら、樹海を歩く。

 湿った土を穴の開きそうなスニーカーで踏みしめながら、何度ついて来るなと彼に言ったかは分からない。

 しかし何度行っても離れる気配が無いので、最後は私が折れて何も言わなくなった。


 そして今に至る。

 あれから何日経ったかは数えていない。しかし、確実に彼はやつれて、死んだように眠ることが多くなった。最初は空腹で眠れないなどと言っていたけど、慣れたのかそれとも壁を一つ突破したのか。とにかくぐっすり眠っている。

 私は彼が眠っている間にさっさとどこへでも行けたのだが、何故だか見捨てることができず隣にいる。一緒にい過ぎて情が移ったのだろうか。

 そうして、あまり整っているとは言えない寝顔を眺めていると、彼の瞼がぴくりと動いた。

「あ、」

 そして身じろぎをして、薄い瞼の下から真っ黒な瞳が現れた。

「…おはよう」

「おはよう…」

 互いに挨拶し合う。

「死ななかったのね」

「…うん。残念だけどね」

 自嘲気味に笑って、彼は地面に直に置かれているペットボトルとピルケースを見た。そろそろ飲もうか、とか考えているのだろうか。

「君もいつまで経っても死なないよね」

 彼の質問を黙殺して、ため息を吐く。

 私はこの森に呪われているように思う。ここから出られない限り、私は救われることはないのだと。目を開けて、湿った土の匂いを嗅ぐ度にそう感じるのだ。

「…僕はさ、誰かに呪われでもしてるのかな」

 唐突に彼は切り出した。心を読まれたのかと思ったけど、どうやら違うようで安心する。生気の無い目は相変わらずどこを見ているのか分からなくて、低く掠れた声が、実際にはそんなこと無いのに何だか泣きそうな色を孕んでいるように聞こえた。

「どうして?」

「だって、ここに来る前、僕は生きるのがとても辛かったんだよ。だから死のうとしたのに失敗して、こんな所に来てもまだ死ねない」

 口元だけで不自然に笑う彼。皮肉気に鼻を鳴らす。

 もう立つことすら辛そうだというのに、今更だ。よくもまぁ、こんな状態で毎日私について歩いていると思う。そんなに死にたければその手の中の物を一気に飲み干せよ、と言いたくなくもないが、まぁ。

「…貴方に何があったのかは知らない。ただ、私は一刻も早くここから出たい」

「そうだね。じゃあ、早速行こうか」

 そう言って彼は、膝に手を置いて、老人のようにゆっくりとした動作で立ち上がった。私も立ち上がる。

「昨日はどっちから来たっけ?」

「確か…、あっち。目印とか付けられれば便利なのに」

「ロープと水と睡眠薬しかないからね」

「強いて言えば髪の毛と服だけど、流石にこれを目印にはしたくないわ」

「同感だよ」

 それから会話は途切れて、しばらく二人分の足音だけが響く。枯葉を踏みしめ、枝を折りながら。しかしこれだけ何日も歩いているのに一向に出られる気配が無いというのは、どういうことだろう。やはり呪われているのかもしれない。彼も、私も。

 そうして偶に会話をして、休憩を挟んで、歩き続ける。

「今、何時くらいかな」

「さぁ?でも、そろそろ暗くなってきたわね」

 当然ながら、私達は時計というものを持っていない。よって、活動開始と活動終了は起きてから暗くなるまで、というアバウトなものだ。彼は真っ暗になると眠り、多分大体次の日の昼頃に起きていると思う。睡眠時間がやたら長いから、そろそろ死んだかと思って口元に耳を近づけたりするのだが、いつもギリギリ生きている。そして目を覚ますと、私と一緒に歩く。

