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旅人さんシリーズ

クリスマス

作者: 風紙文

ある日、町の宿屋で宿泊の手続きをしていると。

「今年も来るのか……」

「あぁ……明日だってな」

そんな青年2人組の会話が聞こえてきた。普段よりトーンが一つ下がったような暗い声のため、旅人の耳に入った。

? 何かあるのですか? 旅人な宿屋の女店主に訊ねると、宿泊の応対していた時よりトーンを一つ上げて店主は答えた。

「この町はですね、一年に一度ある物が大量発生しまして。今年は明日がその日なんですよ。旅人さん、あなた運が良いですね」

そう、なんですか そう旅人は答えつつ、先ほど聞こえた2人組との声の差に疑問を感じていた。




一夜明け、旅人は町の大通りで商売をしていると。

「おい! 来たぞ!!」

大声をあげた男性が空を指差しているのを見て、旅人もそちらを見る。


そこには黒い塊が浮かんでいた。


塊はゆっくりと空を覆いつくし、まだ昼間だというのに陽を隠し辺りが薄暗くなるほどに近づいてきた。

その下では、

「くっ! 毎年の事だが凄い数だな!」

「怯むなよ! 捕れなきゃ今年をスッキリ終えられねぇ!!」

『おー!!』

昨日トーンを下げて話していた2人組を中心に、網やら籠……何かを捕るための道具を持った男達が塊へ向けて動きだそうと団結しているのが見えた。

アレはなんなんですか? 旅人は近くで見ていた女性に訊ねた。

「旅人さん知らないんですか? アレはクリスという鳥の一種で、毎年この時期になると大量発生してこの町に来るんです」

はい、それは昨日聞きました

「クリスはですね、とっても美味しいんです! だから毎年この時期が待ち遠しいんですよ! ……ただ、あの数ですし、飛んでいるので捕まえるのが大変で、町の男達は毎年苦労してるんですよ」

……なるほど、それでしたら と旅人は鞄の中からある物を取り出した。

「こ、これは!?」

使ってみてはいかがですか? 旅人が女性に渡すと、クリスという鳥の塊の下で苦戦している男達の元へと走った。



そして、旅人が渡した物は、大量のクリスを捕獲した。



「いやー、助かったよ旅人さん。アンタ凄いもん持ってんだな」

旅商人ですから、様々な物を取り揃えていますよ

「じゃあコレを売ってくれ! これで来年からクリスの捕獲が楽になるぜ!」

はい、毎度ありがとうございます と旅人は鞄に収まっていたソレを全て取り出した。

「旅人さんもぜひクリスを食べてくれな。今晩この町はちょっとした祭りだからよ」

「だな、あんなに大量に捕れたのは久しぶりだぜ。あ、これ料金」

それほどにクリスは美味しいのですね 旅人はお代をもらいながら訊ねた。

「まぁ一年に一度だけだからな」

「あぁ、普段はクリスの量が少ないから捕ることを禁止されてるし」

「だな、クリスが増えるこの時だけで。その日はもうお祭り騒ぎさ」

それを聞いて、旅人は呟いた。

一年に一度、クリスが増す時は特別なお祭りなんですね







この町では、一年に一度だけ、クリスが増す時が。


クリスマス時がある。


クリスマスということで考えていたのです、が……

旅人さんのいる世界にはクリスマスというものは難しいので、それっぽいお祭り騒ぎをする町のことを書いてみました。

これもある意味、クリスマスですよね?(旅人さん的には)


それでは、

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