懇親⑦
「フランがなんか恋愛マスターみたいなコト言ってる……。」
全くだ、お前は一体どこのジゴロだ。
しかしアルカロスの反応を受けて、フランツはワタワタと手を横に振った。
「いや、僕には簡単じゃないよ!? あくまでマリアヴェル嬢にならって話だからね!?」
「どういったカラクリだ?」
ゴンゴルが食い付く。いやまぁ私も食い付いているけれども。
「単にこういう手もあるかもねってだけの話だけれど……、取り敢えずこれを可能にするには前提条件が3つある。」
人差し指をぴんと立てて、
「まず、見た目が良いこと。」
「まぁ……、基本っちゃ基本か。見てくれ良くなきゃ始まんねぇわな。」
『※但し美少女に限る』というヤツか。所詮この世は顔面格差社会……、なんぞと悪人顔の私がしみじみ黄昏れてみる。いやもう本当にね、イジメの首謀者と目されていた経験が数知れずだからね。
「2つ目に、魔力特性が光であること。」
「唐突に条件厳しいな。」
ゴンゴルが眉を顰める。
光は突然変異的にしか生まれないからね。たしかこの学園では、主人公ちゃん一人しか居ないはずだ。
「最後に、人体の構造に詳しいこと。医療魔法士を目指す程度には、ね。」
おぉう、主人公ちゃんが綺麗に条件を満たしました。
「するとどうなる?」
オレアノに問われて例えば……と、立てた人差し指をぴこぴこと振るフランツ。
「自分の傍に来た時に、ほんの少し相手の体温を上げさせる。」
へ?
「目が合った瞬間に、鼓動を打たせる。同時に瞳孔を開かせるのも有用かも。」
「つまり……。」
「人が恋した時に起こる身体反応を、強制的に起こさせる訳だね。心なんて単純だから、肉体の情報に引き摺られていくらでも勘違いするよ。」
肉体に直接作用する光魔法の使い手だからこその荒技。しかし……。
「非人道的ではないかしら。」
ちょっとそれは流石に……如何なものか。
「いっても最初の切っ掛け作りと、補助位にしかならないからね。拍動も体温も、異変があれば身体が勝手に平常に戻そうと作用するし。でも一度意識させてしまえば目で追ってくれるし、言動も好意的に受け止めて貰える。見た目が良ければ、結構余裕じゃないかな。」
「う〜ん、そんなに上手くいくもの?」
フランツの言に、ロレンツが疑問符を飛ばす。
「確率の問題だからね。でも複数に手を出してる時点で、失敗したらしたで構わないんじゃないかな? また別の人間に試せば良いだけだし。というかロレンに失敗しているっぽいから、新たにアルに絡んでみたのかも。」
言われてハッとする。慌ててアルカロスを確認すると、真面目くさった顔をしていた。
「なんか今日、変なタイミングで動悸するし暑くなるし、くらっとするんだけど。それが原因? 変な病気じゃない? 大丈夫?」
懇親会が始まってから、なにか微妙に大人しい気はしていたのだが……、それが原因か。
「今まで何もなかったんだよね? マリア嬢が側にいる時限定なら……ヒットじゃない?」
「なんだよ良かったよ~。心配したじゃんか〜。」
「というように、ロレンみたいに既に好きな人……ロレンの場合は星だけれどね、が居たり、アルみたいな朴念仁が相手だったりした場合には、この手は効果を発揮しない。」
「異議あり。なんで俺、朴念仁判定食らってんの? 俺だって好きな娘が居るのかも知れないじゃん!」
「……ないでしょ?」
「……いや……ないけど。」
なんの遣り取りだ。あとアルカロス、微妙に唇を尖らせるのを止めろ。欠片も可愛くないぞ!
「とにかく、マリア嬢の手はそんな感じじゃないかな? あくまで想像だけれどね。」
まぁそうかも知れない。それでも僅か一週間でとは……、確かな補正を感じずにはいられないけれど。
「マリア嬢と彼等との関係は分かった。」
オレアノが言う。
「それで、レーチェへの忠告とはなんだろう?」
超絶適当に書いているので、色々と信用しないで下さい(汗)。




