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完全変態アリス  作者: VIVID
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第1話 私立黄泉谷学園 その1

起きてお兄ちゃん、今日から学校でしょ?」


 正直、目を覚ましたくない・・・。


 学校へ行きたくないなぁ・・・。


 夏休みが終わり、登校しなければならない9月1日の朝ならば子供がつい思ってしまう事だろう。


 理由としては、ただただかったるいからだったり、宿題がまだ終わってないからだったりなどが挙げられる。


 だが、俺の場合はそんな可愛らしい理由などではない・・・。


 「転校初日で不安なのは分かるんだけど、お兄ちゃんはもう女の子なんだから今から身支度しないと学校に間に合わなくなっちゃうよ?」


 そう、俺は今女の子になってしまっている・・・。


 そして、今日から夏休みが始まる前まで通っていた高校ではなく、黄泉谷学園という女子高の初等部へ通うハメになっているのだ。


 正直、今まで男子高校生をやっていた身としては本当にきついものがある。


 「そういえば、お兄ちゃんの着る制服は私のおさがりになるんだけどいいよね?」


 妹のおさがりを着る兄って・・・マジで変態だと思うだろ?


 もう俺に兄の威厳なんて無いじゃない・・・。


 「よし、お兄ちゃんが転校初日からなめられない様に可愛くさせなきゃね」


 唯夏の手によって、整えさせられた俺の容姿は控えめに言って超可愛かった・・・。


 流石は俺の妹・・・女子力高いな!


 そんなこんなで身支度に一時間弱を費やし、食卓につく頃には俺も含めた家族4人が揃っていた。


 「まぁまぁまぁ、昌くんってばさらに美人さんになっちゃって・・・唯夏ちゃんGJ‼」


 「にぃにぃ、もうすっかりおんなのこですね」


 「でしょでしょ?お兄ちゃん素材がいいから予想以上の仕上がりだよ」


 容姿を褒められるのは悪い気はしないけど、気恥ずかしい・・・。


 外見は10歳の女の子だけど中身は男子高校生なので、美人だと言われても複雑なんだけどな。


 「でもお母さん嬉しいな、昌くんが覚悟を決めてくれて」


 「いやいや、母さんが黄泉谷に通わないと男に戻る方法を探さないって脅したんじゃないか・・・」


 「脅しただなんて心外ね、お母さんはただ昌くんが引きこもりになってほしくないだけなのに・・・」


 だったら、最初からこんな姿にしないでほしかったよ!


 「それよりもお兄ちゃん、初日なんだから早く学校に挨拶に行った方がいいんじゃないかな?」


 気は乗らないが、確かに唯夏のいう事ももっともだ。


 「安心して昌くん、初日だからお母さんも付き添うわ」


 「私も同じ敷地内だし、途中まで一緒だね」


 「ゆえだけ、ようちえんですか・・・」


 結絵は少し寂しそうだ。


 「大丈夫だよ結絵、いつもみたいに俺がお迎えにくるからさ」


 俺は結絵の頭を撫でながら、精一杯慰めた。


 「にぃにぃの手・・・女の子になっても温かいです」


 それはそうだ、血が通っているのだもの。


 「いやいやお兄ちゃん、多分結絵は違う意味で言ったんだと思うな?」


 女の子って難しいね。

 

 「みんな準備できたわね?じゃあ、出発進行!」


 そうして、準備を整えた俺たちは結絵を幼稚園へ送ってから、黄泉谷学園へと向かった。


 【黄泉谷学園~校門前~】


 黄泉谷学園へ着いた俺が最初に感じた事が、まるで異世界にでも迷い込んだような感覚であった。


 資料で読んだのだが、この黄泉谷学園は「初等部エリア」「中等部エリア」「高等部エリア」の3つに分かれており、総面積は約126万㎡で東京ドーム約27個分の敷地面積らしい。


 これは某ランドとシーを合わせた面積よりも広いことになるな・・・。


 「やっぱ、最初来た時は広いって思っちゃうでしょ?私も初等部の入学式で初めて来た時はあまりの広さにびっくりしたもん」


 まぁ、7年以上通っている今でもだだっ広いって思うけど・・・などと唯夏がこぼす位だから相当の広さなのであろうと予想できる。


 「あ、中等部はこっちだからここでお別れだね」

 

 「じゃあ、気をつけていってらっしゃいね」


 「うん、わかってるって!お兄ちゃんもバイバイ」

 

 そういって唯夏は手を振りながら走り去っていった。


「さて、私たちも行きましょうか」


 唯夏と別れた俺と母さんは初等部エリアの職員室へ向かった。


 

 【初等部~職員室~】


 「あなたが耶麻昌さんね?私はあなたが所属する5年A組担任の白鐘です。これからよろしくお願いしますね」


 担任の白鐘先生はスーツ姿が似合っていていかにも仕事が出来そうな女の人という印象だった。


 「はい、よろしくお願いしますね!白鐘先生」


 そう、今の俺は10歳の女の子なのだ・・・


 ばれないように、振舞わらないとな!


 今更ながら、そう心に決めて。


 「じゃあ、お母さんはもうお仕事に向かうけどもう1人で大丈夫よね?昌ちゃん」


 「うん、またねお母さん」


 「ふふふ、バイバイ」


 ・・・恥ずかしいな、女の子。


 というか、肩を震わせながら帰らないでよ母さん。


 「では、教室に向かいましょうか耶麻さん」


 こうして、新たな環境でただ一人に・・・。


 正直、心細いっていうのが本音だが、やるだけやってみようと思う。

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