 というわけで、私達の活動時間は半日にも満たない。一日中歩いていたら体力がもたないだろうし、良いのだけど。

「今日はこの辺にしない?」

「…そうね。明日こそ、何かしらの変化があると良いんだけど」

「そうだね」

 一番近くにあった木の根元に、二人並んで座り込む。

 樹海の中なので、当然物を食べたり風呂に入ったり、歯を磨くなどの概念は無い。活動を終えたら、後は寝るだけだ。

 垢だらけの顔を伏せて、彼は目を閉じた。

「お休み」

「うん、お休み…」

 私も彼に倣って、目を閉じた。


 太陽がほぼ真上まで上ってきた頃。

「おはよう…」

 彼が目を覚ました。

「おはよう。生きてたわね」

 朝の挨拶に付属して『今日も死ななかったね』や『生きていたね』などと言うのは、最早恒例となっている。そしてそう言う私に対し彼は、きまって残念そうに首を振るのだ。

 相変わらず生気の無い目をしている。よく生きているな、と本気で思う。

「まぁ、何とかね…。さて、じゃあ行こうか」

「…ええ」

 立ち上がって、二人で伸びをする。そして、昨日来た方向とは逆の方向に、ゆっくりと歩き出した。

 周囲に物音は無い。相変わらず、響くのは私と彼の足音のみ。たまに鳥の鳴き声が聞こえるくらいだ。土の匂いは、最初は不快だったけどもう鼻が麻痺してしまったようで、何も感じない。

 不意に、彼が口を開いた。

「ねぇ」

「何?」

「そういえば、これだけ一緒にいるのに、僕達お互いの名前すら知らないよね」

 彼を見ると、無表情で前を向いたままだった。ので、私も前を見たまま返す。

「そうね」

「今までそんなに不便でも無かったけどさ。冥土の土産に、最期に隣にいた人の名前くらい知っておきたくない?」

「…そうね」

 今にも死にそうな顔をしながら、この男はよく喋る。

 なるほど、名前か。冥土の土産に。それもそうかもしれない。

「ねぇ、教えてよ」

「人に名前を訊く時は、自分から名乗るのが礼儀じゃないの?」

 目を細めて、軽く彼を睨む。

 すると彼は軽く笑って、「まぁ、そうだね」と咳払いをした。

「俺は伊佐貫セツ。君は?」

 伊佐貫とはまぁ、珍しい名前だ。しかしわざわざ触れることでもあるまい、普通に質問に答える。

「坂平ミヨ」

「よろしく、坂平さん」

「うん…よろしく、伊佐貫さん」

 垢だらけの手を土で汚れたジーパンで拭って、結果的にあまり綺麗になっていないまま差し出された。しかし汚いのは今更なので、取り敢えず握り返した。

 がさついていて、ごつごつとしてはいるが指が細くて頼りない。そんな三十代手前に見える男の手を、ここに来る前に出会っていたら、また違う関係を築けたのかも、などと思いながら眺める。

