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友達
高校二年生、春。新入生を迎えることは喜ばしいことだが、僕はたいして思わない。なぜかって?別に一年生と深く関わる気がないからさ。
しかも二年生になるとクラスが変わるこの学校のシステム、僕にとっては無駄なことでしかないと思っていた。教室に入ると席がガラガラだった。人も雰囲気も変わるこのクラスは、息が詰まる。
前の席に人が座った、きっと男子だろう。両手の爪を見下しながら時間を潰すこのときは何か、空っぽな心を無理やり満たしているかのようだった。
入学式は正直いってだるい、やらなくても良いと思う。誰もこの時を待っていた人はいないだろうと、半信半疑で鳴らす拍手は、凄く乾ききっていた。
「席ってどこだかわかる?」
マスクを通して聞こえる声は、高校生のわりに高いトーンだった。
「あそこらへんじゃね?」
そう言いながら指差す椅子は埋まっていた。きっと間違って座っているのだろうと思ったのだ。
僕らが移動するのにつれ、そこに座ってた女子も気を配って動いてくれた。椅子に座ると、話しかけてきた男子が隣に座った。名前がわからないからなのか喋るのに気まずかった。