懇親④
とても短いですが、キリが良いので。
解放感が凄いと同時に疲労感も半端ない。
ようやくカラフリー達が散開した……長かった……。
結局当初の予定に返ったらしく、今主人公ちゃんは銀髪侯爵と舞い踊っている。いや……最初からさ……大人しくさ……、うんまぁもうどうでも良いか。なんか照明が落ちて、二人にスポットライトが当たっているけれど……うん、これもどうでも良いな。凄いな乙女ゲーム。
「なんだか踊る気力も果てましたわね。」
「っていうか、あの二人の世界に突っ込んでいく勇気が俺にはない。」
私の言葉に、アルカロスがこっくりと頷く。
「なんで独壇場になってんだろな?」
「皆うっとり見守ってるし、それはそれで良いんじゃないかな。」
――と、ゴンゴルの横で力なく笑いながら頬を掻くフランツの腰に、トンと軽い衝撃で小さな人影が抱き着いた。
そしてそのままグリグリと押し付けられる、小さなフワフワの金髪頭。……ん?
「っちょ、ロレン! 痛いから! 痛いからグリグリしないで!」
「だって久し振りのフランなんだもん!」
パッと上げられた顔は……やっぱりフワ金だ。なんだ、どういう事だ。
「ロレンが言ったんでしょうに。学院では他人の振りして、話し掛けるなって。それはもう良いの?」
「良くはないけど……、状況が変わりまくってて僕も混乱中なんだよ。」
うん……、私も混乱中だ。
「で、僕をフランの友達に紹介してはくれないの?」
フランツの腰に抱きついたまま上目遣いに首を傾げるが、その仕種に小悪魔的な雰囲気はない。
「えっと、本当に良いの? 学院では寄るな触るなって煩かったのに。」
「フランをあの女狐から出来るだけ遠ざけておきたいってのは、今もそうだけれどね。」
「えっと、よく分からないけど……。」
私達の方がよく分からないよ!
「えっと、姫、アル、ゴンゴル? 彼の名はロレンツ=スピカ。元の姓はポルナフ。僕の双子の弟です。」
フランツに紹介されて、よろしくと笑う彼は、とても快活で可愛らしかった。
あまり長くなるとエタりかねないので、サクサクっと進めることにしました。という事で、当初の予定ではそこそこギスギスした兄弟仲だったのに、急に仲良くなったポルナフ兄弟です。