 不毛だからすぐにやめたけど。

「意外。呼び捨てにしないんだね」

 最早彼のアイデンティティと化しているような、アルカイックスマイルを向けられる。

「…見た目年上っぽいし、一応礼儀?」

 まぁ、敬語を使っていない時点で今更なのだが。

「いくつに見える?」

「三十手前」

「まぁ…正解と言えば、正解かな。二十七。君は大学生くらいに見えるね」

 大学生か。…まぁ、間違ってはいないのかもしれないけれど。

「そこまで若くない。二十五」

 嘘か本当か、自分でも判断しかねる答えを返した。

「十分若いよ」

「貴方も、死ぬのには十分若いわ」

 皮肉げに笑うと、彼も同じように笑った。

「今は思い直したとはいえ、君に言われたくない」

「ご尤もね」

 そしてまた歩き出した。

 当てもなくうろうろと歩き回り、今日もまた日が暮れた。


「おはよう」

「おはよう…今日も生きてた」

「睡眠薬飲んだら?今なら死ねるかも」

「んん…」

 翌日も、彼、もとい伊佐貫さんは昼頃に起きた。相変わらず生きている。顔色は死体の様なのに。

 しかし彼は、いつものように残念がらなかった。

「…どうしたの?良い夢でも見た?」

「いや、夢は見ないんだけど」

 口元を手で覆い、考えるような仕草をする。

「…何となくね、君と外に出て生きるのも良いかもしれない、って思って」

 顔は俯いたまま、視線だけをこちらに寄越して。

 ぽそりと、小さな声で呟かれたそれは、私を動揺させるのには十分な言葉だった。

「…どうして?」

 何とかそれだけ絞り出す。

 昨日まであんなに死にたいと言っていた癖に、どういう風の吹き回しだ。

「だって君は、ずっとここから出る道を探してるだろ。出られないかもしれないし、普通だったら諦めて野垂れ死んでるだろうに。君のその、生への執着に影響を受けたのかも」

 少しだけ晴れやかな表情で、彼は笑った。

 私は面食らって、「…そう」と答えるのがやっとだった。生への執着、ね。

 実のところ、気になっていたのは彼の生きたい宣言より、『君と』生きる、という部分だったのだけど。自惚れだろうか。ここが樹海でなければ、プロポーズになり得るような台詞だ。

 そんな思考を吹き飛ばすように頭を左右に振り、彼に向けて微笑んだ。

「…折角生きたいと思ったなら、一刻も早くここから出なきゃね」

 引きつっていたかもしれない。声は震えていなかっただろうか。不安になったがしかし、

「…うん」

彼も微笑んで頷いた。私の動揺に気付かない振りをしたのか、それとも本当に気付いていないのか。

 そこから会話は続かず、私達はひたすら彼方此方を歩き回った。


 昨夜はあまり眠れなかったと、彼は零した。確か昨日もそんなことを言っていた気がする。

 彼の生きたい宣言から、二日経っていた。

「嘘。ぐっすりだったじゃない」

「寝たふりをしてたんだよ。目を閉じて、体勢だけでも寝ていないと眠れない」

「そういうもの?」

「そういうものだよ」

 相変わらず、彼は生きている。

 彼と出会って、何日が経っただろう。ここは自殺の名所ともあって、たまに警察やら、この近くの何かの施設の職員やらが見回りに来る筈なのに、それにも会わない。そして、私達はずっと迷っている。

 未だに彼は死なない。

「伊佐貫さん、まだ死なないのね」

 呟くようにそう零すと、彼がゆるい動作でこちらを見た。相変わらず生気の無い目をしている。何を考えているのか分からない。いつも見ている筈なのに何となく不気味で、後ろに手をついて数センチほど後ずさる。湿ったそぼろ状の土の感触が、やけに敏感に感じる。気持ちが悪い。

 暫く見つめ合っていたが、彼が何も言わないので、仕方なく私から口を開いた。

「…何?」

「…いや……」

 彼は口元を手で覆い、言おうか言わまいか迷っているようだった。

「言いたいことがあるなら言いなさいよ」

 ついイライラして、強い口調で言って彼を睨みつける。それでも彼は悩んでいるようだったが、十秒ほどした頃だろうか、漸く話す気になったようだ。

「…坂平さんは、俺に死んで欲しいのかな、って」

「…はぁ?」

 目を逸らし、側頭部を軽く掻きながら、彼は気まずそうにそう言った。

「どうして」

「いや、だってさ。僕は嫌がる君に半ば無理矢理ついて来て、飢え死にするまで付き合ってなんて言っておきながら未だにしぶとく生きてるし。仕舞には生きたいとか言い始めるし…」

 言いながら段々眉間の皺が濃くなり、この男はまさか泣くんじゃないだろうかと少し焦った。しかし彼は泣かずに、泣きそうに歪んだ顔のまま更に続けた。

「正直さ、鬱陶しいでしょ、僕。何だかんだ今まで一緒にいてくれたけど、それは坂平さんが優しいからで、本当は、内心ではずっと…」

 ここでやっと、私は何故彼がこんなことを言い出したのか分かった。私が何気なく言った一言だ。『まだ死なないのね』なんて、生きていて欲しくないと言っているようなものだ。気遣いが足りなかった。

