表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

港のトーリィ

作者: MIZUKI

「好きな人がいるんです」


え?急に何を言ってるの。

僕は戸惑った。

しかし、表情には出さず、優しく微笑んだままのつもり。


「お話をしたこともないんだけど、好きなんだなって思ったの」


え?話したこともない?なんだよそれは。


「いつか告白したいと思うから、もう・・・」


何だかわからないが、とりあえず僕はフラれる流れのようだ。


「僕のことは好きじゃなくなったの?」


若干情けないセリフのようだが確認しておきたい。


「好きだけど、その人の方が気になるの」


ごめんなさい、じゃあさよなら。

鼻先がグレーの彼女は、あっさりと僕の前から弾むような四脚で去って行った。



僕はさび柄猫のトーリィ、2歳。

たった今、シャム猫の彼女にフラれたところ。


気になるやつがどんな猫なのか気になるけど、めちゃめちゃ尻尾引かれまくるけど、去る猫は追わないのさ。

それがクールな猫ってやつだろう?

でも本当は、僕らも結構凹んだりするのさ。

そんな時、僕はいつも通りパトロールをした後に、念入りに毛づくろいをするようにしている。


『綺麗にしていないと強さも保てないからね』


それは、昔ボスだったと言っていた、通りすがりの水玉のメス猫から聞いた話。

今はさすらいの老猫だ。


さて、そろそろお昼時、パトロールをしたらお気に入りの昼寝ポイントに行こう。

今日もお日様はこの町の隅々にまで暑さを届けている。

僕は港のオープンカフェでお水をもらって、涼しいベンチでいい夢を見るのさ。

新しい彼女の夢をね。


end

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