 どれだけ拒絶してもしぶとくついて来たから図太いのだと勘違いしていたけど、彼はその実繊細な人間だ、というのは最初から何となく分かっていた筈だ。死にたいなどとほざく癖に苦しんで死ぬのは嫌だと言ったり、そもそも私について来たのだって、一人で死ぬのが寂しいからなのだから。

 私はため息をついて、座っている為に同じ高さにある彼の頭を軽く小突いた。手の平に付いた土をはらい忘れたので、彼の額に少し土がこぼれた。

「…鬱陶しいなんて思ってたのは、最初だけよ」

 なるべく優しい声を意識して、ゆっくりと話す。

 慰めるなんて、柄じゃないけど。私が傷つけてしまったのだから仕方ないと、少々恥ずかしい気持ちを腹の中に無理矢理押し込んだ。

 捨てられた子犬のような目で見上げてくる、やつれたおっさんの後頭部を押さえ付けてこちらを見ないようにしてから、続きを切り出す。

「今は思ってない。もう、隣にいるのが当たり前になってるし。…むしろ、貴方には生きて、ほんの小さなものでも、幸せを見つけて掴み取って欲しいと思ってるのよ」

 これは紛うこと無き本音だ。だからこそ何だか気恥ずかしくて、顔を見られたくない。

 伊佐貫さんのことを異性として好きかと訊かれれば、違うと思う。嫌いでは無いし、寧ろ好きだと思えるくらいには、私の隣を彼の居場所にすることに抵抗が無かった。しかし、そこに恋愛感情は無い。

 単に、人として好きなのだろう。彼がもし女性でも、私は彼を好いていたと思う。どこに惹かれたのかは分からないけど、強いて言えば、寂しがりで臆病なことを自分で認めている癖に、一度は死ぬことを本気で決意していたという滑稽さが気に入ったのかもしれない。

 そう考えると、私も性格が悪い。

「…ありがとう」

 押さえ付けた手の下から、くぐもった声が聞こえた。

「どういたしまして。じゃ、行きましょ」

 そう言って手を放し、立ち上がる。

 解放された後頭部に手をやり、顔を上げた彼は、隈が酷い癖にほんの少し赤面していて笑った。顔色の悪さは死体レベルなのに、そのミスマッチさが妙におかしい。

「…ふふっ」

「えっ何笑ってんの」

「何でもないわ」

 そして、また歩き出した。


「僕がここに入った時、道から東に逸れたんだ。で、坂平さんとずっと探索している時、僕達は多分、ずっと南東…多分、南東の方角に進んでいたように思う」

 彼の案で来た道を引き返して、ゆるやかな坂になっている樹海を下った昨日。いつもの通り木の根元に腰を下ろして休み、昼頃に起きた彼は、そんなことを言いながら私の前を歩いている。

 普段は私が前を歩くことが多いので、この状況には少し違和感を覚える。

「道があるのは、多分下の方だ。このまま北西の方向にずっと進んで行けば、もしかしたら突き当たるかも」

 今まで当てもなく進んでいたのは何だったのか。

 彼は驚く程あっさりと太陽の位置で方角を見定め、記憶を頼りに道を探している。それができるなら何故最初からやらなかったのかと思わないでもないが、本人もそれは思っているようで、目を細めて睨んだら苦笑いで視線を逸らされた。まぁ、どうせ自分を看取ってくれる相手を失いたくなかった、とかそんなことなんだろうけど。折角死ぬ覚悟を決めて樹海に入ったのに、道案内でまた樹海の外に出たりなんてしたら折角の覚悟が萎えてしまうだろうし。

「ねぇ坂平さん」

 突然、前方から彼が話しかけてきた。振り返らないまま、声音だけは真剣そうに。

「…何?」

「坂平さんは、ここから出たらどこに行くの?」

 立ち止まる。

 その場に流れる沈黙がやたら重く、纏わりつくようだ。気分が悪くなる。

 彼は振り向かない。私はそんな彼の旋毛をじっと眺める。

「…どこ、かしらね。私の帰る場所なんて、もうどこにもないかも」

 小さく息を吐いて、小声で言った。

 ここから出たらどこへ行くのか。そんなことは、私が知りたいくらいだ。今まで、この樹海から出ることだけを考えて歩き続けて。

 その先のことなんて、何にも考えていなかった。

「じゃあさ」

 視線の先で、彼が振り返る。

「僕と一緒に来ない?」

 手を差し出される。

 私はそれをじっと見つめる。たった数秒のことだったんだろうけど、なんだかとても長く感じた。一瞬で、頭の中を様々な考えが巡る。ぐるぐると巡って、次第に形を成して整理されていく。

 …この男は、やっぱり誰かに呪われているのかもしれない。

「…ごめん。それは、できない」

 できるだけ丁寧に、差し出された手をはらった。

 きっと私は今、酷い顔をしているだろう。彼のことを、心底可愛そうだと思った。同時に、早くここから出て、素敵な女性と出会って幸せになって欲しいと切実に願った。

「はは…まぁ、駄目元で訊いてみただけだから。そんな顔しないで」

 そう彼は笑って、また歩き始めた。私もその後を追う。

 伊佐貫さんは帰る場所があるの、と訊こうとして、止めた。


 その日はずっと歩いて、日が暮れたところで休憩し、そのまま一日の活動を終えた。


 彼の寝顔を眺めながら考える。

 樹海から出たら。彼には帰る場所があるのだろう。でも、私にはもう無い。

 ならどこへ行く?

 答えは、どこにも行かない。強いて言えば、私は漸くこの苦しみから解放されて、どこか見知らぬ場所へ行くのだろうと思う。それがどんな場所なのかは分からない。でも、ずっとここに留まっているよりは良いだろう。きっと何倍も。

 もうすぐ、そこへ行ける予感がする。


 翌日、昼に起きた彼の後について、また樹海を練り歩く。

「多分今は昼だろ。で、太陽があそこにあるから、こっちの方向で合ってる…と、思う」

 独り言なのか私に話しかけているのか、微妙な音量で喋りながら歩く彼。私は、声は出さずに彼の背後で頷くだけで、あまり意味の無い相槌を打っている。しかし彼が気にした様子も無いので、多分独り言という扱いで良いのだろう。

「…伊佐貫さん」

 昨日とは対照的に、今度は私が彼を呼んだ。

 立ち止まり、振り返る彼。

「何?」

「伊佐貫さん、ここから出たら、ちゃんと生きてね。せめて、貴方がなんとなく満足できるだけの幸せは、掴んでね」

 こんな事を言うのは、虫の知らせとでも言うのだろうか。

 彼との別れが、確実に近付いてきている。

 すると彼は吹き出して、「勿論」と言って笑った。

「折角、坂平さんのお陰で大事にしようと思えた命だもの。粗末になんてしないよ」

「…なら、良いわ」

 暫く、無言で歩く。

 ちょこちょこと休憩を挟んで、歩き続けること数時間。

「あっ」

 前を歩く彼が、小さく声を上げた。

「どうしたの?」

 訊くと、彼は少し興奮した様子で、しかしほんの少し寂しそうな、複雑な表情で振り返った。

「道だ」

 彼が前方を指さす。

「遂にここから出られるよ」

 その先には、何本もの木々に遮られて見辛いが、確かに道らしきものがあった。コンクリート舗装も無く、雑に整えられたその道には見覚えがある。

 無論、私や、今隣にいるこの彼が樹海に入る時に通った道だ。

「遂に…」

 半ば呆然として、呟く。

 今まで、どこをどう歩いても辿り着けなかったのに。彼が少しやる気を出したら、こんなにも簡単に辿り着くことができた。何故、と思わなくもないが、今はそれより、ずっと思い焦がれていた『樹海の外』への道が目の前にあることによる感動の方が大きかった。

 目頭が熱くなる。じわり、と眼球に涙が染み出し、溢れそうになるのを寸でのところで留める。

 もうこれで最後なのだ。ここで泣いたら、彼を困らせてしまう。

「坂平さん」

 木の葉や枝を踏みしめて、彼がこちらに歩いて来る。

 私の目の前まで来たところで、

「お別れだね」

 とても不細工に笑った。

 その笑顔は、私の涙腺を緩めるのには十分だった。

 分かっていたことだ。彼が私と一緒にいたいと思ってくれていたことも。樹海から出ればそれが不可能になることも。そして、それを分かっていながら、彼は私を樹海の外へ案内してくれていたことも。全て分かっていた。だから、彼は呪われているのではないか、というのは半ば本気で思っていた。

 一度泣き始めてしまえば、もう止まらなかった。

「…ありがとうっ…伊佐貫さ…ごめんっ、本当に…ありがとう…」

 何度もしゃくり上げながら、感謝の言葉と謝罪を言う。

 彼は黙って頷いて、土汚れの比較的少ない袖口で、私の涙を拭った。不器用そうに見える彼は実際不器用なようで、擦られた頬がひりひりと痛んだ。

「…謝るのも、お礼を言うのも僕の方だよ。坂平さん、短い間だったけど、こんな僕と一緒にいてくれてありがとう。それと、道案内しなかったこと、ごめん」

 泣きそうな顔で、彼は言った。

 やっぱり、最初からやろうと思えばできたのか。でももう今更だ。

「良いよ…こうして、出られたんだし。…それに、散々迷ったから…伊佐貫さんは、生きようと思ったんでしょ。死にたければ死ねば良いって、最初は思ってたけど、途中からはやっぱ、生きて欲しいって…思った、から」

 ぼろぼろと涙を零したまま、私も彼と同じように不細工に笑った。

「行こう。道を、見つけたんだから…ここから出なきゃ」

 そして、彼の手首を掴んで道に向かって歩き始めた。

「…うん、そうだね」

 彼も小走りで私の隣に並んだ。

 道に出ると、木が無い分日の光が入るので、やたら夕焼けの赤い光が目に沁みた。眩しい。

 そこからは無言だった。途中手を繋いで、互いの存在を確かめあったりした。この道が終わって、樹海から出れば私達はお別れだ。最後だからこれくらい良いだろうと、彼も思ったのかもしれない。

 しばらく、雑草がある程度刈られた道を並んで歩いた。

 そして、道の終わりに辿り着く頃には、私はもう泣き止んでいた。

「坂平さん」

「何?」

「改めて、一緒にいてくれてありがとう」

 繋いだ手に力がこもった。

「私こそ。最期に出会えたのが貴方で良かったわ」

 にこりと微笑むと、「恐縮です」と彼は後頭部を掻いた。照れ方が古臭い、と少し思ったけど、空気を読んで言わなかった。

 一歩、踏み出す。

 振り返り、沈みかけの太陽の光を浴びて、茜色に染まる彼の泣き顔を見て笑った。

「…本当にありがとう。伊佐貫セツさん…貴方のことは忘れないわ」

 白む視界の中に、最期にまた不細工に微笑んだ彼を捉えて。

「ばいばい」


 目を開けると、白い天井がまず目に入った。ここはどこだろう、僕はさっきまで樹海の出口にいた筈なのに。

 辺りを見回すと、どうやらここが病院の病室であることが分かった。左腕は点滴に繋がれていて、身体はベッドに寝かされている。

「よっこら…せ…っと」

 ゆっくりと上半身を起こす。関節が軋み、バキバキと音が鳴った。完全に凝り固まっている。まるで、ずっと長い時間、同じ体勢で寝ていたような…。

 状況が全く呑み込めない。これは夢だろうか、それとも――――。

 考えていると、病室の扉が開いた。

「あら…起きられたんですか」

 驚いた表情で、看護師が僕に近寄る。

「良かったです。貴方、○○樹海で倒れていたんですよ。道からあまり離れていなかったので、あの近くの観測所の職員が見つけて通報してくれたんです」

「え…」

 看護師の説明に、頭の中がこんがらがる。これを現実と仮定すると、どうやら樹海に自殺しに行ったところまでは現実のようだ。しかしそうなると、僕と坂平さんが樹海を歩き回ったあの数日間―――いや数週間かもしれないが―――は、一体何だったのだろう。夢にしてはリアルだったように思う。

「先生呼んできますね」

 看護師が病室から出ていく。

 一人になったところで、僕はどうにか状況を整理しようと脳みそをフル回転させる。

 僕は樹海に入って暫くしてから坂平さんと出会い、樹海から出るまで行動を共にした。しかし先程の看護師の話によると、僕は樹海に入ってすぐのところで倒れ、職員に通報されて今まで病院で寝ていた。どちらも夢だとは考えにくい。夢の中では感覚が無いと言うけど、樹海の中で僕の五感はしっかりと機能していたし、今手の甲をつねってみても普通に痛い。

 もし、両方とも現実だったとするなら―――。

 その時また扉が開いて、先程の看護師と医者らしき人物が入ってきたので、僕の考え事はそこで中断された。


 あれからいくつか質問に答えたり診察を受けたりして、一週間ほど経ってから、僕は退院した。


 数週間失踪していたというのに、バイト先からは解雇されていなかった。不景気真っ只中の就職難と、後は単に僕が駄目人間だったのか。いくつもの会社に突っぱねられ、小さな古本屋でバイトを始めたところ、元々人員が少なく困っていたようで辞めるに辞められず、ここまでだらだらと続けてきた。人付き合いが苦手な僕は、フランクで明るい店長と寡黙な先輩店員と、あまり良い関係を築けていなかった。かと言って、そこまで悪かったわけでもないけど。

 当時はとても深刻に悩んでいたけど、僕が自殺しようと思い立った原因なんてとてもくだらない事だった。五月病みたいなもので、周りの若者は皆新生活が始まったりしているのに、僕は万年フリーターなことに嫌気が差したのだ。社会に貢献するわけでもなく、まともな職に就くわけでもなく。友達もいない僕は、世界にただ一人取り残されたような気分で、こんな駄目な僕が生きる意味は何かと真剣に考えては何の答えも出せず。

 結果選んだのが、自殺だった。

 まぁありがちな理由だ。死ななくて良かったと心から思う。

 退院して数日後、久しぶりにバイト先に顔を出すと、店長にとても心配をかけていたことを知った。急にバイトに来なくなり、音信不通になってしかも家にいない。確かに、特に親しくない人でも、そんな状況になったら僕も心配する。店長はフレンドリーな人で、どんな人でもすぐ自分の懐に入れてしまうような人だから、こんな僕のことも本気で心配してくれたのだろう。思ったより自分が大切に思われていたことに素直に驚いた。

「真川君も心配してたんだよ?伊佐貫君、どこかで何か事件にでも巻き込まれてるんじゃないかって…」

 どうやら、あまり会話したことがない先輩も僕のことを気にかけてくれていたらしい。何だか申し訳ない。店長の一歩後ろで目を逸らす真川さんに、軽く頭を下げる。

「それで、この数週間、伊佐貫君はどこに行ってたんだい?なんか痩せてるし顔色もあんま良くないし…」

 店長の質問に、僕はすぐに答えられなかった。

 だってまさか、自殺未遂で入院してました、なんて言える筈もない。樹海で坂平さんに出会う前の僕なら気にせず話したか、逆に不愛想にだんまりを決め込むかしたのだろうけど。今の僕は、前よりも幾分か素直になったから。自分を心配してくれた人達に更に心配をかけるようなことはしたくない。

 しかしどう説明したものか。悩んでいると、

「…ああえっと…話したくないことなら、無理に話さなくて良いよ!あんまり詮索しないからさ、」

 僕が黙り込んでしまったので気を使ったくれたらしい。申し訳ないがありがたい。

「…すみません。ありがとうございます」

「良いよ良いよ!もう、こうして戻ってきてくれただけで十分!ね、真川君」

「そうですね」

 真川さんも頷いてくれた。

 こうしていると、自分の悩みがどれだけ小さなものだったのかと呆れてしまう。こんなにも自分を心配して、大事に思ってくれている人がいるのに、何が自殺だくだらない。

「…ありがとうございます」

 何だか泣きそうになってしまった。

 最近泣きそうになることが多いように思えるのは、実際多かったからだ。現実か夢かわからない、でも現実としか思えない樹海での日々。何日何も食べずに歩いても死ななかった、僕と彼女。

 坂平さんのことは、僕は途中から薄々感づいていた。

「じゃあ、今日はもう帰りなよ。顔色悪いし、真川君もいるから大丈夫。ゆっくり休んで、調子良くなったら顔出してくれれば良いからさ」

 店長の笑顔が胸に沁みる。隣で真川さんも頷いてくれていて、更に泣きそうになった。鼻の奥がつんとして、目頭が熱くなる。

「ありがとう、ございます」

 やっとそれだけ絞り出して、何度も頭を下げて古本屋を去った。


 こんなに恵まれていながら、僕は何が死ぬほど不満だったのだろう。こんなことを思えるのも、全ては坂平さんのお陰だと思う。

 無事自宅の狭いマンションに辿り着き、インスタントコーヒーをすすりながら考える。

 思い出すのは、樹海で最後に見た光景だ。『ばいばい』と手を振った後、彼女は跡形もなく消えてしまった。そして、その次の瞬間、僕は病室で目が覚めた。樹海での出来事がただの僕の夢なのか、それとも現実なのか。名前しか知らず、それに自殺である以上、自力で彼女の存在を裏付けすることは難しい。自殺はあまりニュースにならないし、僕はあまりパソコンも携帯も使わないから勝手が分からず、ネットで調べることもできない。

 『坂平ミヨ』という女性の存在を裏付けできない以上、僕の体験が夢か現実か判断することはできない。でも、僕はできれば現実であって欲しいと思う。どちらにせよ僕はこうして生きているのだけど、だからといって納得することは僕にはできない。彼女が僕の創り出した幻想だという可能性も、実在の人物だという可能性も半々だ。しかし、自分の創り出した幻想で、当時本気で死ぬ気だった僕が心変わりするだろうか。僕は確かに彼女に会い、樹海を歩いた。その記憶だけは確かなのだ。

 彼女は、彼女の望む所へ行けただろうか。笑って消えていったから、きっと後悔は無かったのだと思うけど。

 彼女は僕を忘れないと言った。だから、僕も彼女を忘れない。

 彼女がどんな存在だろうが、僕が生きようと思えたきっかけになったのだから。僕は坂平さんを忘れない。

 コーヒーを飲み干してため息を吐く。

 坂平さんの言うように僕が幸せになるには、時には忘れることも必要かもしれないけど。せめてその時が来るまではずっと想っていようと、狭いリビングで一人頷いた。


 その数年後、僕は古本屋に来たお客の女性と交際を始めていたりするのだが、今の僕には当然知る由もない。更にその数年後無事結婚し、妻の実家の墓参りに行った際に坂平家の墓を見つけ、妻と坂平さんが知り合いだったことを知ったりするのだが、それはまた別のお話。

創作お題だった「メメントモリ」の意味をはき違えて暴走した結果の産物でした。


ここから下は読まなくても良い裏設定と簡単な解説です。


「伊佐貫セツ」という名前は、黄泉比良坂を駆け上がって生還した「イザナギ」と、

「節目」の「節」で「セツ」、といった感じで付けました。

同じように「坂平ミヨ」にも意味があり、まぁ分かりやすいかとは思いますが、

「黄泉平坂」からです。


「生死の境から生還する」「節目に立つ人」である伊佐貫は、

「死者の通る道で迷子になり、生き返ることも死にゆくこともできない魂」である坂平の

案内人であり、一人寂しく自殺した坂平の未練の昇華役でもありました。


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